「水を治める者は天下を治む」と言われてきた

 「水を治める者は天下を治む」と言われてきた。日本は「暴れ川」との戦いの歴史を持つ▼いわゆる「治水」である。戦国時代の武将は、領民の生活の場や農地を洪水被害から守ることに腐心してきた。徳川家康らは江戸湾に注ぎ込んで暴れ狂う利根川の改修に心血を注ぐ。流れを銚子方面に変える「瀬替え」は30年に及ぶ大工事となったが、それが200年を超える江戸の発展を支えた▼日本は3万5000本もの川が流れる。しかも急流が多い。農民は川から何本もの長い水路を引き、平野の隅々にまで張り巡らせた。その水脈の総延長は40万キロに及び、地球の10周分に相当する。こうした一連のダム機能が下流の都市洪水を和らげてきたことを為政者は忘れていないか▼自然の脅威は容赦ない。台風19号に伴う記録的な豪雨で70を超す河川で堤防が決壊した。このような事態は初めてである。千曲川が決壊した長野市穂保地区の堤防には、過去最大の水量による水圧と越水があった可能性があるという。豪雨、台風、洪水が重層的に襲う。災害の専門家土屋信行さんは近著『水害列島』(文春新書)で「大水害が迫る」と警告する▼台風の爪痕が痛々しい。助け合いが必要な今こそ協同の力である。一日も早い復旧へ、みんなで手を差し伸べたい。
 

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