森林組合法改正案 役割発揮へ体質強化を

 民有林の本格的な利用期を迎え、伐採や植林を担う森林組合の活性化が課題になっている。地球温暖化防止の観点からも期待が高い。山村を支える人々の利益につながるように、組合員の拡大や若返りなどにより森林組合の体質強化を急ぐべきだ。

 森林組合は、森林所有者である組合員の委託を受けて植林や下刈り、間伐、主伐など山の作業全般的を担う。全国に620余りあり、組合員は151万人に及ぶ。農業との兼業も多い。

 山村住民の高齢化に伴って組合員の高齢化と減少が進み、総会や総代会などへの参加も減っている。女性の登用も遅れ、正組合員に占める割合は10%、役員に占める割合は0・5%と低水準だ。相続を機に所有者が把握できなくなる事例も相次ぎ、組合活動も滞りがちだという。

 一方、民有林は、終戦復興や高度経済成長期に造林した森林が主伐期を迎えている。これからが稼ぎ時である。せっかくの財を「宝の持ち腐れ」にしてはならない。また、切った後に植林をしないと山が荒れる。植林から伐採まで計画的に取り組む森林組合の役割は重要度を増す。山村に富をもたらすこの時機を逸してはならない。

 林野庁は、森林組合法の改正案を今国会に提出し体質強化を後押しする。森林所有者と同居していない子どもら「推定相続人」に正組合員になれる道を開き、人数制限も撤廃する。組合員の若返りと女性の参画を進め、組合活動の活性化を促したい考えだ。総会や理事会での論議も活発になると期待される。森林所有者が将来分からなくなるのを防ぐことにもつながる。

 問題は実効性だ。親元を離れて暮らす「推定相続人」に、森林管理や組合活動への関心を高め積極的に参加してもらうにはどうするか。また、組合員数が多くなった一部林家の発言力が高まることを懸念する声もある。国会審議では、こうした点について丁寧な論議が必要だ。

 改正案では一部の事業を他の森林組合などに継承できるようにする「吸収分割の制度」や、新たな連合会を設置して事業を継承できる「新設分割の制度」を設ける。小規模な組合が多様な連携で林産物の輸出など事業拡大を目指すという方向性は一定に理解できるが、リスクも伴う。組合員の理解が不可欠だ。

 政府は、所在が不明な森林所有者に代わって森林組合が管理できるようにしたり、国有林の樹木を採取できる権利を林業経営者に与えたりする法制度を整備し、本格的な利用期に備えている。また地球温暖化防止や国土保全、水の涵養(かんよう)といった森林の公益的な機能を維持するため、森林環境税を財源にした森林の管理制度を創設し、課税に先行して自治体への資金の譲与を開始した。

 森林管理の中心的な担い手として、森林組合の役割は一層重要となる。国民の期待に応えられるよう、森林組合改革への一層の取り組みが期待される。
 

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