梅雨入りまだ? 東北北部、中国、四国、九州

水不足で水を引けない田んぼ(13日、秋田市で=JA秋田なまはげの進藤更紗通信員撮影)

 東北北部や中国、四国、九州地方で、少雨により農産物の生育を懸念する声が上がっている。九州北部から近畿では、梅雨入りが平年に比べ1週間の遅れ。東北や中国地方では、降雪が少なかったことも重なりダムの貯水率も低下している。気象庁によると、まとまった雨は20日ごろまで期待できないという。「雨はまだか」。農家は心配そうな表情で作業に汗を流す。
 

米の収量減少懸念 秋田


 「ここまで水がなかった年はない。近所のベテラン農家に聞いてもこういう年はないと話していた」。秋田市で水稲などを生産するファームビルド(株)代表の畠山周さん(46)は、雨が降らない現状をこう証言する。畠山代表は「水が入らないと分けつが進まない。収量確保にも不安がある」と収量減を懸念する。

 気象庁によると秋田市の5月1日~6月10日の降水量は43・5ミリと平年の29%にとどまる。

 法人では水稲14ヘクタール、エダマメ1・5ヘクタールを栽培する。田植えが終わり、今は水田の水管理を行っている。今年は近所の潟から水をポンプで吸い上げられない状態だという。

 畠山代表によると土地改良区が潟を工事し、ポンプで吸い上げられるようにしている他、川の水を農業用水として使えるようにしている。しかし、条件不利地では田んぼに水が回らないなど、今年は60アールで作付けを断念した。また、エダマメも生育に差が出ているという。稲刈りと作業時期が重なったり、エダマメの収量が減ったりすることを心配する。

 畠山代表は「冬は雪が降らず、雪解け水が少ないことも水不足に影響している」と異常天候が続いているとした上で、「今年ほど水が大切と感じることはなかった。早く梅雨になってくれればいいのに」と降雨を切望する。
 

ダム取水20%制限 鳥取


 貯水率が50%を下回った鳥取県東部の千代川水系にある鳥取市の殿ダム。国土交通省や県、流域の自治体などでつくる協議会は12日、対策会議を開き、貯水率が40%を下回れば殿ダムのある袋川で、農業用水について20%の取水制限をすることを決めた。

 殿ダムの貯水率は13日午後6時現在で46%。同省鳥取河川国道事務所によると、6月の貯水率としては同事務所がダムの管理を始めた2012年以降最低水準となった。

 県東部の4観測所の5月の平均雨量は48ミリで、例年と比べ34%しかなかった。冬の降雪が少なかったことも影響している。このまま雨が降らなければ、7月上旬にはダムの水がなくなる見通しだ。
 

日焼けに乾燥が… 大分・福岡


 例年より1週間以上梅雨入りが遅れている九州北部地方。果樹農家からも雨不足を心配する声が上がる。過去1カ月間の雨量が例年の2割ほどしかない大分県日田市。JAおおいた中西部事業部によると、「雨がほとんど降らない」という。ブドウの日焼けや土壌の乾燥を心配する。

 同市に隣接する福岡県朝倉市も降水量が例年の3割ほど。同市で柿や梨などを育てる若手農家は「ブドウの肥大期なので、今年は粒の太りが悪いのでは」と懸念する。

 日田市農業再生協議会によると、「市内の一部で雨が降らず、田植えができない場所がある」という。今後も雨が降らない状況が続くと、病害虫などの心配も出てくる。ただ、盆地だけに「2017年の九州北部豪雨のように、突然まとまった雨が来るのも心配だ」(同JA)と懸念する。
 

生理落果 小玉化も 愛媛


 愛媛県では、ミカンの生育で影響が懸念されている。県農産園芸課によると、気温が高く少雨が続くと生理落果の増加と小玉傾向に影響が出るとみる。着花量は平年並みだが、雨量が少なく、果実肥大が進まない。かん水を始める産地も出始めた。

 1次取水制限が続く高知県の早明浦ダムは、貯水量が回復しない。13日時点で、貯水率は平年を26・5ポイント下回る61・3%。農業用水20%の取水制限が続く。国交省四国地方整備局によると、取水制限解除は70%を目安としており、今後も目立った降雨の予報がないため「当面は取水制限が続きそう」(同局河川部)と説明する。
 

20日まで少雨続く


 気象庁によると、東北、中国、四国、九州地方の一部では20日ごろまで少雨が続く。

 偏西風が日本近辺で南に向かって吹いていることや、日本上空にある高気圧などによって生じる気圧の谷の影響で、梅雨前線が平年と比べて日本の南側に停滞。このため、梅雨入りが遅れている。梅雨前線が日本付近に北上してくる6月下旬には、少雨は解消する見込みだ。

 5月1日から6月10日までの降水量は青森で平年比27%、秋田29%、松江49%、広島65%、松山31%、福岡35%、佐賀28%。特に青森、秋田、松山では降水量が30%前後と極端に少なかった。同庁は「農家は農作物の管理に適切な対応をしてほしい」と注意を呼び掛ける。 
 

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