直売所は学びの場 農の理解深める機会に

 夏休みは食農体験ができる絶好の機会だ。野菜や花を育てて記録したり、昆虫を採集したりして、探究心が養われていく。直売所はこうした食農教育の場にぴったり。体験イベントを企画し、子どもたちが訪れたい店づくりを進めよう。

 直売所の魅力は、新鮮でおいしい農産物が手頃な価格で購入できるだけではない。旬の野菜や果物、知らなかった食べ方、伝統的な料理、珍しい品種、栽培法について直売所スタッフや農家から直接、教えてもらうことができる。食農教育の場として、売り場そのものを活用するJAが現れている。

 静岡県JAとぴあ浜松の直売所は夏休み企画として今月、「はじめてのおつかい」を開催中だ。4~7歳の子どもが、親から頼まれたお使いを直売所で経験する。一人で買い物をさせたい、でも近所を歩かせるのは心配、そんな親の願いをかなえる粋な計らいだ。JA女性部とのコラボ企画で実現した。

 子どもはエコバッグに1000円を入れた財布、買い物リストを手に店内を回り、親は見えない所から見守る。直売所は子ども用の小さな籠を用意して目当ての売り場に誘導し、困ったときに声掛けする体制を整えた。初めて自分でキャベツや切り花を選んで、喜ぶ子どもたちで店内はにぎわった。

 直売所は生きた教材にあふれている。新鮮な朝取り野菜が並び、それぞれ生産者名が付いている。手に取って触れたり、店によっては対面販売で試食ができ、農家お薦めレシピを紹介したりする。カブトムシやスズムシを販売する店もある。

 JAファーマーズマーケット憲章は直売所を、「地域の食と農に関する情報を発信し、消費者と農業者の交流を図る拠点」と位置付ける。スーパーとは異なる存在意義がここにある。最近は体験農園を併設する直売所が増えてきたが、夏野菜を収穫するのもいい。管内の農家をバスで訪れる農場見学会や、親子農業体験ツアーを行うJAもある。

 直売所は消費者にとって学びの場だ。農業の現場から食卓までの過程を学び、顔の見える関係を強めていきたい。イベントを通じて農業やJAを理解すれば、地元農産物の消費拡大につながるのは間違いない。期待されるのは、次世代を担う賢い消費者の誕生だ。

 夏休みを利用して、「一日子ども店長」を企画したり、子どもたちに直売所の農産物のポスターを描いてもらい、それを店内に掲示したりしてはどうだろう。楽しいアイデアで店に活気を与え、新たな直売所ファンを広げることも可能だ。

 直売所出荷者の高齢化が指摘されているが、客層でも同じことが生じている。若い客層を増やしていかなければ、直売所の土台が揺らぎかねない。日々の売り上げ確保はもちろん重要だが、直売所の将来像を描いてみることも必要だ。 
 

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