「帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり」

 「帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり」。78年前のきょう、太平洋戦争が始まったことを国民はラジオで知った▼歌人の斎藤茂吉はこう詠んだ。「たたかいは始まりたりというこえを聞けばすなわち勝のとどろき」。国民の多くが高揚していたという▼1931年9月18日、満州事変の勃発が世論の転機となる。近現代史作家の半藤一利氏は、戦争回避へ歴史を逆転させるチャンスが「(翌)十九日夜を起点とする二十四時間にあった」、鍵は「世論がどう動くかであった」(『戦う石橋湛山』)と書く。陸軍は警戒したが、新聞が号外戦を繰り広げ「マスコミは争って世論の先取りに狂奔」▼議会も翼賛化した。38年の国家総動員法の成立には抵抗を示したが、2年後には「反軍演説」を行った斎藤隆夫を除名。「議会は議論、討論する場であり、それを失っては国家はその骨格を失ってしまう」。ノンフィクション作家の保阪正康氏が『昭和史の教訓』に記す▼安倍政権は集団的自衛権の行使を認め、それを可能とする安保法制を強行、戦争に巻き込まれるリスクが高まった。いま海上自衛隊を中東に派遣しようとしている。報道と国会。権力監視の力が弱まれば歴史は繰り返す。次も悲劇として。肝に銘じたい。
 

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