[新型コロナ] 4都県で緊急事態宣言 全飲食店 夜8時まで時短 外食業界 疲弊が加速
2021年01月06日

新型コロナウイルス感染再拡大を受け、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県は、飲食店に要請している営業時間短縮を午後8時までと、さらに前倒しする。8日から酒類を提供する飲食店、12日からは全飲食店に拡大する。年末年始の時短より一層厳しい措置は疲弊する飲食店や食材の卸業者を休廃業に追い込む恐れが強まり、外食業界の不満が強まっている。
東京都は時短要請に応じる飲食店への協力金を1日5万円に増額し、従来の事業者単位から店舗単位での支給を検討している。
都内で「和食日和おさけと」を5店舗展開する山口直樹社長(39)は、協力金増額が決まれば、全店舗を一時休業する方針だ。1都3県の時短拡大や菅義偉首相の緊急事態宣言の検討表明後、キャンセルが相次いだ。午後7時の酒類提供中止で、「店を開けておく意味はない」と判断した。政府や都が「要請」の形で時短を迫ることに対し、「休業してくれというべきだ。飲食店の自己判断というやり方は卑怯(ひきょう)」と憤る。
協力金が支給されない大手外食チェーンは要請に応じるところが多い。居酒屋などを展開するコロワイドやファストフードの日本KFCホールディングス、牛丼大手の吉野家は、政府の緊急事態宣言発出と同時に、対象地域の店舗の時短を実施する方針。「お客さんは午後6時すぎから来るのに、午後7時で酒類提供ストップでは営業にならない」(大手外食)と不満が募る。
そのため、一部の大手では既に時短要請に応じない店舗もあり、「個人経営の飲食店の中には協力金を受け取った上で、午後10時に外灯を消し、こっそり営業しているところもある」(同)、「時短で感染が防げるのか疑問だが、口にできない」(別の大手外食)と、不公平感が強まっている。
時短や休業は飲食店の経営だけでなく、食材の仕入れ先から生産者まで影響が波及するのは避けられない。神奈川県の黒岩祐治知事は4日夜の1都3県知事のウェブ会議で、「飲食店への時短要請に伴って、仕入れ先の関連業者も影響を受けている」と述べ、卸業者などへの支援を国に働き掛ける考えを示した。
「自己判断」に不信募る
東京都は時短要請に応じる飲食店への協力金を1日5万円に増額し、従来の事業者単位から店舗単位での支給を検討している。
都内で「和食日和おさけと」を5店舗展開する山口直樹社長(39)は、協力金増額が決まれば、全店舗を一時休業する方針だ。1都3県の時短拡大や菅義偉首相の緊急事態宣言の検討表明後、キャンセルが相次いだ。午後7時の酒類提供中止で、「店を開けておく意味はない」と判断した。政府や都が「要請」の形で時短を迫ることに対し、「休業してくれというべきだ。飲食店の自己判断というやり方は卑怯(ひきょう)」と憤る。
協力金が支給されない大手外食チェーンは要請に応じるところが多い。居酒屋などを展開するコロワイドやファストフードの日本KFCホールディングス、牛丼大手の吉野家は、政府の緊急事態宣言発出と同時に、対象地域の店舗の時短を実施する方針。「お客さんは午後6時すぎから来るのに、午後7時で酒類提供ストップでは営業にならない」(大手外食)と不満が募る。
そのため、一部の大手では既に時短要請に応じない店舗もあり、「個人経営の飲食店の中には協力金を受け取った上で、午後10時に外灯を消し、こっそり営業しているところもある」(同)、「時短で感染が防げるのか疑問だが、口にできない」(別の大手外食)と、不公平感が強まっている。
時短や休業は飲食店の経営だけでなく、食材の仕入れ先から生産者まで影響が波及するのは避けられない。神奈川県の黒岩祐治知事は4日夜の1都3県知事のウェブ会議で、「飲食店への時短要請に伴って、仕入れ先の関連業者も影響を受けている」と述べ、卸業者などへの支援を国に働き掛ける考えを示した。
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古里の食知って 6校に広島菜漬 JA広島市
JA広島市は、広島菜の主要産地である安佐南区川内地区近郊の6小・中学校に広島菜漬約1・5トンの提供を始めた。初日は職員や生産者を代表してJA YOUTH広島市佐東支部の倉本守支部長、広島菜委員会の溝口憲幸会長らが市立川内小学校を訪問。広島菜本漬2500袋(1袋180グラム入り)を贈った。
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2021年02月27日

[活写] カスミソウ 収束願って、幸せ誓って
婚礼で使われるはずだった高品質の花を活用しよう──。東京駅のイベントスペース「スクエアゼロ」に2月26、27の両日、熊本産などの宿根カスミソウ3000本を使った展示が登場した。バージンロードを意識した配置で、花を天井に向かってアーチ状にし、式場の雰囲気を演出した。
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2021年03月01日
営農アイデア大賞 農家の知恵共有しよう
優れた技術を生み出した農家を表彰する日本農業新聞の「営農技術アイデア大賞2020」の受賞者が決まった。審査では、生産現場の課題を自ら解消しようと努力した農家の知恵を高く評価した。幅広く共有し、それぞれの営農に取り入れたり、創意工夫のヒントにしたりして経営改善につなげよう。
アイデア大賞は9回目になる。昨年1年間に本紙に掲載した記事を基に、農家が考案した技術を専門家らが審査した。アイデアの独創性とともに、省力性、低コスト化、商品性の向上、取り組みやすさなど経営への貢献度合いを検討した。
大賞には育苗箱運搬器具「はこらく」を開発した黒壁聡さんを選んだ。北海道新篠津村で水稲などを栽培する。自作の金属の枠で、重ねた育苗箱を両脇から挟み、取っ手を握ると3、4枚まとめて運ぶことができる。
審査で高く評価されたのは、米作りで機械化できていない作業の労力を軽減したことだ。大規模化が進む水稲栽培では、わずかな作業でも積み重なると重労働になる。育苗箱への種まきは機械でできるが、入れた土が水を含んで重くなった箱を何千枚も運ぶのはつらい。
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優秀賞の3点には、近年の農業の課題に対応する技術が選ばれた。鹿児島県出水市の松永幸昭さんは、水稲の苗を食害するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を捕まえる簡易わなを考案。紙パックに米ぬかと酒かすを入れて水田に入れ、6時間で100匹以上捕まえた。生息域が拡大する中、期待の技術だ。
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新潟県燕市の農業法人・アグリシップは、梨花粉を混ぜた液体をドローン(小型無人飛行機)で散布し、人工授粉を省力化した。10アールを1分程度でできる。慣行の手作業では4人で1日かかる仕事で、人手不足に対応するのが狙いだ。
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自らの創意工夫で技術の改善に取り組む農家同士がつながることも大切である。人手不足など、今回受賞した技術が解決を目指した課題は、日本の農業に共通している。アイデアを交換したり知恵を出し合ったりすることで、技術の底上げや、新たな発想による画期的な技術の誕生が期待される。
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2021年03月02日

表紙に住民の応募写真 親近感ある広報 好評 福岡・JA筑前あさくら
福岡県のJA筑前あさくらは、広報誌「ふぁーむ」の表紙に写真動画共有アプリ「インスタグラム」でのフォトコンテストの応募作品を活用する。組合員・地域住民参加型の広報誌づくりで広報充実を目指す。
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2021年03月02日

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2021年02月26日
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コロナ下販促支援 2次募集 7月末分まで対象に 農水省
農水省は、新型コロナウイルス禍で売り上げが2割以上落ち込んだ農産物の販売促進活動を支援する「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」の2次募集を行う。近く募集を始め、締め切りは4月上旬とする方針。4月中下旬から7月末までの取り組みを対象とする。
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2021年03月02日
21年産米需給対策 15県が「連携型」活用 飼料用米対象が中心 農水省まとめ
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2021年03月02日

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JAグループ茨城は、米の輸出に力を入れ「JAグループ茨城米輸出協議会」を設立、輸出用米の集荷量をこの3年で3倍にした。地道に販路を開拓し、昨年はフィンランドのスーパーで売るすし向けにも広げた。海外で日本食が広まり、粘りや香りの良い日本米の需要が高まっていて、有望な市場として開拓を進める。輸出を通じた需給調整にも期待をかける。
JA全農いばらきは2月、初めて米の県オリジナル品種「ふくまる」の輸出を始めた。3月からシンガポールの日系スーパーで、家庭用精米の売り場に並ぶ予定だ。ターゲットは中所得層以上を見込む。
JA全農いばらき米穀総合課の並木誠也課長は……
2021年03月02日

[迫るリミット](1) 荷主が選ばれる時代 物流の環境改善急げ
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使命感が支え
昨年8月、東北地方で野菜や米などの農産物を取り扱う運送会社の担当者(40代)は、契約する下請け会社から連絡を受けた。「物流センターでコロナ感染者が出た」という報告だった。……
2021年03月01日
農協改革 改正法検討時期迫る 「准組」「信用事業」が焦点
改正農協法の施行5年後の見直し時期まで、残り1カ月となった。政府の規制改革推進会議は週内にも農林水産ワーキンググループの会合を開き、農協改革を巡る政府・与党の議論が本格化する見通しだ。准組合員の事業利用規制や信用事業の在り方が焦点。過去の経緯を踏まえた丁寧な議論が求められる。
2016年4月1日施行の改正農協法は、政府が施行後5年をめどに、農協改革の実施状況を勘案して見直すことを定める。……
2021年03月01日
大雪被害のハウス再建 資材発注早めに 納品に数カ月 規格・量 把握を 農水省
昨年12月以降に東北、北陸地方などを襲った大雪で被害を受けた農業用ハウスの再建に向けて、農水省やJA全農は、資材の早めの発注を農家に呼び掛けている。特にパイプは、農家が発注してから納品されるまでに通常でも2、3カ月程度かかる。これから復旧作業が本格的に始まるため、円滑な資材の手配には、必要な規格や量の把握が重要と指摘する。
農水省によると、今回の大雪による農業用ハウスの被害は25日時点で26道府県の1万5420件に上り、被害額も94億円に及ぶ。……
2021年02月28日
民間建物 木造化促す 促進法改正へ自民が骨子 党派超え 今国会成立めざす
自民党は、議員立法による「公共建築物木材利用促進法」改正案の骨子をまとめた。現行法では公共建築物に限って木材の利用を促しているが、この対象を民間の建物にも拡大することが柱。利用期を迎えている国内の人工林の需要確保につなげる。野党にも賛同を呼び掛け、超党派の議員立法として今国会で成立させたい考えだ。
同法は2010年に成立、施行され、国が整備する建築物などへの木材利用を促している。日本の森林は、戦後に植えた人工林を中心に主伐、利用の時期を迎えていることから、民間の建物の木造化も促し、国産材の利用につなげるべきだと判断した。
改正案では、国・地方自治体と事業者が、建物への木材利用の推進に関する協定を締結する。協定の内容は公表し、事業者が着実に実施することを求める。国や地方公共団体は、協定に基づいて木材を利用する事業者に対し、財政支援などで後押しする。
世界貿易機関(WTO)協定の内外無差別の原則を踏まえ、国産材の利用を法律で義務付けることはできない。国産材の利用を推進する場合は、自治体と事業者が合意して協定を結ぶことで対応する。
木材利用について国民の関心や理解を深めるため、木材利用促進の日や促進月間を創設することや、農水省に省庁横断の「木材利用促進本部」を設けることも盛り込んだ。同本部では建築物への木材利用に関する国の基本方針を定め、施策の司令塔ともなる。農相、総務相、国土交通相など関係閣僚で構成し、農相が本部長を務める。
50年に「脱炭素社会」の実現を目指す政府方針を受け、法律の目的に、その実現への貢献を加えた。法律名も「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に改称する。同党は今後、野党にも呼び掛け、超党派での法案策定を進める方針。通常国会での成立を目指す。
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2021年02月28日
養鶏農家3割廃業 コロナ禍、飼料急騰 ナイジェリア
ナイジェリアの養鶏農家の3割が、新型コロナウイルス禍で廃業に追い込まれている。流通の混乱や飼料価格高騰のためだ。食料価格も上がり、消費者を苦しめている。国連はこのまま続くと飢餓人口が年末に30万人に上る恐れがあるとして、国際社会の支援を呼び掛けている。……
2021年02月28日
米作付け意向 28都道府県 前年並み 農相「一層の転換必要」
農水省は26日、2021年産主食用米の作付け意向の第1回調査結果を発表した。1月末現在で28都道府県が前年並み傾向、19府県が減少傾向を見込み、増加傾向の県はなかった。21年産米の需給均衡には過去最大規模の転作拡大が必要だが、一部の米主産地は前年並み傾向。野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「需要に応じた生産の実現には、より一層の作付け転換の推進が必要な状況だ」と訴えた。
20年の作付面積との比較で、同省が都道府県や地域の農業再生協議会に聞き取ってまとめた。……
2021年02月27日

[米のミライ](3) 複数年契約 価格変動リスク回避 実需にもメリット JAあいち経済連
JAあいち経済連は、県内JAと協力して、県産銘柄米「あいちのかおり」の5年間の固定価格長期契約取引を推進している。農家は米価の変動リスクを抑えて収入を確保、実需者は業務用米の調達コストを平準化でき、共に経営の安定化につながる。新型コロナウイルスの影響で米需要が見通しにくい中、生産・消費双方から改めて注目が集まっている。
契約期間は2018~22年産の5年間。……
2021年02月27日