梨園“居抜き”で継承 土地・木・施設丸ごと 大分県由布市流動化促進協

今年度に新規就農した久保さんの園地。1年目から梨で収入を得ている(大分県由布市で)

 大分県由布市で、梨園地の第三者継承が進んでいる。受け手は県内外からの新規就農者で、県や市などが後継者がいない高齢農家の園地をあっせんする。直前まで梨を栽培していた園地を“居抜き”で渡すため、初期投資を抑えることができ、就農1年目から収入を得られる。3年間で8人が利用し、市内にある梨園地の4分の1(8・3ヘクタール)を就農者が引き継いだ。(金子祥也)

 果樹は、園芸品目と比べて収益の安定に時間がかかる。中央果実協会によると、従来の平棚栽培で梨を育てる場合、実を付けるまでに3、4年。収量が安定して黒字になるまでは5、6年が目安だ。それまでは貯蓄や補助金で生活費を捻出しなければならず、不安が大きい。

 不利な条件を払拭(ふっしょく)して就農者を増やすため、県と市や農家、JAおおいたでつくる「庄内梨園流動化促進協議会」があっせん事業を始めた。就農希望者に紹介するのは高齢で後継者がおらず、第三者継承を希望する農家の園地だ。2016年に市内の梨農家を全戸訪問して、紹介できる農地を把握。栽培規模と品種や樹齢、保有する施設などの情報も整理して就農希望者に提示できるようにした。

 就農相談会などでは、1年目から収入が得られることを強調。それまで作っていた農家の情報を基に、紹介する農地での経営試算なども示して希望者を募った。

 取り組みを利用して市外から移住した久保光輝さん(33)は「果樹の希望者には破格の条件。説明を受けて即決した」と話す。今年から40アールの園地を引き継ぎ、梨栽培を開始。直売所などに出荷して無事に収入も得られたという。

 わずか3年で8人の若者が新規就農者として梨生産に加わった。現在は紹介できる園地がなくなり、就農希望者がいても対応できないほどの人気という。紹介園地を確保するため、耕作放棄地になった水田を園地化し、産地を拡大する計画も持ち上がっている。同市の企画振興係は「新規就農者の経営が安定するまでしっかり支援しながら、取り組みを広げていく」と強調する。
 

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