[福井・JA福井県移動編集局] 猿から農作物守れ 女性部がエアガンで追い払い 住民“110番”で現場急行

JA女性部員で立ち上げた獣害対策チーム「モンキーバスターズ」。住民の“110番”で駆け付ける(福井市で)

 猿による農作物被害が深刻化するJA福井県美山支店管内で、JA女性部有志の対策チーム「モンキーバスターズ」が被害軽減に成果を上げている。地域住民の“110番”で現場に急行し、エアガンで猿を山奥に追い払う。同支店と大学、企業が連携する、出没予想場所を通知するシステムの研究にも参加。来春までに試験導入する計画で、より効果的な対策として期待されている。(北坂公紀)
 

活動半年 「銃見て逃げる」


 福井市の中心部から30キロほど離れた山間部に位置する同市計石町。周囲を山で囲まれた小さな集落に、約30世帯100人弱が暮らす。豪雪地帯として知られ、道路脇に3メートルを超える“雪の壁”ができることもある。

 モンキーバスターズは、リーダーの石村昌子さん(74)、木下たつ子さん(68)、伊井美由紀さん(68)の女性部員3人で5月に結成した。3人は、町内で「猿を見掛けた」という情報が入ると、エアガンを片手に現場に急行。土に返る「バイオBB弾」で威嚇射撃を繰り返し、猿を山に追い返す。

 石村さんは「逐一追い払うことで農作物被害は減った。最近では“銃”を見ると、猿が逃げるようになった」と手応えを感じている。

 同町ではここ数年、猿による農作物被害が急増している。従来は年に数回ほどの出現頻度だったが、昨年からほぼ毎日、群れで現れるようになった。防獣ネットやかかしも効果は小さく、野菜を食べたり、枝や支柱を折ったりして畑を荒らすという。

 同支店は「地域には猿はほとんどいなかったが、ここ数年で生息数が激増した。暖冬の影響で隣県から生息地が広がっていることに加え、冬を越せる個体も増えている」と指摘。少雪を受け、ここ1年は冬場を含めた通年で被害が出ている。

 事態を受けて同支店は3月、地域住民向けの猿対策相談会を開催。他地域の事例紹介に加え、エアガンの実演もした。これまで猿の出没情報などを共有していた3人も参加。「免許の要らないエアガンなら私たちでも扱える」と考えが一致し、モンキーバスターズを結成した。
 

大学・企業と連携 出没予測実証も


 モンキーバスターズと同支店は現在、大学や企業と連携し、猿に発信機を取り付けて、群れが集落に近づくと住民に出没予想場所を通知するシステムの研究に取り組んでいる。来春までに試験的に導入し、効果的な追い払いにつなげる。

 一方、現行の対策を「対症療法にすぎない」として、駆除などの抜本的な対策を求める声もある。福井県の場合、市町村長の許可があれば猿の駆除が可能だ。

 ただ、現状は追い払いが基本で、「(駆除は)農作物被害などを分析し、慎重に判断している」(県中山間農業・畜産課)。姿や行動が人に近く、駆除への心理的ハードルが高いことも一因だ。

 それでも、石村さんは「(追い払いで)いたちごっこが続けば、営農意欲がそがれる。耕作放棄地を出さないためにも、抜本的な対策が必要だ」と訴える。

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