[福井・JA福井県移動編集局] 多収米で 所得向上 企業と複数年契約 作期分散し安定

多収米の生育を確認する多収米部会員(右)とJA職員(福井市で)

 JA福井県が多収米の作付けを拡大させている。大手企業と複数年契約を結び、安定した販路と価格を確保。中生と晩生の品種を組み合わせて収量も安定させる。栽培開始から5年目の2020年産は220ヘクタールに達し、農業者の所得向上につなげている。

 栽培するのは、JA福井基幹支店の多収米部会。肥料成分が多く残る大豆の後作では「コシヒカリ」の倒伏が課題だった。そこで業務用米の需要に応え、16年から倒伏に強い多収米を導入。1俵(60キロ)当たりの高単価ではなく、10アール当たり収量を向上させ所得を増やす戦略に切り替えた。

 住友化学が独自に育成した中生品種「つくばSD1号」と、豊田通商の晩生品種「しきゆたか」を栽培する。「コシヒカリ」よりも2割の増収が見込める。中生と晩生を組み合わせることで、天候による収量の変動を抑え、作業時期も分散する。

 両社が全量を買い取り外食・中食向けに販売する契約で、安定的に売り先を確保できる。「コシヒカリ」と比較して10アール当たり1俵以上多く収穫すれば、収益がプラスになるという。

 「つくばSD1号」では複数年で固定した基準価格を設けており、生産者は一定の所得を見通せる。多収米部会の河野善司部会長は「コシヒカリより価格が安定し、収入面で魅力がある。直播(ちょくは)にも向いていて手間がかからない」と手応えを話す。

 16年には16戸で17ヘクタールだった作付面積は、20年には66戸で管内の水稲作付面積の約7%を占める220ヘクタールに拡大。特に「つくばSD1号」は172ヘクタールで、18年から3年連続作付面積全国一だ。

 栽培研修会や圃場(ほじょう)視察、意見交換などに企業を招き「産地の開示」に努める。「つくばSD1号」は19年から、外食チェーン「やよい軒」などを展開するプレナス(福岡市)にも販売されるようになった。

 同基幹支店営農指導課の三上浩一担当課長は「買い手市場は強まっていく。生産者とJAにとどまらず企業などの実需まで連携し、選ばれる産地を目指したい」と意気込む。

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