米作付け意向 28都道府県 前年並み 農相「一層の転換必要」
2021年02月27日
農水省は26日、2021年産主食用米の作付け意向の第1回調査結果を発表した。1月末現在で28都道府県が前年並み傾向、19府県が減少傾向を見込み、増加傾向の県はなかった。21年産米の需給均衡には過去最大規模の転作拡大が必要だが、一部の米主産地は前年並み傾向。野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「需要に応じた生産の実現には、より一層の作付け転換の推進が必要な状況だ」と訴えた。
20年の作付面積との比較で、同省が都道府県や地域の農業再生協議会に聞き取ってまとめた。……
20年の作付面積との比較で、同省が都道府県や地域の農業再生協議会に聞き取ってまとめた。……
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〈よく見ればなずな花咲く垣根かな〉
〈よく見ればなずな花咲く垣根かな〉。松尾芭蕉は、一生懸命に咲くナズナの白い小さな花のいとおしさを句にしたためた▼一見個性に乏しい地味な存在も、よく観察し、唯一無二の良さを見いだすことの大切さを詠(うた)う。この季節、片や桜が華やかに咲き誇り、地味なナズナに凡人の関心はなかなか向かないのだが▼視線を上げると、春の夜空は寂しい。日没後に南天に浮かぶかに座はとりわけ目立たず、ギリシャ神話でも英雄ヘラクレスにいとも簡単に踏みつぶされる残念な役回り。ただ、甲羅の辺りに目を凝らすと、光のもやが見つかる。プレセぺと呼ばれる美しい散開星団で、よく観察しないと出合えない春の星空の宝石である▼派手さに目を奪われ、足元の大切な存在が見えていないのは、政治の世界もそう。特にこの間の官邸主導の農政は、商才にたけた担い手ばかり褒めそやし、地域を支える家族農業を軽視してきた。規制改革の議論では企業の農地取得に道を開こうと躍起だ▼強欲な人が通った後には「ぺんぺん草も生えない」という。企業の撤退後に不毛な景色が広がることにならないか、懸念が付きまとう。ぺんぺん草はナズナの別名。路傍の小さな花にも目を向ける農政であってほしい。
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2021年04月17日

移住・二地域居住したい 都民4割が関心 首位は鎌倉・三浦(神奈川) リクルート調査
東京都民の4割が地方移住や二地域居住に関心があるとの調査を、民間会社がまとめた。移住や二地域居住に関心のある都民に住みたいエリアを聞き、ランキングもまとめた。1位は、神奈川県の鎌倉・三浦エリアで、「街ににぎわいがある」を理由に挙げた人が多かった。
調査は、(株)リクルートが1、2月、東京都在住の20~69歳の男女を対象にインターネットで行った。東京駅から50キロ圏外を「地方」とし、希望するエリアを三つ選んでもらった。回答数は、事前調査は1万5572人で、本調査は1万572人。
事前調査で移住・二地域居住に関心があるか聞いた。「強い関心がある」が7%、「関心がある」が25%だった。移住・二地域居住が決まっている人や実施に向けて行動している人を含めると、4割が関心を持っていた。
本調査で、関心があると答えた人に理由を聞くと「自然が豊かな環境で生活したい」が56%で最も多かった。「リラックス・リフレッシュできる時間・空間がほしい」が41%、「住居費を下げたい」が31%の順だった。
ライフステージ別では、「自然が豊かな環境で暮らしたい」と答えた人は、子育てを卒業した60歳以上の夫婦世帯と、子どものいる家族世帯で多かった。単身の女性は「東京での生活・仕事に疲れた」が多かった。
移住などに関心があると答えた人に、希望するエリアも聞いた。選んだ理由は、街のにぎわいや医療・子育て環境、地域の自然環境などが多い。観光地として有名なエリアなどが人気を集めた。
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2021年04月17日

東日本各地で凍霜害 雌しべ枯死広範 山形・サクランボ
先週末の関東から東北にかけての広い範囲で発生した冷え込みの影響で、果樹を中心に各地で凍霜害が出ている。特に国内生産量の7割を誇る山形県のサクランボでは広い範囲で雌しべが枯死し、作柄への影響が懸念されている。
山形県天童市の大町さくらんぼ園では「紅秀峰」を中心に被害を受けた。武田章代表は「近年ない規模での凍霜害。生育が前進し、花が咲きかけていた」と話す。防霜ファンを回したが、氷点下4度近くまで冷え込み、被害が避けられなかった。「昨年はコロナ、今年は凍霜害と生産者にとっては厳しい年が続く」と嘆く。
十分な対策も…サクランボ直撃 想定外の低温 肩落とす
全国随一のサクランボ産地である山形県では、低温による凍霜害で、生産者が悲鳴を上げる。白い花の中、緑色に伸びているはずの雌しべが茶色に染まり、枯死が相次いで確認された。産地は残る雌しべを守り、確実に受粉できるように対策を呼び掛ける。(高内杏奈)
残った雌しべ「受粉確実に」
出荷量が上位の東根、天童、寒河江の各市では、3月から気温が高く降水も少なかったため、サクランボの発芽は平年より5日程度早まっていた。10日から11日未明にかけて最低気温がマイナス4度近くに下がり、長時間の低温が影響。開花直前という最も霜に弱い時期に低温・降霜が重なり、被害が相次ぐ事態となった。
JAさがえ西村山の秋場尚弘さくらんぼ部会長は「ここまで気温が下がるとは思わなかった」と肩を落とす。秋場部会長は、約50キロの収穫を見込む木で雌しべの枯死を確認。「収量は半分あるかどうか心配。ここしばらく日中の気温も低い。例年は15度程度だが、10度を下回る日が続いている。今夜も心配で眠れそうにない」と打ち明ける。 県全体の雌しべの枯死率は主力「佐藤錦」が20~60%、大粒の晩生「紅秀峰」は40~80%に達する。特に「紅秀峰」は晩生ながらも他品種より発芽が早いため、降霜の打撃を大きく受けている。
凍霜害対策として、樹上からマイクロスプリンクラーなどで連続散水し、凍るときに放出する熱を利用する散水氷結法がある。東根市で1・2ヘクタール栽培する岡崎貴嗣さん(47)はこの方法で対策を立てていたが、それを上回る低温で雌しべの枯死が確認された。
同市は昨年、新型コロナでサクランボ狩りに来る観光客が激減した。だが、ふるさと納税などで着実にファンを獲得してきた。岡崎さんは「来年も買うと言ってくれた消費者を裏切らないよう、残った雌しべの受粉を確実にしたい」と人工授粉の徹底で着果率を高めることを誓った。
JAさがえ西村山は14日に緊急会議を開いて被害状況を把握。生産者に、ちらしなどで凍霜害対策と人工授粉の徹底を呼び掛けることを確認した。
福島県では梨や桃などの果樹とアスパラガスで被害が出た。長野県では、11日現在で10市3町2村の農作物被害が、2億4220万円に上った。松本地域ではリンゴや梨などの果樹やアスパラガスに被害が出た。
栃木県によると、13日現在、梨で約5億4938万円の被害が発生。芳賀町や高根沢町など3市3町で花への低温障害が生じた。群馬県でも14日現在各地で梨、リンゴ、柿、サクランボの花が枯死する影響が出た。
新潟県内では新潟市など9市町で果樹の凍霜害が発生。13日現在、梨を中心に西洋梨や柿、桃など約400ヘクタールで花芽の褐変が確認されている。
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2021年04月15日
原発処理水の放出 風評防止 地元理解が先
政府は、放射性物質トリチウムを含む東京電力福島第1原子力発電所の処理水を海洋に放出する方針を決めた。2年後をめどに始める考えだ。漁業者らは反対しており、強行すべきではない。風評被害防止対策への地元の納得と、安全・安心への国民の理解を得ることが前提だ。
政府が決めた海洋放出の基本方針によると、トリチウムの濃度を国の規制基準の40分の1に薄めて放出する。
風評被害への懸念などから反対を表明していた漁業者の姿勢は、政府の方針決定後も変わらない。全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は抗議の声明を発表した。懸念は農業者も同じだ。JA福島五連の菅野孝志会長は談話で、「福島県の第1次産業に携わる立場として極めて遺憾」とし、「本県農林水産業の衰退が加速するとともに風評被害を拡大することは確実である」と危機感をあらわにした。
風評被害への危機感は政府も認識している。基本方針では、新たな被害が生じれば産業復興への「これまでの努力を水泡に帰せしめ、塗炭の苦しみを与える」と表明。「決して風評影響を生じさせないとの強い決意をもって対策に万全を期す」とした。政府は、被害防止を「決意」にとどめず、「至上命令」と自覚すべきだ。それでも被害が出れば、東電に、被害者に寄り添っての十分な賠償を迅速に実施させなければならない。
10年前の原発事故の風評被害は依然続いている。消費者庁の1月の調査では、放射性物質を理由に食品の購入をためらう産地として福島県を挙げた人は8・1%だった。
実際、福島県の農業では価格が回復しきれていない品目がある。農業産出額も事故前の水準に戻っていない。水産業も同様である。県によると、沿岸漁業の20年の水揚げ数量は事故前の2割に満たない。試験操業だったためだ。ようやく21年度、本格操業に向けた移行期間に入った。
岸全漁連会長の声明は、政府が、関係者の理解なしには処理水のいかなる処分も行わないと県漁連に表明していたことを指摘し、海洋放出の政府決定を厳しく批判した。県漁連に東電も、同様の考えを文書で伝えている。約束を破ってはならない。政府と自治体、県民が連携すべき復旧・復興にも影響しかねない。
風評被害防止のために政府と東電には、安全性を巡って分かりやすい情報提供や対話など国民の理解を得る取り組みを徹底し、成果を上げることが求められる。ただ知識として分かっても、安心感を得られるとは限らない。海洋放出の実施主体となる東電では柏崎刈羽原発のテロ対策の不備など不祥事が相次ぎ、国民の不信感が深まっている。信頼を得ることが不可欠だ。
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2021年04月16日
米トランプ政権時に輸入 トウモロコシどこに? 275万トン→実は6万8000トン
あのトウモロコシはどこに──。
14日の衆院農林水産委員会で、2019年8月に安倍晋三首相がトランプ米大統領(ともに当時)に輸入の意向を伝えた米国産トウモロコシの行方を巡るやりとりがあった。
質問者は立憲民主党の亀井亜紀子氏。「前から疑問だが」と前置きすると、「トランプ政権の時にトウモロコシを緊急輸入したかと思うが、どこに行ったのか」と尋ねた。
これに対し葉梨康弘農水副大臣は、19年7月に国内で害虫のツマジロクサヨトウを確認し、食害による飼料不足の懸念が生じたと説明。そこで、農畜産業振興機構の「飼料穀物備蓄緊急対策事業」で米国産を手当てしたと改めて答弁した。
当該トウモロコシの行方について、葉梨副大臣は当初、「国内で保管されて、使用されたということだ」と答弁。だが、直後に「国内で保管されたということだ」と言い直し、輸入後に使われたかどうかは言葉を濁した。
本紙の取材に対し、農水省は「同事業では報告を求めているわけではないが、順次使用されたと考えている」(飼料課)と説明する。輸入量は当初、最大275万トンと想定したが、結果的に害虫の被害が懸念ほど拡大せず、約6万8000トンに収まったという。
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2021年04月15日
農政の新着記事
大豆生産伸び悩み 政府目標の6割 収量・面積とも課題
政府が増産を目指す大豆の収穫量が足踏み状態にある。農水省の調査によると、2020年産は21万8900トンで、前年比1%の増加にとどまった。収量が安定せず、作付面積が伸び悩んでいることも影響。政府の生産努力目標は30年度に34万トンだが、6割の水準にとどまる。目標達成には収量・面積の両面でてこ入れが必要だ。
政府は食料・農業・農村基本計画で、主要品目の生産努力目標を設定している。大豆は作付面積17万ヘクタール、10アール当たり収量200キロを前提に、30年度に34万トンとした。だが大豆の収穫量は、過去10年で最も多かった17年産でも25万3000トン。同年以降は、3年連続で21万トン台にとどまる。
20年産の10アール収量は前年を2キロ上回ったものの、154キロどまり。作付面積は14万1700ヘクタールで、3年連続で減った。収穫量は努力目標の64%の水準だ。米など他の品目と比べても、特に努力目標との差が大きく、同省は「面積も10アール収量も足りない」(穀物課)と受け止める。
10アール収量は、豊凶による変動が大きい。過去10年間の最高は12年産の180キロだが、近年は150キロ前後で推移している。不安定な収量は実需者が国産大豆を敬遠する要因になっており、輸入品からの需要奪還に向けても安定が欠かせない。
作付面積も増えていない。16、17年産では15万ヘクタール程度だったが、米価の回復に伴い、転作大豆から主食用米に回帰した影響もあるとみられる。米需給が緩和局面となる中、転作作物としてどう推進するかが課題となる。
同省は20年度第3次補正予算で、主食用米から大豆などへの作付け転換を促す「水田リノベーション事業」を用意。同予算と21年度予算では、技術導入などを支援して安定生産を後押しする「水田麦・大豆産地生産性向上事業(麦豆プロ事業)」も措置した。同事業は5月14日まで2次募集している。
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2021年04月17日
米国産牛肉SG終了 関税38・5→25%に 発動基準協議 本格化へ
日米貿易協定に基づき、米国産牛肉に発動していた緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)が16日までで終了した。日米両政府は6月中旬までの合意を目指し、発動基準の見直し協議を進めている。2020年度の輸入量や、SGによる輸入の抑制効果などを踏まえ、今後、協議が本格化するとみられる。
同協定に基づく米国産牛肉の20年度の輸入量は、3月上旬までにSG発動基準の24万2000トンを超過。……
2021年04月17日
EPA利用でGI産品 輸出手続き簡素化 生産証明書提出不要に 農水省
農水省は2021年度から、地理的表示(GI)保護制度に登録された農産物を、経済連携協定(EPA)を使って低関税で輸出する場合の手続きを簡素化した。生産者による生産証明書の提出を不要にし、輸出業者の手間を省ける。タイやインドネシアなど14の国・地域向けが対象だ。
EPAによる低関税を適用して農産物を輸出する場合、輸出業者は、原産地が日本であることを証明する「原産地証明書」の発給を日本商工会議所から受ける必要がある。……
2021年04月16日
酪農ヘルパーに外国人材 「特定技能」 派遣で実証 北海道
北海道は、在留資格「特定技能」を取得した外国人を酪農ヘルパー利用組合に派遣する全国初の実証試験を始める。日替わりで複数の酪農家を回るヘルパーが特定技能の仕事にふさわしいかを見極め、適正な受け入れを道農政部とJA北海道中央会が探る。労務管理や、外国人材の技術・知識の向上につなげながら、酪農ヘルパーの人手不足対策としたい考えだ。(尾原浩子)
道中央会によると、特定技能の外国人が酪農ヘルパーになるのは全国に例がない。……
2021年04月15日
米トランプ政権時に輸入 トウモロコシどこに? 275万トン→実は6万8000トン
あのトウモロコシはどこに──。
14日の衆院農林水産委員会で、2019年8月に安倍晋三首相がトランプ米大統領(ともに当時)に輸入の意向を伝えた米国産トウモロコシの行方を巡るやりとりがあった。
質問者は立憲民主党の亀井亜紀子氏。「前から疑問だが」と前置きすると、「トランプ政権の時にトウモロコシを緊急輸入したかと思うが、どこに行ったのか」と尋ねた。
これに対し葉梨康弘農水副大臣は、19年7月に国内で害虫のツマジロクサヨトウを確認し、食害による飼料不足の懸念が生じたと説明。そこで、農畜産業振興機構の「飼料穀物備蓄緊急対策事業」で米国産を手当てしたと改めて答弁した。
当該トウモロコシの行方について、葉梨副大臣は当初、「国内で保管されて、使用されたということだ」と答弁。だが、直後に「国内で保管されたということだ」と言い直し、輸入後に使われたかどうかは言葉を濁した。
本紙の取材に対し、農水省は「同事業では報告を求めているわけではないが、順次使用されたと考えている」(飼料課)と説明する。輸入量は当初、最大275万トンと想定したが、結果的に害虫の被害が懸念ほど拡大せず、約6万8000トンに収まったという。
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2021年04月15日
原発処理水 海洋放出を決定 風評被害を懸念 農業関係者落胆「極めて遺憾」
政府が13日、東京電力福島第1原子力発電所から出る放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、福島県の農業関係者からは、落胆と同時に風評被害を懸念する声が上がった。JA福島五連の菅野孝志会長は「福島県の第1次産業に携わる立場として極めて遺憾である」とコメントを発表した。
JA福島県青年連盟の手代木秀一前委員長は、「われわれの思いが反映されなくて残念」と無念さをにじませる。県青年連盟は、国が処理水の処分方法に関するパブリックコメントを募集していた際に、海洋放出などには反対し、トリチウム分離のための技術開発への支援を要望していた。
県内の農家が懸念しているのが農畜産物への風評被害だ。手代木前委員長は「これ以上の風評被害が起きないことを祈るが、いろいろな対策をしても風評被害は起こるのではないだろうか。県産農産物の競争力が落ちないか心配だ」と今後を懸念する。
菅野会長は「政府が説明する風評被害の発生抑止対策には具体性がない」と指摘した。
事故後10年経過した現在も農林水産物の風評被害が継続している実態から、「処理水の海洋放出は海産物ばかりでなく、県農林水産業の衰退が加速するとともに、風評被害が拡大することは確実」とした。
これに加えて「一層の研究開発により、放射能物質の完全除去ができる技術開発を進めるとともに、その間は貯蔵タンクの増設などにより本県農林水産物の安全・安心情報を守るよう切望する」と表明した。
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2021年04月14日
農地特区延長を可決 付帯決議「効果明らかに」 衆院特別委
衆院地方創生特別委員会は13日、兵庫県養父市で認めている一般企業による農地取得の特例措置の期限を2021年8月末から2年間延長する国家戦略特区法の改正案を、自民、公明、維新の各党の賛成多数で可決した。だが、特例の必要性や効果を巡る政府の説明には、与野党から疑問が続出。特例の効果を明らかにすることなどを政府に求める付帯決議を採択した。
特例の活用状況について農水省は、21年1月末時点で農地を取得した企業は6社、取得面積は計1・65ヘクタールだと説明。割合は経営面積全体の約5・5%で、残りは既に全国で解禁しているリース方式だとした。1社は19年3月から休業し、取得農地は農業利用されていないとも指摘した。
一方、内閣府は、……
次ページに付帯決議のポイント(表)があります。
2021年04月14日
法人議決権緩和 規制改革WG内でも異論 優良農地支配を懸念
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)が関心を示す農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、同WG委員の農業経営者から否定的な意見が相次いでいたことが議事録から分かった。要件を緩めた場合、農業関係者以外の資金力がある出資者に農地を支配されかねないなどの指摘が出た。身内からも異論が噴出したが、同会議は要件緩和を迫る姿勢を崩していない。
資金調達円滑に→経営権脅かす
こうした指摘が出ていたのは3月5日のWG会合。……
2021年04月11日
改正種苗法施行 海外持ち出し制限 初公表 シャインなど1975品種 農水省
農水省は9日、品種登録した品種(登録品種)の海外流出防止を目的とする改正種苗法の施行に伴い、海外への持ち出しを制限する1975品種を公表した。1日の施行後、公表は初めて。ブドウ「シャインマスカット」や北海道の米「ゆめぴりか」など、いずれも同法施行前に品種登録済み・出願中だった品種で、届け出に基づいて「国内限定」の利用条件を追加した。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「税関とも情報共有し、わが国の強みである新品種の流出を防ぎ、地域農業の活性化につなげていきたい」と述べた。
1日に施行された改正種苗法は、品種登録の際に、栽培地域を国内や特定の都道府県に限定する利用条件を付けられるようにした。「国内限定」の第1弾の品種は、農研機構や42道府県が開発した米や果実が中心だ。同省によると、国や県など公的機関が開発した登録品種の9割が「国内限定」となった。
米では青森県の「青天の霹靂」や新潟県の「新之助」、果実では石川県のブドウ「ルビーロマン」や福岡県のイチゴ「あまおう」、愛媛県のかんきつ「紅まどんな」などが含まれる。今後、民間の種苗会社の品種も含めて、順次追加する。
条件に反して海外に持ち出した場合、個人なら10年以下の懲役や1000万円以下の罰金、法人なら3億円以下の罰金が科される。流通の差し止めや損害賠償といった民事上の措置も請求できる。
同省は、同法施行の経過措置として、施行前に品種登録済み・出願中だった品種も、「国内限定」などの利用条件を追加できるようにしていた。9月30日まで届け出を受け付ける。一方、今後、品種登録する品種は原則として「国内限定」とするよう開発者に促す。
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2021年04月10日
輸出基本方針を改正 マーケットイン型へ転換 政府
政府は9日、農林水産物・食品輸出促進法に基づく基本方針を改正した。昨年11月にまとめた、輸出拡大に向けた実行戦略を反映。相手国の需要に応じたマーケットイン型の輸出への転換を強調した。各国の需要や規制に対応した「輸出産地」の育成や、生産から輸出までの事業者を束ねた「品目団体」の組織化などを盛り込んだ。
輸出産地については、輸出事業計画の認定を通じ、産地ごとの目標や課題、対策を明確化する。……
2021年04月10日