千曲川決壊 リンゴ無念 生活再建で手いっぱい… 長野市

資材やリンゴが散らばる園地で肩を落とす芝波田さん、濁流で押し流された車が水の勢いを物語る(16日、長野市で)

自宅の2階からヘリコプターで救出された時の状況を説明する米沢さん(同)

 台風19号の大雨の影響で千曲川の堤防が決壊した長野市穂保地区では16日、農家らが土砂の片付けに追われた。同地区には、リンゴ園をはじめ多くの農地があるが、泥のかき出しや住居に流れ込んだごみと泥の処理に追われ、営農再開のめどが立たない状況だ。被災した現場を歩いた。(藤川千尋)

 

2メートル浸水 土砂散乱


 同地区では台風19号の大雨の影響で、13日未明に堤防が約70メートルに渡って決壊した。

 リンゴ農家の芝波田利直さん(71)の自宅では、知り合いも手助けし、流れ込んだ土砂のかき出しや家具などの処分に追われた。芝波田さんは「水にぬれた家財を移動するのがしんどい。畳は大人が4人で何とか持ち上げることができるほどだ」と説明する。

 「今は自宅の片付けや生活の再建が第一で、営農再開の見通しが立たない」と話す。自宅の目の前に広がるリンゴ畑には、地面から2メートルほどの高さまで川の水が浸入してきた。畑には現在も濁流にのみ込まれたリンゴや資材が散乱したままだ。

 これから贈答用に出荷する予定だった「ふじ」も大部分が水に漬かるなどの被害にあった。「9割近くは廃棄。ほぼ全滅だろう。来年以降も農業を続けるか悩みどころだ」とした上で、「贈答用に買ってくれる固定客からは心配の電話ももらった。販売できるリンゴがあれば何とか出荷したい」と前を向く。

 「この地区で生まれ育ったがこんな災害は初めてだ。言葉にならない……」と話すのは、リンゴや米などを栽培する米沢孝典さん(81)だ。自宅は千曲川から400メートルほどの所に位置している。12日午後8時ごろには自宅目の前の道路が冠水し、身の危険を感じた米沢さん。避難所に行くのは危険だと判断し、自宅2階に避難した。しかしその後も水位は上昇、堤防決壊後は水が上がるスピードも速まった。米沢さんは「情報も少ない中で不安な一夜を明かした。とにかく恐ろしかった」と振り返る。

 13日の朝、米沢さんが外を見ると家の周りは水没していたという。その後、同日午後2時ごろに自宅上空に来た救助のヘリコプターに救出された。米沢さんは「今回の台風で自然の恐ろしさを思い知った、水害はまた来る。油断はできない」と話す。

 全国から被災地へ片付けなどのボランティアの輪も広がる。被災した親戚の家の掃除を手伝う静岡県から来た50代の男性は「水が引いてようやく手伝いに来ることができた。どこも土砂やごみが散乱し、どこから手をつけていいか分からない状況。とにかく人手が足りない」と話す。
 

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