農政 求む柔軟な発想 手法定着なるか 農水省若手発プロジェクト

 農水省は、若手をはじめ職員から政策アイデアを募る試みを始めた。国の農業政策に、自由で柔軟な発想を取り入れるのが狙いで、部局を越えて複数のプロジェクトが動きだしているが、実際に同省の政策として採用された実績はまだない。新たな政策立案の手段として確立できるかが課題となる。

 「政策提案に直結する仕事がしたい」。そんな若手職員らの声を受けて生まれたプロジェクトが「政策オープンラボ」だ。

 政策立案を希望する職員が自らの構想を発表する場として、2018年度にスタート。アイデアが幹部職員に採択されると、業務時間の1、2割を調査や分析などの活動に充てることができる。

 これまで九つのプロジェクトが対象になった。そのうち、女性職員グループによる「棚田女子プロジェクト」は、1年かけて現地を調査。女性の観点から棚田と健康を結び付け、棚田米の機能成分を測定して「メディカルライス」として販売するなどのアイデアを提案した。相次ぐ自然災害を踏まえ、農業者向け事業改善計画(BCP)導入ガイドブックの普及なども提案された。

 ただ、現時点で各プロジェクトの中から、政策として採用されたことはまだない。担当部署に情報を提供し、今後の事業への反映を目指している。

 政策として実行することを前提としたオープンラボに対し、自ら思い付いたアイデアを自由に発表できる場として「政策のタネコンテスト」がある。19年6月にスタートし、既に2回開催。計38件の応募があった。

 今年1月の第2回大会は、近畿農政局の岡本紘幸さんの「企業の援農バケーション」が優勝した。働き方改革で企業の有給休暇取得者が増えることを見込み、農作業の応援に入ってもらう仕組みづくりを提案した。

 第2回大会に、審査員の一人として出席した末松広行事務次官は「企画の能力を高めるということが、われわれ行政官には必要」と指摘。政策立案の発想力を磨くことを課題に挙げた。

 若手職員を中心に、自発的な勉強会を開く動きも進む。50年の未来を見据えるというコンセプトで、部局を越えて意見交換する「チーム2050」が16年に発足。定期的に活動している。

 多い時で100人ほどが出席する。農家グループや経団連などの外部組織とも交流している。2月上旬には、JA全農との意見交換会を企画。生産現場への労働力支援や農産物の輸出促進などについて話し合った。今後も農業者や企業、自治体などとの意見交換を予定する。

 同省は「外部と幅広く対話し、柔軟な発想を養うことにつなげたい」(政策課)とする。

 日常業務への反映に加えて、オープンラボや政策のタネコンテストといった場でのアイデア提案にも結び付けたい考えだ。
 

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