「鹿肉メンチ」いける 陸自駐屯地でジビエ初提供 裾野広げたい 振興協会
2020年11月19日

食堂で鹿肉のメンチカツを手にする隊員(18日、長野県松本市で)
日本ジビエ振興協会は18日、長野県松本市の陸上自衛隊松本駐屯地で、同協会が監修した鹿肉のメンチカツを提供した。自衛隊駐屯地で野生鳥獣の肉(ジビエ)を使った料理が出されるのは初めて。新型コロナウイルスの影響で、外食向けのジビエ販売が苦戦する中、自衛隊の食事に浸透させることで新たな需要拡大を目指す。
同協会はこれまで外食産業で普及に力を入れてきた。だが、コロナ禍で需要が低下。同駐屯地へ利用を提案し、今回実現した。
提供されたメンチカツは265食分。国産ジビエ認証を受けた県内施設で加工された鹿肉を使った。メンチカツを食べた隊員は「鹿肉は獣臭いイメージがあったが、臭みはなく、さっぱりとしておいしい」と話した。
食堂運営の担当者は「鹿肉の利用で、地産地消や有害鳥獣被害の低減につながるのは良いこと」と評価。同駐屯地では隊員の反応などを踏まえ、今後もジビエを使った食事を提供するか検討する。
同協会の藤木徳彦代表理事は「自衛隊でのジビエ利用が進めば裾野が広がる。安全・安心のアピールにもなる」と期待する。
同協会はこれまで外食産業で普及に力を入れてきた。だが、コロナ禍で需要が低下。同駐屯地へ利用を提案し、今回実現した。
提供されたメンチカツは265食分。国産ジビエ認証を受けた県内施設で加工された鹿肉を使った。メンチカツを食べた隊員は「鹿肉は獣臭いイメージがあったが、臭みはなく、さっぱりとしておいしい」と話した。
食堂運営の担当者は「鹿肉の利用で、地産地消や有害鳥獣被害の低減につながるのは良いこと」と評価。同駐屯地では隊員の反応などを踏まえ、今後もジビエを使った食事を提供するか検討する。
同協会の藤木徳彦代表理事は「自衛隊でのジビエ利用が進めば裾野が広がる。安全・安心のアピールにもなる」と期待する。
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2021年01月22日
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2021年01月18日

消費者物価 生鮮野菜8・8%下落 1年10カ月ぶり低水準
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「新名物に」奮闘
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[震災10年 復興の先へ] 「酪農復興」誓い前へ 800頭規模に成長 福島の牧場「フェリスラテ」
東京電力福島第1原子力発電所事故で多大な被害を受けた福島県の酪農。復興を胸に誓い、被災者5人で立ち上げた福島市の復興牧場「フェリスラテ」は、飼養頭数800頭と東北トップクラスの規模に成長し、繁殖から子牛の育成、搾乳までの一貫生産体制を整えた。被災地の酪農をけん引し、完全復興に向けて歩みを進めている。(高内杏奈)
一貫生産体制整える
福島駅から車で約20分。市街地から西に進み、桃やブドウの果樹園を抜けると、3・6ヘクタールの広大な敷地に白く輝く牛舎がそびえ立つ。牛舎はフリーバーンで、牛は自由に歩き回り、ゆったりとわらをはむ。パーラーは一度に40頭搾乳でき、1日の出荷乳量は15トン。飼料作りは国内最大級のミキサーを使う。
「嘆き悲しむだけじゃ変わらない。酪農に関わり続けるため必死に築いた」と話すのは田中一正代表。牛舎の設計から携わった。
2014年に設立したフェリスラテは、福島県酪農業協同組合が事業主体。田中代表ら被災した酪農家に呼び掛け、5人が役員として運営。19年には分場をして、震災後は酪農が途絶えていた飯舘村で乳牛の育成を始めた。もと牛の育成に限定した牛舎で200頭を飼う。県内で繁殖から育成、搾乳までの生産システムを整えた。「道のりは長かった。福島の酪農を再建したい、その思いだけでやってきた」(田中代表)。
原点の地でもう一度
事故当時、県酪農協の組合員のうち3割が浜通り地区におり、その大部分が避難指示区域になった。区域外への流出・餓死・事故死した牛は約2500頭に上り、同県酪農の基盤が大打撃を受ける事態になった。
飯舘村にいた田中代表も、当時飼っていた乳牛50頭の半数を殺処分せざるを得なかった。「何が何だか分からない状況。牛をと畜場に運ぶ家畜車が自分の所に来た時は、悲しみと牛に対しての申し訳なさでいっぱいだった」と振り返る。
関東の大規模牧場で経験を積んだ田中代表は01年、同村長泥地区を経営の場に決めた。“俺の牛舎だ”と胸を張って見上げた時の牛舎の香り、優しい風、期待感を今でも覚えている。ただ牛が好きだった。
そんな思い入れのある村から避難を強いられ、知り合いを頼りに隣県の牧場で働いた。「やっぱり出発点の福島で、もう一度酪農をしたい」。県酪農協から打診があったのはそんな時だった。
フェリスラテの従業員約30人のうち、7人はまだ20代だ。田中代表はマニュアル化や月1回の勉強会を通して次世代育成に取り組む。
搾乳担当の丸森成美さん(23)はテレビ番組でフェリスラテを知り、短大卒業後に就職した。「若手の意見を尊重してくれる。福島の復興に向け、もっと戦力になりたい」と笑顔を見せる。
長泥地区は今も避難指示が解除されていない。田中代表が考える完全復興は、出発点だった長泥地区でもう一度酪農ができるようになることだ。「ハード面の復興は進んだが、『時間が進んでいない場所』がある現実を無視できない」と強調する。
今後は和牛肥育を拡大する予定だ。完全復興のその時まで、フェリスラテの挑戦は止まらない。
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2021年01月23日

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2021年01月22日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
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挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……
2021年01月21日

地元産トロロアオイを伝統和紙に 産地復活へ技術磨く 島根県浜田市・農家ら委員会
国の重要無形文化財やユネスコ無形文化遺産に指定された伝統工芸品「石州半紙」の産地、島根県浜田市三隅町は、和紙の粘着剤として使うトロロアオイの産地復活に取り組む。2020年は10戸が約5アールで栽培し、140キロを収穫した。地元の和紙職人が求める品質に向けて栽培技術を高めながら、23年までに生産量を倍増させ、安定供給で特産品と伝統文化の伝承を支える。
トロロアオイは「花オクラ」とも呼ばれるアオイ科の植物で、根から出る粘液が和紙の粘着剤となる。地元では1950年代まで栽培されていたが、近年は主に茨城県産を使っている。
活動の中核を担うのは、同町黒沢地区の住民でつくる黒沢地区まちづくり委員会。2012年に地域振興の一環でトロロアオイの特産化に乗り出した。種を入手して栽培したが、当初は和紙職人が求める根が太く長いものができなかった。
生産者の野上省三さん(81)は「栽培方法が分からず手探りだった」と振り返る。栽培講習会で畝の立て方や病害虫対策、芽かきなどを共有し、栽培技術を高めた。
今は職人からの評価も上々だ。和紙工房4戸でつくる石州和紙共同組合の組合長を務める川平正男さん(79)は「年々レベルが上がっている。高品質な地元産が安定供給されればありがたい」と歓迎する。
国内のトロロアオイ産地は減少している。19年には、主産地の茨城県の生産者が生産終了を検討していることが報道された。また、宅配便や郵便料金の値上げで輸送コストも上がり、和紙職人の地元産への期待は大きい。
同委員会は、地元の需要量を350キロと算定。23年に20戸で生産量300キロを目指す。齋藤正美会長は「地域一丸で、和紙作りとトロロアオイ栽培の双方を次世代につないでいきたい」と意欲を見せる。
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2021年01月21日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(中) 国際協力から転身 「まず農家に」 地に足着け精進
吹き抜ける風が肌寒さを増した2020年11月下旬、水戸市にある日本農業実践学園の講義用あずまやで、多品目の野菜農家を目指す吉田誠也さん(30)が、パソコンに野菜の生育データを打ち込んでいた。背後には自身で種から育てた10品目の畑が広がる。
東京大学大学院で植物のバイオテクノロジーや分子生物学を修め、昨春から海外で農業の国際協力に携わるつもりだった。「半年前まではここにいるとは想像できなかった。でも、本当はこれが本来の順序。急がば回れで、新型コロナウイルス禍で僕は農家への道に踏み出す決断ができた」
入校者数が右肩下がりを続けていた実践学園は、研修生がゼロとなった19年度と打って変わり、20年度は18人が入校した。
2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(上) コロナで体感「農業っていい」 多業種から入校生 日本農業実践学園
0度近くまで冷え込んだ晩秋、丘陵地のビニールハウスの中は春のような暖かさで、イチゴの白い花の周りには蜜蜂の羽音が響いていた。「蜂が近くに来ても払わないで。攻撃されるかもしれないから」。水戸市の郊外、新規就農者の専門学校「日本農業実践学園」の研修施設。2カ月前に入校し、1年後にイチゴ農家として独立を目指す小林克彰さん(39)が、実習作業の手伝いに来た妻の瞳さん(37)に語り掛けた。
克彰さんは、芸能人のホームページやコンサート情報を制作していた自営のウェブデザイナーだった。会社員だった30歳の頃、副業として会社が認めていた個人受注が増え、独立を決意した。2年前に工業デザイナーの瞳さんと結婚し、埼玉県三郷市に居を構えた。克彰さんが自宅で仕事、瞳さんが会社勤め、2人の生活は順風だった。
2021年01月19日

[活写] “最辛”の熊対策
青森県中泊町で木炭の生産を手掛けるツリーワークは、インド原産の激辛トウガラシ「ブート・ジョロキア」と木酢液を使った熊の忌避剤を開発した。熊の出没が多い2020年は、全国から問い合わせが相次ぎ、受注が前年の10倍に増えたという。
商品名は「熊にげる」。ジョロキアから抽出した辛味成分と木酢液を混ぜた黒い液体だ。臭いが漏れ出るよう上部に穴を開けたペットボトルに入れ、畑の近くにつるして使う。
炭・木酢液を研究する谷田貝光克東京大学名誉教授の助言を受け16年に開発。青森や秋田、長野県などのトウモロコシ畑やリンゴ園で試験し、熊や猿に対する効果を確認した。
ジョロキアの施設栽培にも取り組み、製品のコストダウンに成功した。現在はハウス2棟で、製品2トン分の原料を収穫する。価格は1リットル入りで1万円。1ヘクタールの畑で約1年間使える量という。
同社代表の佐々木嘉幸さん(82)は「注文が増えている。原料が足りないので、栽培に協力してくれるよう農家に呼び掛けたい」と話す。
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https://www.youtube.com/watch?v=1MJ-IJGQgDc
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2021年01月17日