水際対策厳格化を 法改正案共同提出も 豚コレラで国民民主
2019年11月15日
国民民主党は14日、豚コレラ(CSF)など家畜伝染病のまん延や侵入防止に向け、家畜伝染病予防法(家伝法)改正案の野党共同提出を視野に入れた検討を本格化させた。肉製品の持ち込みなどを厳しく取り締まる水際対策や、侵入防止策とワクチン接種を巡る国の責任の在り方が焦点。生体や精液・受精卵のワクチン接種地域外への移動を制限することに伴う課題も検証し、野党内の議論を主導する。
政府・与党は家伝法改正の議論に着手。周辺農場を含めた予防的殺処分などが焦点で、来年の通常国会への提出を視野に議論を進める。
今国会から共同会派を組んでいる立憲民主、国民民主など4党派は、飼養豚への予防的ワクチン接種を「国家防疫」と位置付けて財政措置などの国の責任を明確化することを求める声明を発表。家伝法改正も提起していた。
会派内の議論を主導してきた国民民主党は同日、豚コレラ対策本部(本部長=平野博文幹事長)を開き、ワクチン接種や水際対策の現状と課題を議論した。
同党は、肉製品を違法に持ち込もうとする訪日客らの入国を拒否できるようにする出入国管理法改正案を提出している。篠原孝氏は「政府の法案でもいいから早急に厳しい対応にするべきだ」と危機感を強めた。
後藤祐一氏は、政府が推進している野生イノシシ対策の「ワクチンベルト」に対し、「完全に突破された。失敗だ」と批判。神奈川県など接種推奨地域以外で飼養豚へのワクチン接種を希望する地域への早急な対応を課題に挙げた。
接種地域では、地域外に生きた豚や精液などの移動ができなくなる。子豚の導入や精液の流通などで影響を受ける農家、地域への対応も検討事項に挙げる。党内の議論を、今後本格化する共同会派の議論に反映させる方針だ。
政府・与党は家伝法改正の議論に着手。周辺農場を含めた予防的殺処分などが焦点で、来年の通常国会への提出を視野に議論を進める。
今国会から共同会派を組んでいる立憲民主、国民民主など4党派は、飼養豚への予防的ワクチン接種を「国家防疫」と位置付けて財政措置などの国の責任を明確化することを求める声明を発表。家伝法改正も提起していた。
会派内の議論を主導してきた国民民主党は同日、豚コレラ対策本部(本部長=平野博文幹事長)を開き、ワクチン接種や水際対策の現状と課題を議論した。
同党は、肉製品を違法に持ち込もうとする訪日客らの入国を拒否できるようにする出入国管理法改正案を提出している。篠原孝氏は「政府の法案でもいいから早急に厳しい対応にするべきだ」と危機感を強めた。
後藤祐一氏は、政府が推進している野生イノシシ対策の「ワクチンベルト」に対し、「完全に突破された。失敗だ」と批判。神奈川県など接種推奨地域以外で飼養豚へのワクチン接種を希望する地域への早急な対応を課題に挙げた。
接種地域では、地域外に生きた豚や精液などの移動ができなくなる。子豚の導入や精液の流通などで影響を受ける農家、地域への対応も検討事項に挙げる。党内の議論を、今後本格化する共同会派の議論に反映させる方針だ。
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[岡山・JA岡山西移動編集局] 冬まで高品質桃 10品種で長期リレー 労力分散贈答品に
JA岡山西吉備路もも出荷組合は、10品種の桃をリレー形式で長期間出荷し、ブランドを築いている。6月中旬から12月上旬までの長期出荷は全国的に珍しい。中元や歳暮の贈答需要に対応した所得安定や、労力分散を図っている。現在は、高糖度で日持ちが良いJA独自ブランド「冬桃がたり」を出荷。シーズン最後に高品質桃を出荷し、消費を取り込み、来季の販売につなげる。
同組合は、6月中旬の極早生品種「はなよめ」を皮切りに、12月上旬まで「冬桃がたり」を出荷する。
近年、力を入れているのが、シーズン終盤の「冬桃がたり」の生産、販売だ。極晩生種で、1玉約250グラム、平均糖度は15以上。品質や日持ちの良さから、歳暮やクリスマスの贈答需要が強い。卸売価格は、夏に出荷する主力「清水白桃」の2倍以上。今季は11月20日から出荷を始め、12月10日ごろまでを計画する。
「冬桃がたり」は2011年に栽培を始め、組合員94人のうち今は35人が1ヘクタールで生産している。生産量は増え、19年産は前年比4割増の3・5トン、販売額は5割増の1000万円を計画する。
栽培管理は4~11月まで8カ月を要する。一般的な剪定(せんてい)は夏と冬の2回だが、「冬桃がたり」は、夏も果実が樹上にあるため、冬の1回で作業を終わらせる必要がある。剪定場所の判断が重要で、組合内で研究を重ねている。収穫から出荷までは、室温7度に設定したJAの予冷庫で貯蔵。温度変化を抑え、品質を保持する。
1ヘクタールで10品種を栽培する組合長の板敷隆史さん(46)は「労力が分散され、安定収入につながる。増産して需要に応えたい」と意気込む。
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2019年12月06日

果樹以外も“引き”強く 昨年の7倍販売 PBのこぎり好評 JAあいち豊田
愛知県のJAあいち豊田が今年度から販売を始めたプライベートブランド(PB)商品「こめったくんノコギリ」が好評だ。4月からの半年で、昨年ののこぎり販売数の7倍以上に当たる264本を販売。剪定(せんてい)作業に使う果樹農家だけでなく、一般農家にも購入が広がっている。
JAがPBのこぎりの販売を始めたのは、組合員の声がきっかけ。全国の桃生産者が集まる場で、JA桃部会の林金吾さん(67)が長野県にあるメーカーの説明を受け使い始め、良い商品だとJA営農資材課に紹介した。
当初は通常商品として果樹農家向けに販売。2、3年使った農家から高い評価を得たことから、PB化の検討を始めた。同課の職員がメーカーを訪ね、細部まで品質を確認。長期間使っても切れ味が落ちず、果樹農家だけでなく、幅広い目的で使えるよう、グリップの形状なども考慮し選定。4月からPB商品として販売を始めた。
購入価格を抑えるため、JAでは事前注文のキャンペーンを春と秋に実施し、通常より15%ほど安くした。替え刃も用意し、既に購入した組合員の要望にも応えている。
PBのこぎりを愛用する林さんは「他の物とは切れ味が違い、長持ちもするので手放せない。庭木の剪定など一般の人にも使ってほしい」と太鼓判を押す。
JA営農資材課の兵藤仁課長は「組合員の声を形にすることで、営農をサポートし期待に応えたい」と話す。
JAは、2016年3月から組合員の声を取り入れたPB商品を開発、販売している。少量規格の肥料や刈り払い機のチップソー、軽トラックの荷台に取り付けるほろなどを販売し、好評だ。
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2019年12月05日
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年。紀行文『おくのほそ道』で珠玉の句を残す▼東京の出光美術館で開かれた特別展「奥の細道330年 芭蕉」を見て驚いた。最晩年に旅の情景を描いた「旅路の画巻」の公開は実に四半世紀ぶり。細く連なるリズミカルな文字は繊細な感性を裏付ける。当初の俳号・桃青(とうせい)の名もある。句に添えた絵は「蕉門十哲(しょうもんじってつ)」の一人、森川許六(きょりく)による。近江・彦根藩士で絵師、俳人、やり使いの名人でもあった▼『ほそ道』を軸に、数百年前後して日本の文学史に残る詩歌が残った。芭蕉は漂泊の歌人・西行500回忌に、歌枕の追体験に旅立つ。明治には短歌革新の正岡子規も同じ行路をたどり多くの名句を詠む▼謎多き人である。門下には武士も多い。旅に同行した弟子の河合曾良(そら)は幕府の巡見、情報収集役。大勢力を持つ伊達・仙台藩の動向を探る役割も担う。公称60万石だが実際は200万石近く。藩領内に入ると緊張が走る。〈夏草や兵 (つわもの) どもが〉など名句を残すが、身の危険を感じていたのか実際の滞在はわずか。『影の日本史にせまる』(嵐山光三郎、磯田道史著)に学ぶ▼600里の長旅から〈不易流行〉の境地に。絶え間ない変化は、“未知の細道”みちのくの情感がもたらしたのか。
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2019年12月11日
ラグビー菊池寛賞 ワンチームに学び改革
ラグビー・ワールドカップ(W杯)でベスト8に輝いた日本代表チームが菊池寛賞を受賞した。日本代表の活躍は、改めて「ワンチーム」で組織が一丸となれば難局を突破できる勇気を国民に与えた。JA自己改革などでも参考にできる「スクラム型組織論」を学びたい。
菊池寛賞は、文化活動で創造的業績を上げた個人、団体に贈る。6日の贈呈式で日本代表も表彰される。受賞理由は、ワンチームで強豪国を破る姿が「日本中に勇気を与えた」ことだ。果敢なタックルで立ち向かい、スピードを生かし得点を重ねる姿に感銘を受けた。停滞感が覆う日本人に「前を向く」大切さをも示した。
同賞は昨年、ユーミンこと松任谷由実さんが受賞し話題となった。「日本人の新たな心象風景をつくった」ことが評価された。代表曲の一つ「ノーサイド」は、全国高校ラグビー決勝での激戦を題材にした。この中に〈何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの 誰も知らず〉の歌詞がある。今回の日本代表からも「多くの事を犠牲にしラグビーに打ち込んできた」の言葉が何度も出た。同賞とユーミンとラグビーの結び付きを思う。
ラグビーの持つ戦術と精神に学ぶものが多い。象徴的な用語は、流行語大賞に選ばれた「ワンチーム」と「スクラム」「ノーサイド」。加えて日本代表には三つの“わ”があった。「和」「話」「輪」だ。チームの和を最も尊び、相互理解する話し合いを深め、大きな輪となり、相手を打ち砕く塊となる。
JA改革にも共通する。例えば、経済事業改革を進めるJA全農の新3カ年計画のスローガン「全力結集で挑戦し、未来を創る」はラグビーの勝利の方程式でもあろう。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の精神は、協同組合の相互扶助、助け合いとも重なる。
組織には野球型とラグビー型の二つがあるという。野球型はトップが人を駒として動かす。監督が試合中にも指示を欠かさない。いわば上意下達の仕組み。一方で、ラグビー型は統一した明確な戦術の下に個々が考えて臨機応変に動く。今は先が読めない不確実性の時代で、ラグビーの戦術を今後の組織戦略に生かす経営トップも多い。違った専門性を持つ社員が力を合わせる「スクラム型組織」こそ、難局打開の突破口を開くとの考えからだ。日本代表のうち外国出身者は半数近い。「多様性」を弱点でなく強さに変え、勝ち抜くのも「スクラム型組織」の特色と言えよう。
経済界トップに加え政治家、農業界にもラガーマン出身が存在感を持つ。強い責任感、自己犠牲、耐え抜く精神力、勝利へのこだわり。底流には、思いを一つにしてみんなで努力すれば巨象をも倒せるとの「ワンチーム」への信念と確信がある。今回の日本代表の菊池寛賞受賞の意味を、JA改革断行にも役立てたい。
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2019年12月06日

新米販売が苦戦 10月支出額前年割れ 消費増税影響か
新米の販売が苦戦している。消費動向が分かる総務省の10月の家計調査で、米の1世帯当たりの支出額が3年ぶりに前年を下回った。米離れに加えて、消費税増税による節約志向が影響したためとみられる。現状の小売価格は前年並みだが、米卸やスーパーは売れ行きの動向を見極めながら、価格の居所を探っている。
小売 動向探る
10月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの米の支出額は2944円と、前年同月を3・9%(実質)下回った。米の支出が年間で最も多くなる時期に販売が鈍化した。
消費税増税前の駆け込み需要の反動によって、消費支出全体が同5・1%減と11カ月ぶりに前年割れする中、軽減税率が適用される米でも減少が見られ、増税による節約志向が影響したもようだ。
米穀機構の11月調査でも、前年と比べた現状の販売数量の指数は、小売りや中食・外食業者が42で基準点の50を下回った。「減った」と回答する業者が多かった。
現在、スーパーなどの小売価格は前年からほぼ横ばいの展開となっている。全国のスーパー約1000店の販売データに基づく農水省公表の精米5キロの小売平均価格(10月)は、前年同月比0・5%安の2031円。秋田「あきたこまち」は1・8%安の1987円、新潟・一般「コシヒカリ」は1・4%高の2202円など小幅な上げ下げはあるが、前年並みの水準が中心だ。
米卸やスーパーの対応はまちまちだ。「購入数が増えにくいので、単価を上げて売り上げ増を目指す」(東京都内の中堅スーパー)との声がある一方「これ以上の価格上昇は消費を低迷させる」と特売で集客を狙う動きがある。「安くしても、大幅には販売が伸びない」(大手卸)との見方もある。
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2019年12月11日
農政の新着記事

基盤強化プログラム 生産拡大へ数値目標
政府は10日、安倍晋三首相をトップとする農林水産業・地域の活力創造本部の会合を開き、輸出向けの産地形成や担い手不足などに対応する「農業生産基盤強化プログラム」を決定した。輸出拡大をにらんだ和牛生産の倍増や水田農業の高収益作物産地500カ所創設などの新たな数値目標を設定。2019年度補正予算や20年度予算に達成に向けた経費を計上するが、万全の財源が確保できるかが問われる。
和牛倍増 加工野菜の需要奪還
安倍首相は会合で「安心で安全な日本の農林水産物が世界に羽ばたくチャンスは今後ますます広がっていく」と強調。輸出拡大や先端技術を活用したスマート農業の推進には「しっかりとした生産基盤が欠かせない」との認識を示した。
江藤拓農相は、同日の閣議後会見で「最重要課題の生産基盤強化を目的に取りまとめた」と説明。現在検討している補正予算を含め「切れ目のない対策を講じていく」との考えを示した。
プログラムは11本の柱で構成。日米貿易協定による牛肉輸出枠の拡大などを念頭に「さらなる輸出拡大」を真っ先に掲げた。来年4月に農水省に輸出の司令塔組織を設置し、輸出拡大に向けた新戦略を定める。
和牛生産は、米国や中国への輸出拡大を見込み18年の14万9000トンから35年に30万トンまで増やす目標を設定。具体策として繁殖雌牛の増頭奨励金や和牛受精卵の利用促進などを打ち出した。
水田農業対策では、輸入品が多い加工・業務用野菜の国産化や輸出向けの果樹栽培を念頭に、主食用米から高収益作物への転換を促し、25年度までに500産地の創出を目指す。高収益作物を導入する産地に水田の基盤整備や機械・施設の導入、販路開拓などを一体的に支援する方針だ。
「中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図る」とも明記。24年度までに地域資源を活用して中山間地域の所得向上などに取り組む250地区を創出することも盛り込んだ。
他に、加工・業務用野菜の出荷量(直接取引分、18年度は98万トン)を30年度までに145万トンに拡大することや、25年までに担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することなども目標に据えた。
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2019年12月11日

畜酪対策 補給金単価上げ重視 中小支援が課題 自民
自民党は10日、2020年度の畜産酪農対策の決定に向けて、詰めの議論をした。加工原料乳生産者補給金の単価引き上げに加えて、都府県酪農の抜本的な強化策を求める意見が相次いだ。生産基盤の維持、強化に向けて、中小規模や家族経営への支援を重視。畜産クラスターの要件緩和や営農継続に向けた関連対策の充実を課題に挙げた。
畜産・酪農対策委員会(赤澤亮正委員長)の他、農林合同会議でも議論を重ねた。
補給金は、集送乳経費を支援する集送乳調整金と合わせ、19年度は1キロ当たり計10円80銭。北海道選出の議員らは再生産の確保に向けて、流通コストの高騰などを考慮し、相次いで単価の引き上げを求めた。
関連対策を巡っては、畜産クラスター事業の要件緩和や、家畜ふん尿処理対策、労働力確保に向けた酪農ヘルパー確保など課題は多い。政府は畜産・酪農の基盤強化に向け、繁殖雌牛や乳用後継牛への「増頭奨励金」の交付など、増頭・増産を柱に掲げている。
葉梨康弘氏は、畜産クラスター事業などの支援策について、「増頭できる家族経営ばかりじゃなくなっている」と指摘。規模拡大を目指す農家だけでなく、柔軟な要件にするよう求めた。
生産量減少が進む都府県酪農では、大規模化が難しい中小経営の基盤維持が課題。簗和生氏は「現状維持でも継続できるよう支援するというメッセージが生産回復の一歩だ」と訴えた。
坂本哲志氏は、後継牛やヘルパーの確保、ふん尿処理などを個別に解決しても効果は限定的と指摘。「総合パッケージ型の酪農対策をやらないといけない」と提起した。
ブランド和牛生産の実態を踏まえ、小寺裕雄氏は「規模拡大ばかりに向かわず、現状を維持する経営にも手を差し伸べる施策を充実してもらいたい」と訴えた。
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2019年12月11日

事業協同組合 各地で設立へ 農業、飲食店、介護業…人口急減地域に働き手 若者定住受け皿に
過疎地や離島など人口が急減する地域のさまざまな職場や作業場に、事業協同組合が若者を“人材供給”できる新法が成立した。集落営農組織、飲食店、介護業者、農家など、若者は組合に出資した多様な組織や個人事業主に出向いて通年雇用され、行政が運営費を補助する。新法の活用では若者がやりがいを持って働ける環境づくりや地域内の連携が鍵になる。
複数の仕事通年で提供
新たな法律は「特定地域づくり事業推進法」。先の臨時国会で11月27日に成立した。都道府県知事が認定し、人口が急減している各地域に、特定地域づくり事業協同組合を設立するものだ。
組合は、地域の四つ以上の会社や個人事業主などが出資して発足。出資できる組織は資本金や従業員数などの上限がある。同組合では社会保障や給与を保障して若者らを通年雇用し、基本的に出資先の組織や個人事業主に人材を供給する。
総務省によると、山間部の一つの中小企業で雇用を1年間継続するのは難しくても、地域の企業や個人が連携し同組合を設立すれば人材を確保できる。同省は「夏場だけ忙しい農業、冬場だけ忙しいスキー場など、年間の需要の変動を、組合でうまく調整すれば年間通じた仕事が確保できる」と説明する。
政府・与党は組合運営費の2分の1を基本的に公費から支援する方針だが、特別交付税措置も含めて国がそのうちの4分の3を財政支援をする見通し。来年6月の施行までに同省が詳細を決める。
組合が雇用する従業員は若者を想定するが、法律には年齢制限を明記していない。厚生労働省の労働局に労働者派遣の届け出をして、各職場に出向くことになる。
JAの場合、資本金や従業員数の上限があるため、事業協同組合に出資できない組織が多い見通し。ただ、同組合の事務局になり地域の連携を後押しするなど、関わる手立ては多い。事務局は公務員やNPOなど多様な主体を想定する。
環境づくり話し合いを
同法に、既に大きな関心を示す地域もある。農山村に移住したい若者はいても、安定した仕事の確保が移住や定住の壁の一つ。同法の運用次第では若者の定住対策も見込める。今後は、雇用される若者がやりがいを持って出向く環境づくりが問われる。
島根県邑南町の石橋良治町長は「田舎で豊かに暮らしたい若者の活躍の場を作りたくても、難しい面があった。地域にも若者にも貴重な法となり得る。受け入れる側の責任が問われる法律」と認識する。今後は地域で時間をかけて話し合い、出資をしてもらう会社や組織を募り、若者を受け入れる考えだ。
子育て支援に力を入れる新潟県出雲崎町も関心を示す。小林則幸町長は「若い人を呼び込める起爆剤としたい」と強調する。一方、西日本のある県は「労働の穴埋めという考えではうまく機能しない。人手不足だからと安易に組合発足を(自治体に)促さず、話し合っていく」とする。
地域の“宝”呼び込む
法律の作成を主導した人口急減地域対策議員連盟会長、細田博之衆院議員の話
かつては田舎には仕事がなく都会に若者が向かっていた。しかし、働く環境や子育てする環境などを見ると、現代は都会が過疎地域に比べて豊かとは決して言えなくなった。ただ、農村に住みたい若者はたくさんいても仕事の確保が課題だ。
一方、農村では、農業や林業、雪かき、介護、草刈りなど仕事はたくさんあり、人手不足に悩む。ただ、何か専業では食べていけなかったり、一つの企業で雇用は難しかったりと課題がある。
新法はこの二つの課題を結びつけるもの。雇用保険や年金など社会保障も確保して通年雇用し、多業で働いてもらう。
法律に「派遣」との言葉があるので都会の派遣業のイメージを持つ人もいるが、全く異なる。来て働く若者は地域の宝。新法は地域の中核となる人材を安定雇用するものだ。派遣というより、人材供給と捉えてほしい。
国は財政支援をする。ただ、まずはJAや地域の中小企業などみんなで将来の地域の在り方も含めて話し合ってほしい。山間地の集落営農組織に活用してもらいたい。
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2019年12月11日

アフリカ豚コレラ 予防的殺処分 迅速に 議員立法も視野 通常国会で先行改正
政府・与党が1月召集の通常国会の冒頭で、アフリカ豚コレラ(ASF)を予防的殺処分の対象とするため部分的な法改正を検討していることが9日、分かった。同国会で家畜伝染病予防法全般の改正を予定しているが、同病の国内侵入に早急に備えるため、この部分だけを先行する。与党は通常より手続きを早められる議員立法を念頭に野党とも調整する。
通常国会は来年1月に召集されるが、2019年度補正予算案や20年度当初予算案の審議を優先し、家伝法を含む一般の法案の審議は4月以降となる見通しだ。
だが、アフリカ豚コレラはアジア各国で発生が拡大し、国内侵入の危険性が高まっている。「予防的殺処分に関する条文だけでも、一刻も早く改正しなければならない」(自民党農林幹部)と判断した。
アフリカ豚コレラは伝染力や致死率が高いが、有効なワクチンが存在しない。このため政府・与党はこの通常国会で家伝法を改正し、一定地域内で、感染していない家畜も含めて殺処分する「予防的殺処分」の対象にする方針を固めている。現行法では、口蹄疫だけがその対象だ。
一方、政府・与党が予定する家伝法改正には、豚コレラ(CSF)対策の強化のため、①国の関与の強化②野生動物対策の法定化③検疫担当職員の権限強化──なども含まれる。政府・与党は、このうちアフリカ豚コレラの予防的殺処分に関する条文だけを先行改正し、補正・当初予算などの成立後、残る部分も改正する方針だ。
法改正について政府・与党は「委員長提案」による議員立法を念頭に置く。事前の与野党合意を前提に、衆参委員会での審議を省略し、手続きを迅速化できる手法だ。豚コレラやアフリカ豚コレラ対策を巡っては、野党も独自に家伝法の改正を検討している。別の自民党農林幹部は、予防的殺処分については与野党で一致できるとみて「今後、野党にも協力を呼び掛けたい」とする。
59カ国・地域で確認 水際に警戒感
アフリカ豚コレラは2005年以降、世界で59の国と地域で発生が確認されている(11月10日現在、農水省調べ)。国際獣疫事務局(OIE)の報告によると、発生件数は飼養豚と野生のイノシシを合わせ、少なくとも3万件を超える。日本では、飛行機で来日した外国人が持ち込もうとした肉製品から、ウイルスの遺伝子が検出された例はこの1年間で80件を超え、水際での警戒が強まっている。
アジアでは18年8月に中国で感染が確認されて以来、11の国と地域に拡大した。OIEには12月8日時点で、豚の飼養施設と野生イノシシの発生を合わせて約6500件の報告があった。直近では韓国で9月中旬に拡大。飼養豚は10月上旬で発生は止まっているが、12月に入っても野生イノシシでの発見が続いている状況だ。
アジアから日本への航空便では、旅客の持っていた肉製品からアフリカ豚コレラのウイルス遺伝子が見つかる事例が増加している。当初、摘発が多かった中国やベトナムの他、ラオスやカンボジア、フィリピンから持ち込もうとした例も出てきた。
欧州では今年、スロバキアやセルビアで新たに感染を確認した。野生のイノシシでは11月だけでもポーランドやベルギー、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアで陽性の報告があった。ロシアでは12月にも野生イノシシで陽性が出た。
アフリカ豚コレラは、国内で発生している豚コレラと症状が似ているが、全く別のウイルスによって感染する豚やイノシシの病気。有効なワクチンがなく、発生した場合は早期の殺処分による封じ込めしか対処法がない。
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2019年12月10日
温暖化で植物適地移動 VoCCで分析 果樹転換参考に 長野県など研究
地球温暖化が現在のペースで進むと、国内の高山帯に生息する野生動植物は、21世紀末に生息適地がなくなる可能性がある──。長野県環境保全研究所などでつくる研究グループが発表した。全国1キロ四方ごとに温暖化の影響を推計したのは初めて。影響は市町村ごとに閲覧できるようにし、農業分野では作物転換の検討に使ってもらう。
推計には、気候変動速度(VoCC)という指標を用いた。現在のペースで温暖化が進むと、VoCCの全国平均は1年当たり249メートルとなる。樹木の移動は、最大で同40メートルといわれており、気候変動に追い付けない。これは、身近な自然が将来、緯度の高い所や標高の高い所でしか見られなくなるということを示唆する。
都道府県ごとに影響を見ると、沖縄が同2174・3メートルで、最も速度が速かった。次いで千葉、長崎となった。自治体ごとの影響は、環境省のホームページ内で確認できるよう準備を進めている。
農業分野では、将来の地域の気候がどの地域と同じになるのか判断でき、転換する品目・品種や転換のスケジュールの検討で参考になる。同研究所の高野宏平研究員は「果樹などの永年作物は栽培や転換に時間がかかる。苗木の準備計画に役立ててもらいたい」と話す。
<ことば> VoCC
ある地点で気候が変化した場合、将来同じ気温になる場所の最短距離を、変化した時間で割った速度のこと。例えば、年平均気温15度の場所が100年間で100キロ北上したら、VoCCは1年当たり1キロとなる。
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2019年12月10日

中小・家族目配りを 自民畜酪委熊本を視察 畜産農家ら訴え
自民党畜産・酪農対策委員会は7日、2020年度の畜産・酪農対策の決定に向け、九州の酪農・畜産現場へ視察に入った。意見交換で畜産農家は、中小や家族経営も安定的に農業を続けられる環境づくりを要望。ヘルパーの確保や、豚コレラ(CSF)などの防疫強化を求めた。
熊本県JA菊池で開いた意見交換には、井野俊郎同委員会委員長代理、農林・食料戦略調査会の坂本哲志副会長、藤木眞也農水政務官らが出席。JA熊本中央会の宮本隆幸会長は、相次ぐ国際貿易交渉の結果「農家は先が見えず不安になっている。次世代が安心して農業ができる対策をしてもらいたい」と訴えた。
繁殖農家の源義通さん(69)は生産力の維持・向上には「定休型ヘルパーの導入で、農家が休めるようにしなくてはいけない」と指摘。ヘルパー確保につながる支援を求めた。肥育農家の斉藤秀生さん(59)はアジア諸国から日本への観光客の増加で「豚コレラや口蹄(こうてい)疫の侵入リスクが高まっている」と懸念。農家ごとの対策は限界があるとして、国主導の水際対策の強化が「最重要課題」と強調した。同委の宮路拓馬事務局長は北海道、関東、九州での視察内容を踏まえ、11日にも対策をまとめる考えを示した。
8日は鹿児島、宮崎県での現場視察、農家らとの意見交換を予定する。
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2019年12月08日

コスト増、人材不足、日米交渉… 生乳生産不安尽きず 畜酪対策 来週ヤマ場
2020年度の畜産・酪農対策を巡る政府・与党の協議が来週、ヤマ場を迎える。都府県は生乳生産の減少に歯止めがかからない一方、北海道は増産意欲は高いが、コスト増や人材確保などの課題があり、日米貿易交渉など将来への不安も尽きない。生産基盤強化に向け、規模拡大や家族経営の維持など多様な担い手が将来に安心して生産できる体制を求める声が強まっている。
生乳生産量は、北海道は増産基調だが、都府県は前年割れが続く。課題の一つが農家戸数の減少が続く都府県酪農だ。
栃木県大田原市で、育成牛含めたホルスタイン66頭を家族3人で飼養する藤田義弘さん(43)は「乳価は上がったが、消費増税で相殺され、経営は改善していない」と訴える。課題として挙げるのは人手の確保。毎月の休みは3日で休む時は酪農ヘルパーに頼むが、来てくれないときもあるためヘルパーの人材確保を強く求める。
藤田さんが就農した20年前の市内の酪農家は約90戸だったが、現在は約70戸。戸数減に歯止めをかけるため「現状の規模や労働力でも経営が維持できる対策にも力を入れてほしい」と家族酪農が続けられる対策の充実を求める。
「クラスター」要件厳し過ぎ
北海道頼みの生乳生産だが、道内の生産基盤も盤石ではない。酪農家は減り、規模拡大で生産量を維持、拡大している状況でコスト増が課題だ。
士幌町で乳牛380頭を育てる川口太一さん(56)は、牛舎の増築費用に頭を悩ませる。現在の搾乳牛200頭を約260頭に増やしたいが、増築費は資材費や人件費の高騰で「10年前に牛舎を作った時より、2倍以上(3500万~4000万円)かかる」と話す。畜産クラスター事業を活用したいが、建築基準などの要件が厳しく適用が難しいという。このため、同事業の要件緩和を求める。
コストが高くなりがちな冬の施工を防ぐため、十分な工期を確保できる仕組みも提案。同事業本来の狙いである畜産関係事業者が連携・集結し、地域ぐるみで高収益型の畜産を目指す体制整備も重要と話す。「産地としての責任を果たすため経営主になって以来、増頭してきた。少しでも事業を使いやすくしてほしい」と強調する。現在はパート1人、中国人技能実習生3人で経営しており、将来の雇用確保も懸念している。
中小・家族経営守る政策必要
酪農の規模拡大が進む中、新たな課題が広がる。「増頭で、ふん尿処理に困っている」「酪農ヘルパーなどの人材確保の対策を続けてほしい」──。11月30日、12月1日に釧路市や幕別町、網走市を視察した自民党畜産・酪農対策委員会の委員に、各地区のJA組合長が訴えた。「中小規模・家族経営基盤の維持強化に向け、省力化などの支援を続けてほしい」といった声も目立つ。酪農家が減少する中で規模拡大一辺倒ではなく、中小規模や家族経営を守るという意識も高まっている。
JAグループ北海道は畜産クラスター事業では計画的に投資できるように全ての事業の基金化を求める。加工原料乳生産者補給金は再生産可能な水準、集送乳調整金は指定団体が機能発揮できる水準を求めている。
生産減、離農止まらず
全国の生乳生産量は減少傾向にあり、農水省によると2018年度は728万9227トンと、5年前から2・9%減。特に都府県で減り続けている。牛乳・乳製品の需要は堅調だが、生産量が伸び悩み自給率は低下。同年度はカロリーベースで25%にとどまった。
酪農家戸数はこの10年、前年比4%前後の減少が毎年続く。大規模化や牛1頭当たりの乳量の伸びで、生乳生産の下落をカバーしている。
JAグループは、中小規模の家族経営などの離農が止まらないことが生産基盤の弱体化につながっていると指摘。大規模農家を、引き続き生産基盤の維持・拡大をリードする存在と位置付ける一方、「多様な生産者」の生産基盤の強化を重視する考えを打ち出した。
20年度畜産・酪農対策の重点要請では、規模拡大を問わず事業継承や生産効率の向上を支援するように提起。特に、飼養頭数50頭未満が76%を占める都府県酪農を念頭に、牛舎の空きスペースを活用した増頭への支援などが必要だとしている。
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2019年12月07日
直接支払い3制度 自治体負担軽減を 農水省が検討開始 根拠法20年度見直し
農水省は6日、中山間地域等直接支払制度と多面的機能支払交付金、環境保全型農業直接支払交付金から成る「日本型直接支払い」の検証を始めた。農業者団体からの意見聴取などを通じ制度の課題を洗い出し、2020年度に対応方針も取りまとめる。現場で制度を推進する自治体の事務負担の軽減などが検討事項となる見込みだ。
三つの制度は、政府が地域政策と位置付けており、条件不利地を含めた農地の保全、営農の継続などを後押ししている。各制度の根拠法として、農業の多面的機能発揮促進法が15年4月に施行され、施行5年後の20年度に見直すかどうか、検証するとしていた。今後、三つの関連制度の第三者委員会で検討を進める。
同日の会合で、委員長に就いた東京大学大学院の中嶋康博教授は「それぞれ(の直接支払いは)地域の農業農村に大きな役割を果たしている。改めて法制度、運用について課題を共有したい」と話した。同省は、自治体のアンケート結果を報告。三つの制度を同じ部署で担当している市町村は7割に上った。
宮城大学の三石誠司教授は、関連制度を推進するに当たり「市町村が忙しいため、(現場の要望を)聞くことができていないのではないか」と指摘。自治体の人手不足を課題として検討するよう提起した。
日本消費者協会の河野康子理事も自治体の人手不足を課題に挙げ、「コンサルティングなどの手当てが必要」と述べた。コンサルタント企業クニエの原誠マネージングディレクターは「事務と人材が課題の大きな柱になる」と指摘した。
市町村は同じ部署で3制度を担当するが、同省は制度ごとに担当部署を設けていることも論点になった。中嶋委員長は市町村の人手不足を念頭に「書類様式を可能な限り統一した方がいい」と指摘、同省に精査を求めた。
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2019年12月07日

肉持ち込み厳罰化へ 次期国会提出めざす 家伝法改正で農水省検討会
農水省の有識者検討会が6日、家畜伝染病予防法(家伝法)改正の提言(中間取りまとめ)を公表した。入国者が肉製品を持ち込んだ場合の罰則強化の他、アフリカ豚コレラ(ASF)の発生時に周辺農場を含む予防的殺処分を可能にすること、疾病発生時の国や都道府県の指導権限強化を盛り込んだ。これを踏まえ、同省は法案作成を進め、来年の通常国会に提出を目指す。
会議では、①輸出入検疫②野生動物対策③疾病のまん延防止措置④飼養衛生管理──の4テーマごとに提言を示した。
輸出入検疫では、訪日客が急増する中で肉や肉製品の持ち込みが増えているとして、厳罰化の重要性を強調。現状では3年以下の懲役または100万円以下の罰金としている罰則を引き上げることを盛り込んだ。家畜防疫員には、肉が入っている疑いのある荷物を開ける権限が必要とした。
野生動物対策には、豚コレラ(CSF)で野生イノシシがウイルスを拡散した経緯を踏まえ、経口ワクチンを法律に位置付けるべきだと明示。疾病のまん延防止ではワクチンがないアフリカ豚コレラの侵入時に、発生周辺農場の予防的殺処分をすべきだとした。
飼養衛生管理については農場へ責任者を設置し、基準や都道府県の命令に違反する場合は厳罰化を提言。都道府県や国の責任を明確化し、緊急時に迅速な対応が行われるよう求めた。
今回の提言をまとめたのは「我が国の家畜防疫のあり方についての検討会」。10月下旬から4回にわたり議論した。
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2019年12月07日

日米協定 規模問わず支援明記 畜産増頭強化も 政策大綱改定
政府は5日、環太平洋連携協定(TPP)等総合対策本部(本部長=安倍晋三首相)を開き、日米貿易協定の国内対策の指針となる「TPP等関連政策大綱」を改定した。中小・家族経営や条件不利地も含め、規模の大小を問わずに意欲的な農家を支援する方針を明記。畜産の増頭支援やスマート農業の推進を重視した。来年1月1日にも日米協定の発効を控える中、長期的な生産基盤の強化につなげられるかが課題になる。
2019年度補正予算の農林水産対策費として反映する。安倍首相は「なお残る国民の不安を払拭(ふっしょく)する必要がある。国内産業の競争力強化に加えて、農林水産業の生産基盤強化に努める」と強調した。
江藤拓農相は同日、農水省の対策本部で「必要な補正予算の確保を含め、しっかりと対応を議論し、これからの食料・農業・農村基本計画の議論にも反映していきたい」との考えを示した。
来年1月1日に発効する見通しとなった日米貿易協定やTPPでは、特に畜産・酪農への長期的な影響が懸念される。
大綱では基盤強化策として「肉用牛・酪農経営の増頭・増産を図る生産基盤の強化」を掲げた。畜産クラスター事業での中小・家族経営向け支援を拡充する。堆肥の活用による全国的な土づくりの展開も打ち出した。
スマート農業の活用、輸出拡大の環境整備などにも力点を置く。一連の財源確保は「既存の農林水産予算に支障を来さないよう、政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」との方針を維持した。
牛肉などのセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)では、TPPの発動基準数量が米国離脱後も見直されず、日米貿易協定のSGと併存するため、基準数量の調整が課題。大綱では「日米貿易協定の発効後の実際の輸入状況を見極めつつ、適切なタイミングで関係国と相談を行う」とした。
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2019年12月06日