恵みの川が濁流となって牙をむく

 恵みの川が濁流となって牙をむく。台風19号の直撃で、関東、信越、東北などの河川が決壊し、氾濫した。家や田畑が水に沈み、多くの人が助けを待つ▼「瑞穂の国」は「水の国」。治山治水が成って国が治められる。だが昨今の気候変動は常識を覆す。今回も天が抜けるほどの豪雨で、山も川も悲鳴をあげた。首都・東京は終日、陸の孤島と化した。ヒット中のアニメ映画「天気の子」は、水没する東京が舞台だが、架空の物語でないと思い知る▼元都庁の土木専門家・土屋信行さんの著書はずばり『首都水没』。ゼロメートル地帯が4割を占め、縦横に地下鉄が走る東京は、水害にもろい。利根川の堤防が決壊すれば、地下鉄、共同溝、電力通信の地下連絡網などの機能が喪失するという▼「『首都水没』は『日本沈没』への序章」と土屋さん。日本の攻撃に軍隊も核も必要ない。ドローン1機でゼロメートル地帯の堤防を破壊すればいい、との警告に総毛立つ。台風19号は、それが絵空事でないことを突きつけた。台風、地震、津波、高潮。災害列島に住む先人は、これ以上先は浸水しない高台に避難場所を作り「命山」と呼んだ▼土屋さんは、ゼロメートル地帯に壊れない堤防を作ることが、洪水を防ぐ現代の「命山」だという。急げ。日本が沈没をする前に。
 

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