食物アレルギー 米加工品で安心を提供

 食物アレルギーに悩む消費者に米の加工食品が注目されている。米はアレルギー物質をほとんど含まず、安心して食べられる。小麦粉の代わりに米粉を使った良質な食品が多く商品化され、乳製品風の食品も登場した。多彩な米加工食品の開発・提案で豊かな食生活に貢献し、米の消費拡大につなげたい。

 食物アレルギーの原因物質を含むアレルゲン食品は多い。日本で3大アレルゲンとされるのが鶏卵と乳製品、小麦。小麦の場合、タンパク質のグルテンが主にアレルギー症状の原因だ。 米粉は近年、小麦アレルギーの消費者を中心に小麦粉の代替食品として消費が伸びた。日本米粉協会によると、2020年度の米粉の市場規模は原料米換算で3万9000トン。前年度を1割上回る見通しだ。12年度に2万トンを突破し、その後は2万トン台前半の時期が続いたが、17年度から4年連続で伸びた。

 背景には、微細粉にする高い製粉技術が開発され、パンや菓子、麺など良質で多様な商品が登場したことがある。さらに18年から、グルテンを含まない米粉100%であることを発信する「ノングルテン米粉第三者認証制度」や、米粉を「菓子・料理用」「パン用」「麺用」に分ける「用途別基準」の運用が始まり、消費者の信頼が高まった。店で良質の米粉商品を購入でき、家庭でも安心して各種米粉料理を作れるようになった。

 アレルギー対応食品としての米の利用は米粉にとどまらない。乳製品アレルギーの消費者向けに、乳製品に近い食感や風味を米で再現した食品も人気だ。滋賀県の食品業者は米100%のヨーグルト風食品を販売。乳酸菌を加えて発酵、熟成させ、ヨーグルトの食感や風味を持たせた。神戸市の洋菓子メーカーはもち米でチーズ風食品を開発し、年内の販売を目指す。加熱すると延びるもちの特性を生かし“溶けるチーズ”の食感に、また甘酒パウダーを混ぜてチーズの風味にそれぞれ近づけた。

 パンや洋菓子、乳製品など、食物アレルギーを抱えてこれまで食べられなかった食品が身近なものになった。他のアレルゲン食品の代替食材としての活用も考えられる。

 災害時に備えた備蓄食としてのニーズも高そうだ。16年の熊本地震での経験から東京の防災食メーカーは、原料に米も使い、全ての避難住民が安心して食べられるシチューなどアレルゲン不使用食品7種を開発。自治体からの注文が多いという。中越地震を踏まえ、新潟の米流通業者も備蓄用「ライスクッキー」を販売し、注目されている。異常気象で大規模災害が頻繁するようになった今、安全・安心な食を準備することは全ての自治体の責務であろう。

 さまざまな場面で米の利用の可能性を探りたい。米粉用の場合、19年産の生産量は3万トン弱で需給ギャップが生じている。主食用の需要が減る中、戦略作物として一層振興すべきだ。
 

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