農地 跡形なく消える 熊本・JAくま管内

相良村の水田被害を確認するJA職員(7日、熊本県相良村で)

 熊本県南部を襲った豪雨による農業被害が次第に明らかになってきた。JAくまは7日、これまでは土砂や冠水に阻まれ、たどり着けずにいた相良村や山江村で被害調査に着手。巡回した営農部の職員は、大量の泥が流入して元の姿が想像できない水田や葉タバコ畑を目の当たりにした。今月中旬から梨の出荷が始まる予定だが、道路が寸断され出荷の見通しが立っていない。(木村隼人)
 

水田・葉タバコ畑 泥流入 広範囲に


 相良村を流れる川辺川。4日の豪雨で球磨川に合流する支流で氾濫し、水田や葉タバコ畑に川の泥が流入した。水田では、5月下旬に植え終えた稲がすくすくと伸びていた。葉タバコは収穫終盤だったが、どちらも跡形もなく消えた。状況を目の当たりにしたJA職員は「想定よりひどい状況だ」とこぼす。

 泥の流入は川沿いの水田の広い範囲に広がる。JA職員は「水田の所有者が複数にわたる場合、所有面積を再度測量する必要がある」と説明。あぜを作り直す必要があるため「復旧まで1年ではきかない」と見通す。

 同様の状況は広範囲にわたる。山江村を流れる万江川でも水田に泥が入った。流入地点に向かう道路も分断されている状況。JAは人吉市、球磨村の被害状況調査も道路状況の安全を確認次第、進めていく方針だ。
 

道路寸断 梨出荷に懸念


 JAくまは県内有数の梨の産地でもある。2021年7月に「全国ナシ研究大会熊本県大会」の開催も控える。JAくま果樹研究会会長の平川哲郎さん(59)は、今回の豪雨で「大会の開催や梨の集出荷に多大な影響が出るのでは」と不安がる。

 

梨園地の崩落現場を確認する平川会長(7日、熊本県あさぎり町で)
 JA管内では早生品種の出荷が18日ごろから開始予定だが、系統内出荷の1、2割を占める球磨村は道路が寸断。管内の出荷を一手に引き受ける中球磨選果場に行けず出荷の見通しが立っていない状況だ。

 例年この時期は、出荷に向けた仕上げ摘果や病害虫防除を行っている。雨で多数の農家が園地に入れない状況が続き、平川さんは「早生品種は過剰に水を含むと裂果が懸念される」と表情を曇らせた。平川さんは「現時点では多くの果樹農家には直接的な被害はないもようだが、一部の農家で園地が崩落する被害が出た」と話す。

 土砂崩れがあったのはあさぎり町の山の斜面に面する梨園地で、一部が崩落した。状況を確認した平川さんは「復旧にはかなりの時期を要する」と話す。

 平川さんは今後について「集出荷体制を整えることが最優先。梨の出荷や販促を決める会議で今後の方針を固める」としながら「全国大会の会場は人吉市。開催の見通しが立てられない」と頭を抱える。

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