[未来人材] 31歳。古里でイタリア料理店営む 使う野菜は極力地元産 震災時に炊き出しも 北海道むかわ町 萬真理絵さん

近隣農家が作ったトマトをオーブンで料理する萬さん(北海道むかわ町で)

 地元産の食材にこだわったイタリア料理店を、古里の北海道むかわ町で営む萬(よろず)真理絵さん(31)。2年前の北海道地震では店も被害に遭ったが、住民向けに炊き出しをするなど地域に根差した経営で、絆を深めている。今年は新型コロナウイルス禍が経営を直撃したが、常連客に助けられた。「祖父が残してくれたお店を続けていきたい」と話す。

 料理の道に進むきっかけは、かつて同居していた祖母。料理を手伝っているうちに興味を持った。大学入学を機に札幌市に移住。大学卒業後は専門学校に進み、イタリア料理店で5年半修業した。

 進学した時はむかわ町に戻ることは考えてなかったが、独立を考えた時、祖父が経営していた薬局を改装して活用することを思いついた。開業や運転資金を安く抑えられることもあり、むかわ町に戻ってイタリアンレストラン「トラットリア リッチョ」を開業した。

 店で使う食材は、極力町内産を使う。同町で生産が盛んなレタスやトマトはサラダに、カボチャやジャガイモはニョッキなどに使う。

 今年からは、これまで札幌に行く度に買っていたリーフレタスの生産を、知り合いの農家に依頼している。他にビーツやフェンネルなども作ってもらっているという。

 開店の半年後、震度6強を記録した北海道地震が襲った。自宅では背の高い家具が倒れ、店の棚に並べていたカップやグラス、ワイン瓶はほとんどが割れた。発生後は約1カ月間、閉店せざるを得なかった。

 店を開けない代わりに地域に少しでも貢献しようと、萬さんはおかゆやスープ、コーヒー、離乳食を地域住民に提供。子ども用のおむつも配った。萬さんの母も、近くの避難所にいる子どもたちのために、絵本の読み聞かせ会を開いたという。

 コロナ禍にあっても地域のつながりは生きている。緊急事態宣言下ではテークアウトだけの営業にしたが、常連客が積極的に利用してくれた。通常営業に戻した7、8月の売り上げは昨年と変わらないほどだという。「帰ってきてからの方が町に魅力を感じる」と萬さん。自分を気に掛けてくれる人の温かさをいつも感じている。
 

農のひととき


 祖父が薬局を経営していたこともあり、町内には昔から付き合いがある農家が多い萬さん。よく近くの農家が玄関先に野菜が入った袋を置いていってくれるという。もらった野菜を見てメニューを考えることもある。

 現在は店で野菜のやり取りをすることが多いが「今後は農場にも足を運びたい」と話す。
 

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