被災地の惨状 日常取り戻す支援急げ

 記録的な豪雨で東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から1週間。被災地では約4000人の住民が避難生活を強いられている。被害は広域で深刻だ。全貌はつかみ切れていない。着のみ着のままで避難した住民の安全と安心を最優先し、日常を取り戻す支援を急がねばならない。

 台風19号による被害で災害救助法が適用された自治体数は、13都県の317市区町村。市町村で見ると、全国の2割に相当する。被害状況は地元自治体が調査して、県から国へ報告されるが、そこまで手が回らないと思われる。この1週間は、決壊した河川の修復、寸断した道路の復旧、断水した地域への給水、避難所の開設と自治体職員は不眠不休で対応してきた。

 前例にない緊急事態である。全国同時に、多発的に、流域一体に災害が発生したことを重視せねばならない。老朽化した堤防や橋などインフラ設備の見直しが迫られる。政府は自治体と緊密に連携し、被災地の惨状を調査して専門家の派遣と必要な資材、物資を提供していくべきだ。

 先の台風15号では、千葉県を中心に多くの民家の屋根が強風で吹き飛ばされた。応急処置としてブルーシートで覆う作業中に転落する事故があったり、屋根修理による詐欺が発生したりした。一人一人の被災者に対し行政支援が届いていない実態が浮き彫りになった。危険なシートの張り替え作業がボランティア頼みというのも問題だ。

 政府が急ぐことは現場任せでなく、被害の実態を把握して住民の日常生活を一日も早く取り戻す。これを最優先で取り組むべきだ。東日本はこれから厳しい冬を迎える。高齢者や女性、子どもたちなど災害弱者に対し行政職員や保健師、社会福祉士がチームを組んで健康管理に対応してもらいたい。

 住宅の床上・床下浸水などの住宅被害は4万棟を超す。住居の泥かきや清掃に心身とも疲れてくるのがこの頃だ。病気がちの高齢者は体調を崩さないよう周囲が気配りしたい。朝晩は寒い。自治体は温かい食事の提供、休息できる場所の確保と被災者の相談に応じられるよう体制整備が急がれる。

 農業被害が明らかになるのはこれからだ。JAグループの県域や全国機関は相次いで対策本部を立ち上げた。被害状況の早期把握と共済金の支払いを急ぐ。地元の意向に沿った支援を講じ、JAグループの助け合いの精神にも期待したい。

 避難住民の疲労が察せられる。生活はどうなるか、いつ家に戻れるのか、不安は尽きない。住宅が全壊か半壊した場合、住宅再建に最高300万円が支給される被災者生活再建支援制度がある。制度の限界感は否めない。

 被災者の声をくみ取る手厚い生活支援が欠かせない。国は最善を尽くして一刻も早い復旧の道筋を示すことだ。
 

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