灯火親しむ候

 灯火親しむ候。秋の夜長の読書は本好きの愉悦だろう。今は、スマホで電子書籍に親しむ候、だろうか▼読書週間だが、「本離れ」が止まらない。文化庁によると、1カ月に一冊も本を読まない人が半数もいた。電子書籍も含めてこの割合。以前より読書量が減ったと感じる人も7割に上った。仕事や勉強に追われ、空いた時間はスマホを見るのに忙しいことが理由らしい▼人類はこの先、本を読む人と読まない人に分かれるかもしれない。「本の虫」を任ずる作家の三浦しをんさんは、1日1回本屋に行かないと落ち着かないという。大雨だろうが極寒だろうが日課に。そして日がな一日、本や漫画を読みふける。「本は、人間の記憶であり、記録であり、ここではないどこかへ通じる道である」(『本屋さんで待ちあわせ』)▼ここではないどこか。わくわく胸が高鳴る。本は知らない世界への扉を開けてくれる。生涯200冊以上、子どもの本を世に送り出した編集者で作家の石井桃子さんは生前、「名が残るのではなく、本が残ってくれればいい」と話していたという▼石井さんの手書きの色紙が、東京・銀座の本屋「教文館子どもの本のみせナルニア国」にある。そこに〈本は一生の友だち〉の一文。友だちは君との出会いを待っている。

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