[スマート解決 地域の課題](4) 果樹の軽労化→リモコン式草刈り機 和歌山県みなべ町

リモコン式草刈り機で除草を省力化する森川さん(和歌山県みなべ町で)

 和歌山県みなべ町で梅を3ヘクタールで栽培する森川元樹さん(43)はリモコン式草刈り機を操作しながら笑顔を見せる。刈り払い機を使った手作業から解放されたためだ。傾斜があっても機械の姿勢は安定し、効率的に下草を処理できる。「果樹栽培には手作業が多いが、スマート農業ならば省力化できる。産地維持にも役立つはずだ」。果樹栽培の現場で、傾斜地での移動や重い荷物の運搬、規模拡大に伴う労働力不足といった課題克服の動きが始まった。
 

つらい傾斜から解放


 梅の生産量全国1位の果樹産地が、危機を迎えている。高齢化と後継者不足が急速に進み、県内の果樹農家は1万4790経営体(2015年)に減少。高齢化率も農業全体で57%(同)だ。果樹園の46%は15度以上の傾斜地で、足腰の弱った農家が栽培を諦める要因になっている。高齢農家の営農継続や若手の経営面積の拡大に向けた方策が求められている。

 森川さんは、同県果樹試験場うめ研究所などと連携、省力生産の実証に取り組み、リモコン式草刈り機は9月に使い始めた。刈り払い機の除草では、低い樹高に合わせてかがむ必要があった。リモコン式なら園内に入らずに操作できる。

 自動かん水装置、リモコン式運搬車、アシストスーツなども取り入れ、除草やかん水、収穫物の運搬の作業時間を従来の15%に当たる14時間の削減が目標だ。

 最も期待するのは自動かん水装置。梅の品質向上には適切な水管理が欠かせず、4~10月の長期間に及ぶ。地域では用水が使える曜日や時間が限定され、森川さんは深夜に割り当てられている。「これまでは夜中に起きて園地に行き、かん水の開閉栓をしなければならなかった」と振り返る。

 来年に導入する自動かん水装置は、自宅など離れた場所からスマートフォンで開栓し、一定時間後に自動で止められる。「移動時間がなくなり、体が楽になるはず」と楽しみにする。

 県内ではミカン栽培のスマート化実証も始まった。収穫、運搬作業ではパワーアシストスーツで高齢農家らの負担を軽減。足を滑らせやすい傾斜地での農薬散布にはドローン(小型無人飛行機)を活用する。同研究所の大江孝明主任研究員は、遅れていた果樹栽培のスマート化の先進事例になるとみる。「梅と温州ミカンで効果を確かめ、柿や桃でも展開したい」と話す。

 森川さんは「果樹のブランドが地域の強み。スマート農業の導入で魅力が増せば、若い農業者の獲得につながる」と展望する。
 

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