すっかり信州弁に親しむ

 すっかり信州弁に親しむ。本紙に連載していた小説『雪のなまえ』を読みながら、人は生かされているのだと改めて感じた▼主人公・雪乃は東京の学校でいじめに遭い、今は父の故郷・信州で暮らす。自身の経験も重ねた方も多かろう。〈再生〉の物語でもある。周りの温かいまなざしが、やがて凍(い)てついた彼女の心を溶かし、自らの足で大地に立ち再び「明日」へ歩み始める▼直木賞作家・村山由佳さんが描く信州の風景は心地よい風が吹く。オカダミカさんの挿絵が登場人物となじみ、作品効果を高めた。キーワードは、信州に降る〈雪〉である。主人公の名前でもあり、タイトルともなる。真っ白な雪は純真な心の化身かも。科学者・中谷宇吉郎の名言「雪は天からの手紙」も思い出す▼「子どもはね、大人から心配してもらうのが仕事なの」「ちょっとくれえ怪我(けが)したっていいに。いっくらでもやり直せるよ」と優しいヨシばぁば。正治さんは「けどな。転んだら、ほー、起き上がンねえと」と励ます。シゲじぃじには「畑を良くするから野良仕事と呼ぶ」などいろいろなことを学ぶ▼「立春」を経て雪の季節から春へと歩が進む。1月から新連載『亜ノ国へ』。児童文学者・柏葉幸子さん描く不思議な世界へ迷い込み、また毎日の楽しみが増す。
 

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