[新型コロナ] 先見えぬ贈答需要、輸出 高級果実 あの手この手

「シャインマスカット」の適正な大きさの房管理に努める浅野さん(岡山県倉敷市で)

 新型コロナウイルス禍の影響長期化を見据え、高級果実の産地や流通業者が消費喚起に懸命に取り組んでいる。緊急事態宣言は全面解除されたが、贈答需要や輸出などの先行きは不透明で、販売苦戦が予想される。家庭消費を意識した販売促進キャンペーンや、安定した品質と食味をそろえた出荷で国内需要の掘り起こしに力を入れる。
 

山形・サクランボ “準秀品”探る


 サクランボの生産量が全国の7割を占める山形県。コロナ禍でギフトが振るわない上、多くの観光果樹園は今年度の営業中止を決めており、販売先を失ったサクランボの流通量が増えることによる値崩れを懸念する声は多い。

 青果卸の山形県丸果中央青果によると、5000円以上の高価格帯ギフトの予約状況はいまひとつで、「3密」を避けるためスーパーでの試食提案も難しい。営業自粛の観光果樹園からは出荷の相談も寄せられている。同社は、新たな取り組みとしてギフト向けの秀品とスーパー向けのレギュラー品の「中間」の商品開発を検討。「何とかして売上高確保につなげたい」と話す。

 観光果樹園は影響が甚大だ。同県天童市の大町さくらんぼ園は例年、首都圏などから約3500人が来園してサクランボ狩りを楽しむが「作業員や地域住民の健康に配慮し営業自粛を決めた」と代表の武田章さん(68)は嘆く。入園料や土産などの売上高がゼロになる一方、人件費をかけて収穫する必要がある。得意先に購入を呼び掛けている他、JAへの出荷も増やす見込みだ。武田さんは「学校給食向けなど需要を増やす仕組みが必要」と訴える。

 県内では生産者支援が進む。JA全農山形は通信販売を対象にキャンペーンを展開し「消費を盛り上げたい」と意気込む。各市町村では、ふるさと納税の返礼品として、サクランボの扱いを増やす動きが相次いでいる。
 

岡山・ブドウ 大房化見直し


 コロナ禍の克服に向け、品種本来の食味を最大限に引き出し、売り込みを強めるのはブドウ「シャインマスカット」の主力産地の岡山県。県とJA全農おかやまなどは「大房化傾向を改善しよう」と呼び掛ける。県栽培指針の房重量目標は700グラム。県産「シャインマスカット」は800グラム超の大房が生産量の1割強を占め、「極端な大房は品質にばらつきが出やすい」と全農おかやま園芸振興課は話す。

 一方で大房は輸出向けに人気が高い。2019年度は生産量の3分の1を香港や台湾などに輸出したが「新型コロナで運送便の減少や運賃の値上げなどで先行きが見通せない。不安材料が多い中、規格をそろえて海外や国内の双方に対応したい」(同)という。

 倉敷市のJA晴れの国岡山船穂町ぶどう部会は31日から、昨年12月下旬に加温を始めた極早期加温栽培の「シャインマスカット」の出荷を始める。40アールで栽培する浅野三門部会長は、花穂の切り込みや穂軸の調整で大房にしない房作りを心掛けた。浅野部会長は「基本を守る今まで通りの栽培で高品質ブドウを作る」と意気込み、消費拡大を狙う。
 

宮崎・マンゴー 牛肉と併せてキャンペーン


 高級果実の代表格、マンゴーの主力産地のJA宮崎経済連は、県産マンゴーを百貨店やスーパーで買った人に宮崎牛などが当たるキャンペーンを展開。消費が低迷する牛肉も一緒にPRする。

 マンゴーは5月下旬~6月中旬が出荷最盛。今年は出始めから首都圏向けを中心に需要が低迷し、売り上げは例年の8割程度だ。当面は試食宣伝など従来のPRは難しい。キャンペーンを通じ、消費拡大を目指す。
 

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