転機の集落営農 経営安定へ環境整備を

 集落営農のメンバーの高齢化とともに、労働力不足が深刻化している。新しい人を呼び入れるなどの対応が求められる。その環境づくりのためにも組織の経営安定が欠かせないが、2020年産の米価の行方には不透明感が増している。政府と農業関係者を挙げた需給安定の取り組み強化が必要だ。

 日本農業新聞が集落営農法人・組織に行ったアンケートでは、組織の運営課題の上位に「メンバーの高齢化」「労働力不足」「販売額の伸び悩み」が挙がった。07年度からの水田・畑作経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策)を機に、集落営農は全国各地で組織化・法人化が進んだ。現在は全国で1万5000近くの集落営農が活動し、地域の水田農業を支える基盤となっている。

 ただ、多くが発足から10年以上たち、メンバーの年齢は上がっている。高齢メンバーのリタイアなどで労働力不足にも陥りがちだ。アンケートへの回答で、ある法人は予想を上回って農地を預かることになった一方、組合員の高齢化に悩んでおり、「作業の遅れや管理不足が影響して減収になり、経営状況は良くない」と厳しい実情を訴えている。多くの集落営農にとって人ごとではない。農政でも、てこ入れに改めて本腰を入れる時に来ている。

 3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画でも、集落営農について「農業者の高齢化でさらに脆弱(ぜいじゃく)化することが懸念される」と、重要課題に挙げた。今年度中に実態を把握し、農水省に設置する「地域営農支援プロジェクト」で施策を総合的に検討、実施する方針を示した。生産基盤強化の一環として、政府・JAグループ一体の取り組みを期待したい。かつての地域水田農業ビジョン運動のようなうねりを各地で起こしてはどうか。

 集落営農のてこ入れの方策として基本計画では、法人化や、地域外からの人材確保、組織統合・再編などを例示した。人の雇用や設備投資を進めるには、まず経営が安定していることが大前提になる。

 本紙のアンケートでは、19年の決算は41%が減収減益で、経営実態は厳しい。20年産の米価を19年産と同水準と見通す回答が49%を占め、大規模経営ほど下がるとの見方が強い。需給の安定には国全体で10万~19万トンの減産が求められる中、農水省の調べでは35都道府県が前年並みの作付けになりそうで、予断を許さない。収支が悪化すれば経営発展どころではない。

 転作推進の追い込みを掛けるとともに、米政策自体も踏み込んだ検討が必要ではないか。産地主体の生産調整に転換した18年度からの改革は、天候に助けられる格好で失敗を免れてきた感が拭えない。このままでは、今年の出来秋は水田農業にとって正念場となりかねない。集落営農の発展に向けた環境づくりも急務である。
 

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