九州の郷里からイノシシ肉が届いた

 九州の郷里からイノシシ肉が届いた。早速ぼたん鍋と決め込む▼調理は料理上手に任せ、喉を鳴らして待つ。まず大鍋に昆布とかつおだしを張り、赤と白の合わせみそで下味を決める。赤身も鮮やかなイノシシ肉投入。ゴボウ、ハクサイ、キノコ類、ネギをふんだんに加え煮込む。後は七味やさんしょうを振りかけ、はふはふ、んぐんぐ。野趣あふれ滋味豊か。存分に冬を食らう。芋焼酎と相まって身も心も上気する▼イノシシ肉は低カロリー、低脂肪、高タンパクの優等生。ビタミンB2は豚肉の2・2倍、鉄分は8・3倍もある。だが近年は害獣の汚名ばかり目立つ。豚熱ウイルスの運び屋にもなり悪評に追い打ちをかける。豚熱に感染した野生イノシシの発見が西日本でも相次ぐ。食べて問題ないが、細菌対策でよく加熱を▼人間界で猛威を振るう新型コロナウイルス同様、家畜もウイルスの脅威にさらされる。鳥インフルエンザは養鶏大国宮崎へ。ウイルスは人や動物を媒介にし、変異を繰り返し生き延びてきた。人畜共に緊急事態。厳戒の冬である▼「みそだれで煮る猪肉の味は、師走の雑事からさっぱりと解放されるようなのどかさである」。料理研究家・柳原敏雄さんの感慨も今は昔。この冬は解放感に程遠いが、ぼたん鍋の箸は止まらない。

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