[あんぐる] 地域の宝“満開” あんずの里(長野県千曲市)

平年より2週間ほど早く見頃を迎えたアンズの花。地域一帯が白やピンクの花で彩られた(長野県千曲市で)

 全国有数のアンズの出荷量を誇る長野県千曲市で3月下旬、傾斜地に広がる果樹園に白い花のじゅうたんが現れた。今年は暖冬で平年に比べて2週間ほど早く開花が始まった。森・倉科地区は“一目十万本”といわれ、「あんずの里」として知られる。その景観は、多彩な品種、加工品と共に地域農業を支える宝だ。

 一説によると、江戸時代前期に現在の愛媛県にあった伊予宇和島藩の豊姫が長野県の松代藩に嫁いだ際、故郷を懐かしんで苗木を取り寄せたのが市内での栽培の始まりとされる。

 その後、松代藩が栽培を奨励。同地区には樹齢が290年に達する古木も存在する。

 現在は農家約200人が43ヘクタールで栽培する。昨年は約241トンをJAながのを通して出荷した。加工に使われる「平和」「昭和」の他に、甘味が強く生食用に人気の高い「ハーコット」など多くの品種が栽培されている。
 
市内の「大寿司(だいずし)」が開発した、砂糖や酢などで漬けたアンズをネタにしたすし。甘酸っぱい味と歯応えが人気だ
 
 近年では高齢化による生産量の減少に対し、新たな取り組みを始めた。すしやスイーツなど多彩な加工品を開発。2019年には、糖度や大きさを厳選した「ハーコット」の新ブランド「杏月(きょうづき)」を立ち上げ、首都圏での販売を始めた。

 JAで果樹を担当する営農技術員の伊部和真さん(30)は「収量アップのための改植も進んでいる」と話す。

 同地区では毎年、花が見頃を迎える4月上旬にイベント「あんずまつり」を開く。約10万人が訪れるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止になった。

 同JAちくまあんず部会の部会長を務める久保哲男さん(70)は「一日も早く終息してほしい。6月中旬の収穫シーズンには、多くの人が訪れて、甘酸っぱい初夏の味覚を楽しめるよう願っている」と話す。(釜江紗英)

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます    

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