7月豪雨1カ月 支援人材組織的確保を

 7月豪雨で、熊本県などに甚大な被害が発生してから4日で1カ月。新型コロナウイルスの感染防止でボランティアを県内に限り、復旧作業の人手が不足している中、地元のJAグループ支援隊の活動が評価されている。台風シーズンを迎えた。組織的な対応を含めて、災害時の人材確保の態勢づくりが必要だ。

 7月豪雨で被災した熊本県の3JAで、JAグループ熊本の支援隊が、被災農家の農地や農業用施設などの復旧を急いでいる。7月末までに、中央会や連合会など10の県組織と11JAの職員ら延べ900人を派遣。今週末で1000人を超える見通しだ。マスクをしながらの厳しい環境の中、水を含んで重くなった土砂をかき出すなど懸命に作業に当たる。

 ボランティア活動は通常、家の片付けなど生活支援が優先される。災害ボランティアを県内でまとめる組織は「同じ業種の団体から支援があることで、通常の活動とすみ分けができる」と評価。また、組織的な派遣は生協なども行っているという。

 7月28日からの豪雨で最上川が氾濫、被害が出た山形県でも31日、JAグループ山形の支援隊が早速復旧活動を始めた。農業やJA事業に詳しい仲間の支援は、復旧を急ぐ被災者やJAにとっても心強いことだろう。

 JAグループ支援隊の仕組みができたのは、東日本大震災が発生した2011年だ。全国の役職員が被災地に入り、被災農家やJAで人手が必要な作業に当たった。第1陣を派遣した4月中旬以降、約半年で延べ1万人が参加。東日本大震災で支援を受けたJAの組合長は当時、「協同の力の強さを改めて感じる」と話していた。

 「一人は万人のために、万人は一人のために」。協同の理念に基づく活動は、熊本地震や西日本豪雨、台風災害などの被災地にいち早く駆け付け、「協同の絆」で仲間を勇気づけてきた。今年の7月豪雨で支援を受けた組合員は「精神的に疲れ切っていた時すぐに支援に来てくれた。本当に助かる」と語った。

 地球温暖化の影響で豪雨や台風などによる災害が頻発し、各地で農業が大きな被害を受けている。JAグループ支援隊の活動は、食料の安定的な供給にも貢献する。組織外ではあまり報道されることのない活動だが、コロナ禍でボランティアが不足する中、他の業種や企業、団体などにも参考になるだろう。

 被災者の生活再建とともに、農業の復旧・復興を政府も急がなければならない。日本農業新聞が報道したように、3年前の九州北部豪雨や2年前の西日本豪雨の被災地では、農地や農業用施設の多くで復旧工事が遅れている。政府は7月豪雨の支援策の第1弾を決めた。江藤拓農相は被災地を視察し、「(農家が)諦めずに頑張ろうと思える支援をしていく」と決意を表明した。それには、現場の要望を踏まえた十分な支援と、スピード感が重要である。
 

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