オリーブ見事産地化 耕作放棄地に新たな命 鹿児島県日置市

日置市のオリーブを使った商品(鹿児島県日置市で)

 鹿児島県日置市で、オリーブの産地化が進んでいる。計画開始から10年足らずで110戸の農家が16・4ヘクタールを手掛ける規模に成長した。耕作放棄地や老木が目立っていたかんきつ園を活用している。旗振り役の市は、地域に合う品種や剪定(せんてい)の仕方、実の品質などを自ら検証。農家が安心して取り組めるようにした。12月には全国オリーブサミットも開く。(金子祥也)
 

行政がまず栽培


 同市東市来にある住宅街のすぐそばに、オリーブの木が整然と並ぶ。2013年に市職員らが苗木を植えた園地だ。市が率先して栽培することで農家の意欲を引き出しつつ、必要な検証をするために用意した。この園地で農薬散布、剪定、収穫などの作業を担うのは全て同市職員。先進地の香川県小豆島町で半年間研修を受けて、技術を習得した。

 栽培試験を終えた市は15年から農家への普及に着手。摘果などの手間がかからないことなど、試験で得た知見を共有しながら呼び掛けることで、これまでに110戸が栽培に加わった。10アール当たり、平均40本を植え付ける。成木化すると1本から5~10キロの実が取れ、10アールで16万~32万円の収入が見込めるという。

 日置市は山間地が多く、廃業したかんきつ園などの耕作放棄地が増えていた。市は特産化を進めながら放棄地の解消も目指している。

 中島祟幸さん(42)は、市の勧めで栽培を始めた一人。本業の清掃業と両立できると感じ、1ヘクタールの農地を取得して栽培に乗り出した。「市が先に栽培しているし、栽培管理の講習もしている。気軽に参入できた」と話す。
 

地元企業が加工


 産地化のきっかけは、市内にあった家電メーカー工場の撤退だった。数百人規模の仕事がなくなり、代替する産業が必要だった。

 そこで白羽の矢を立てたのが、オリーブの産地化。需要は伸びているが国産の供給量が少ない。オイルなどにする品目なので、加工する企業を誘致すれば雇用創出も期待できた。

 日置市で作られたオリーブは現在、市内に本社を構える鹿児島オリーブが買い取って加工している。地銀や地元企業が出資して作った会社だ。原料を1キロ800円で買い取り、化粧品やオイルを作っている。同社は19年度から市内産のオリーブを100%使ったオイルを発売。価格は1本(90グラム)5500円(税別)と高級だが、珍しい国産オイルとして引き合いが強く、売れ行きは順調だ。

 農水省の特産果樹生産動態等調査(2016年)によると、熊本、大分、広島、群馬など全国で14県がオリーブの生産を始めている。昨年には一大産地、香川県の小豆島で全国オリーブサミットが開かれるなど、各地で産地化の機運が盛り上がっている。

 12月に開く2回目のサミット開催地は日置市で、同市は栽培拡大の弾みにしようと意気込む。市農林水産課は「市の産業として形になってきて手応えを感じている」(オリーブ推進係)と話している。
 

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