日本短角種 本格販売へ 赤身肉需要に対応 JA静岡経済連
2019年07月10日

出荷直前の日本短角種の世話をする新村さん(静岡県浜松市で)
JA静岡経済連が日本短角種の本格販売に乗り出した。静岡県内のスーパーの要望を受けたマーケットイン(需要に応じた生産・販売)の取り組みで、主産地の岩手県から子牛を導入し、県内で15~17カ月間肥育。連携するスーパーが全量を買い取り、今月から定期的に売り場に並べる。高齢化に伴って増える赤身肉需要に対応し、地域独自のブランドで区別化販売を狙う。
県内でスーパーを展開するビッグ富士(浜松市)が今月中旬から、「静岡短角和牛」のブランドで全21店舗で販売を始める。今月は5頭分。価格はロースが100グラム680~780円(税別)を予定。黒毛和種より2、3割安く設定して売り込む。1カ月に1回のスポット販売で、これからほぼ毎月販売する。
同社の村上弘幸常務は「日本短角種の肉は、和牛のうま味や柔らかさを持った赤身で、消費者の需要に合う」と強調。同社の国産牛肉の取り扱いは黒毛和種や交雑種(F1)が多く、消費が定着しているが、「国産の上質な赤身肉を求める消費者も多い」という。
静岡経済連は2018年1月に初めて岩手県の家畜市場から8~10カ月齢の子牛を買った。肥育は、浜松市の新村博通さん(63)に委託する。
日本短角種登録協会によると、日本短角種の生産は北海道と北東北に集中している。静岡経済連の取り組みについて「珍しい」と同協会。子牛相場は1頭20万~30万円となっている。
県内でスーパーを展開するビッグ富士(浜松市)が今月中旬から、「静岡短角和牛」のブランドで全21店舗で販売を始める。今月は5頭分。価格はロースが100グラム680~780円(税別)を予定。黒毛和種より2、3割安く設定して売り込む。1カ月に1回のスポット販売で、これからほぼ毎月販売する。
同社の村上弘幸常務は「日本短角種の肉は、和牛のうま味や柔らかさを持った赤身で、消費者の需要に合う」と強調。同社の国産牛肉の取り扱いは黒毛和種や交雑種(F1)が多く、消費が定着しているが、「国産の上質な赤身肉を求める消費者も多い」という。
静岡経済連は2018年1月に初めて岩手県の家畜市場から8~10カ月齢の子牛を買った。肥育は、浜松市の新村博通さん(63)に委託する。
日本短角種登録協会によると、日本短角種の生産は北海道と北東北に集中している。静岡経済連の取り組みについて「珍しい」と同協会。子牛相場は1頭20万~30万円となっている。
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[岡山・JA岡山西移動編集局] 冬まで高品質桃 10品種で長期リレー 労力分散贈答品に
JA岡山西吉備路もも出荷組合は、10品種の桃をリレー形式で長期間出荷し、ブランドを築いている。6月中旬から12月上旬までの長期出荷は全国的に珍しい。中元や歳暮の贈答需要に対応した所得安定や、労力分散を図っている。現在は、高糖度で日持ちが良いJA独自ブランド「冬桃がたり」を出荷。シーズン最後に高品質桃を出荷し、消費を取り込み、来季の販売につなげる。
同組合は、6月中旬の極早生品種「はなよめ」を皮切りに、12月上旬まで「冬桃がたり」を出荷する。
近年、力を入れているのが、シーズン終盤の「冬桃がたり」の生産、販売だ。極晩生種で、1玉約250グラム、平均糖度は15以上。品質や日持ちの良さから、歳暮やクリスマスの贈答需要が強い。卸売価格は、夏に出荷する主力「清水白桃」の2倍以上。今季は11月20日から出荷を始め、12月10日ごろまでを計画する。
「冬桃がたり」は2011年に栽培を始め、組合員94人のうち今は35人が1ヘクタールで生産している。生産量は増え、19年産は前年比4割増の3・5トン、販売額は5割増の1000万円を計画する。
栽培管理は4~11月まで8カ月を要する。一般的な剪定(せんてい)は夏と冬の2回だが、「冬桃がたり」は、夏も果実が樹上にあるため、冬の1回で作業を終わらせる必要がある。剪定場所の判断が重要で、組合内で研究を重ねている。収穫から出荷までは、室温7度に設定したJAの予冷庫で貯蔵。温度変化を抑え、品質を保持する。
1ヘクタールで10品種を栽培する組合長の板敷隆史さん(46)は「労力が分散され、安定収入につながる。増産して需要に応えたい」と意気込む。
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2019年12月06日

ビワ大産地 台風15号3カ月 復旧「素人には無理」 倒木、落石、通行止めもまだ… 千葉県南房総市
台風15号の被災から9日で3カ月。全国屈指のビワ産地、千葉県南房総市では農道や園地を覆った倒木、落石が片付けられず復旧が思うように進んでいない。急斜面の園地も多く撤去には危険が伴うため「素人には不可能だ」と話す農家もいて、行政などの支援を強く求めている。(関山大樹)
行政支援を切望
千葉県は、産出額8億円(2017年度)を誇る全国2位のビワ産地。だが9月の台風15号の強風で、木が倒れるなどの被害が出た。県によると、20年の見込み被害額は5億9000万円に及ぶ。
同市の沿岸部にある南無谷地区は、地域の山の多くがビワ山だという。「園地を見ると心が折れる」。ビワ農家の木村庸一さん(58)が落ち込んだ表情で話す。60アールのビワ園は、来シーズン半分以上が収穫できなくなった。
山中にあるビワ園は曽祖父の代から守り、かつては皇室に献上するビワも生産した。ビワは花や幼果が寒さの影響を受けやすいため、冬に風が吹いて霜が降りにくく、寒さが滞らない山の急斜面で栽培される。
台風の強風で、山中のビワの半分以上が折れたり、根こそぎ倒れたりした。急斜面のため現在も、石や折れた木が落ちてくる可能性がある危険な状態だ。
木村さんは、チェーンソーで一部倒木の除去や倒れた木を元に戻すなど尽力したが、19、21号と続いた台風で、修復しても元に戻る“いたちごっこ”の状態が続いた。
険しいビワ山を通る農道も、50年ほど前から農家らが協力して作り、コンクリートで舗装し管理してきた。台風直後は、強風や大雨による倒木や落石で通れなくなり、今も山奥に行くにつれ倒木が手つかずの場所もあり、一部のビワ園は立ち入れない。
木村さんは「山中での作業なので撤去は危険が伴う。安易に除去できない木もあり、全ての倒木や落石の除去は素人には不可能だ」と訴え、倒木や落石の撤去などへの行政支援を訴える。
房州枇杷(びわ)組合連合会が、66人の組合員に行った台風被害調査によると、被害額は10月末時点で1億648万円、来年の売り上げは3億円減少する見込みとなった。連合会によると、実際の被害金額はさらに多い見通しだ。
連合会会長で、南房総市のビワ農家、安藤正則さん(63)も園地半壊の被害を受けた。安藤さんは「このままの状況だと復興は1、2年じゃ到底終わらない」と危機感を募らせている。
ビワは苗木を植えてから収穫まで、5年ほどかかる。園地の再建について高齢農家ほど意欲に陰りがあるとし、「気持ちの面で立ち直れない人もいる。園内の倒木撤去や整理の他、所得補填(ほてん)などさらなる支援が必要だ」と要望する。
自身もビワ農家であるJA安房の笹子敏彦常務も「まだ山中に入れないビワ農家も少なくない。特に雨が降った後などは危険度が増す」と話し、復旧への道が険しいことを強調する。
15、19、21号 38都府県被害 農林水3900億円
農水省は6日までに、台風15号の農林水産関係の最新被害額が5日午後4時時点で815億円に上ると発表した。19・21号の被害額(3082億円、2日午後1時時点)と合わせると、総額3897億円に上る。
15、19、21号の被害は38都府県が報告。被害額は、2018年の西日本豪雨の被害額3409億円を超えた。
内訳は農地の損壊が2万6273カ所で被害額746億6000万円。用水路や農道といった農業用施設などが、2万4130カ所で被害額1226億4000万円。作物被害は3万6459ヘクタール、被害総額265億3000万円。農業用ハウスなどの被害は、2万9336件で被害額503億1000万円だった。同省によると、今後も被害額は増える見込み。
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2019年12月07日
直接支払い3制度 自治体負担軽減を 農水省が検討開始 根拠法20年度見直し
農水省は6日、中山間地域等直接支払制度と多面的機能支払交付金、環境保全型農業直接支払交付金から成る「日本型直接支払い」の検証を始めた。農業者団体からの意見聴取などを通じ制度の課題を洗い出し、2020年度に対応方針も取りまとめる。現場で制度を推進する自治体の事務負担の軽減などが検討事項となる見込みだ。
三つの制度は、政府が地域政策と位置付けており、条件不利地を含めた農地の保全、営農の継続などを後押ししている。各制度の根拠法として、農業の多面的機能発揮促進法が15年4月に施行され、施行5年後の20年度に見直すかどうか、検証するとしていた。今後、三つの関連制度の第三者委員会で検討を進める。
同日の会合で、委員長に就いた東京大学大学院の中嶋康博教授は「それぞれ(の直接支払いは)地域の農業農村に大きな役割を果たしている。改めて法制度、運用について課題を共有したい」と話した。同省は、自治体のアンケート結果を報告。三つの制度を同じ部署で担当している市町村は7割に上った。
宮城大学の三石誠司教授は、関連制度を推進するに当たり「市町村が忙しいため、(現場の要望を)聞くことができていないのではないか」と指摘。自治体の人手不足を課題として検討するよう提起した。
日本消費者協会の河野康子理事も自治体の人手不足を課題に挙げ、「コンサルティングなどの手当てが必要」と述べた。コンサルタント企業クニエの原誠マネージングディレクターは「事務と人材が課題の大きな柱になる」と指摘した。
市町村は同じ部署で3制度を担当するが、同省は制度ごとに担当部署を設けていることも論点になった。中嶋委員長は市町村の人手不足を念頭に「書類様式を可能な限り統一した方がいい」と指摘、同省に精査を求めた。
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2019年12月07日

渋野プロ地場産で応援 JAグループ岡山
JAグループ岡山は6日、岡山市で岡山県出身のプロゴルファー・渋野日向子選手に、同県産米「きぬむすめ」120キロと県産農産物を贈呈した。今年8月にAIG全英女子オープンで優勝し、日本人42年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた渋野選手の快挙を祝い、来シーズンの一層の活躍を応援した。
「きぬむすめ」は、JAグループ岡山が新たなブランド米として生産拡大する瀬戸内海のカキ殻を使った資材で栽培する「里海米」。この他、県産ブドウ「紫苑」2房と、梨「愛宕」2玉、黄ニラ10束、ナス「千両」2キロなどを贈った。
渋野選手の父親は、JA岡山の正組合員で実家に畑があり、渋野選手は小さい頃から農作業を手伝っていたという。渋野さんは「農業には親近感がある。これからも、岡山の米や農産物を元気にモリモリ食べて、頑張りたい」と笑顔を見せた。
JA岡山中央会の青江伯夫会長は「岡山県人に勇気をくれたことに感謝したい。JAグループ岡山で、おいしいお米や野菜を作り、食べてもらい、さらに、パワーアップしてほしい」とエールを送った。
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2019年12月07日

片岡礼子さん(女優) 家族つなぐ 愛の手料理
住んでいる時は当たり前と思っていたんですが、故郷を離れて初めて分かることってたくさんあるんですよね。私は愛媛県松前町の出身で、本当に美しい稲穂に挟まれた道を登校していたんです。遊ぶのも田んぼ。わらを崩して怒られるのも田んぼ。東京に出てから、それが当たり前というわけではないと知りました。
父の実家は新居浜市の山奥、別子銅山の方でした。私も小さい頃、よく祖父母の家に遊びに行きました。夏休みにまるっと1カ月間、そちらで過ごしたものです。
家の裏には栗山、柿山、ビワ山があって、祖父と一緒に山に行き、川で丸一日石投げをして遊んでいました。畑で祖父と一緒に芋を掘ったりもしました。家の周りではウコッケイが自由に歩き回っていたんです。祖母が、要らない野菜の葉っぱを刻んで卵の殻とかと混ぜた餌を与えると、鶏は走って寄ってきました。
祖母はみそを手造りしていました。6畳だったか8畳だったかの座敷を二つ使って毎年大量に造っては、親戚中に配っていたんです。
おそらく自給自足に近い生活だったんでしょう。祖父母をもっと手伝って、食べ物の作り方を学べばよかったと感じています。
肉嫌いの私に…
小さい頃に大好きだった「おふくろの味」は、ささ身のフライです。私は肉が苦手な子でした。肉料理が出ると、親の目を盗んで妹の皿に載せていたくらいです。そんな私でも唯一食べられたのが、鶏肉。それを知った母が、手を替え品を替えて頑張ってくれた末にヒットしたのが、ささ身のフライ。母の愛情がこもった、大切な味なんです。
東京で1人暮らしを始めたら、その味を食べたくなって。帰省したら必ず「お母さん、ささ身のフライを作って」と言ってました。
東京での私の食生活は、褒められたものではなかったですね。コンビニ1軒あれば足りる、という感じでしたから。
和食で体調良く
20代になって良い仕事がたくさん続いたのでうれしくて、がむしゃらに頑張りました。思いっ切りダイエットをして、体も絞ったんです。そのため妊娠・出産するに当たって、助産師さんに「そんな食べ方では駄目です」と言われました。「きちんと日本の伝統的な食事を取るように心掛けなさい」と。
20代での食生活が影響したんでしょうか。私は30歳の時に脳出血で倒れてしまいました。
長い期間、リハビリを続けながら、食事の大切さについて考えました。和食をいただくようにしたこともあって体調は良くなり、大好きな女優の仕事もできるようになりました。
この5年くらいは、友達に教わった方法で、みそを手造りしています。祖母がやっていたような大掛かりで本格的なものではありません。ごく簡単な方法ですけど。その友人は赴任先のアメリカで、みそ造りを先輩から教わったそうです。大豆とこうじ、塩しか使わないので、健康的だと思います。
今年になって母の体調が優れなくなりました。父はそれまで料理をしてきませんでしたが、「お父さん、昔ながらの和食がいいよ。作れる?」「うん、やってみる」と。夜のうちにだしを取って、毎朝みそ汁を作っているそうです。最近は「こんな料理を作ってみた」と写真を送ってくれるようになりました。きちんと副菜まで作っているんです。父の愛情がこもった料理で、母の体調が良くなることを祈っています。(聞き手・写真=菊地武顕)
かたおか・れいこ 1971年、愛媛県生まれ。93年に映画デビュー。95年「愛の新世界」「KAMIKAZE TAXI」でヨコハマ映画祭最優秀新人賞。2001年「ハッシュ!」でキネマ旬報、ブルーリボン両賞の最優秀主演女優賞。映画「楽園」「閉鎖―それぞれの朝―」公開中。映画「Red」「タイトル、拒絶」が来年公開予定。
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2019年12月07日
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渋野プロ地場産で応援 JAグループ岡山
JAグループ岡山は6日、岡山市で岡山県出身のプロゴルファー・渋野日向子選手に、同県産米「きぬむすめ」120キロと県産農産物を贈呈した。今年8月にAIG全英女子オープンで優勝し、日本人42年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた渋野選手の快挙を祝い、来シーズンの一層の活躍を応援した。
「きぬむすめ」は、JAグループ岡山が新たなブランド米として生産拡大する瀬戸内海のカキ殻を使った資材で栽培する「里海米」。この他、県産ブドウ「紫苑」2房と、梨「愛宕」2玉、黄ニラ10束、ナス「千両」2キロなどを贈った。
渋野選手の父親は、JA岡山の正組合員で実家に畑があり、渋野選手は小さい頃から農作業を手伝っていたという。渋野さんは「農業には親近感がある。これからも、岡山の米や農産物を元気にモリモリ食べて、頑張りたい」と笑顔を見せた。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 受託田の水管理住民がサポート
JA岡山西は、JAの作業受託組織を住民が支援する「稲作りサポーター」制度を導入し、JAと地域住民で農地を守る体制を整えた。条件不利地や飛び地などの農地は受託が難しいが、日常的に必要な水管理をサポーターが担うことで、受託能力を高める。2019年は7人が、サポーターとして約5ヘクタール分の管理を担う。
サポーター制度を取り入れたのはJAの子会社として13年に設立した岡山西アグリサポート。19年度は水稲24ヘクタール、タマネギ1ヘクタールを栽培する。
倉敷市を中心に農地中間管理機構(農地バンク)を通じて、高齢で農作業が難しい生産者らから農地を預かるが、受託地は170カ所に分散され、面積拡大にも限界が出ていた。対策として16年から、地元農家から「稲作りサポーター」を募集。水管理の委託を始めた。
赤木稔さん(76)は、同市で水稲80アールを栽培しながらサポーターとして80アールの水管理を請け負う。6月の田植え時期が最も忙しく、地区によってはポンプで水路から水をくみ上げる水田も多く、機械を運搬するため体力もいる。赤木さんは「耕作放棄地を見るのは残念。みんなで助け合い農地を守りたい。体力が続く限り稲作りサポーターを続ける」と話す。
同社の阿部晃治生産部長は「サポーターのおかげでよく水管理ができ、草も生えにくいため、米の品質が上がった。協力して地域農業を守っていきたい」と頼りにする。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 就農者にバイト紹介 未収益期間の収入確保
岡山県のJA岡山西は、果樹の新規就農者に、JA施設のアルバイトを紹介し、未収益期間の収入確保につなげている。農作業の合間に勤められるよう、希望に応じて日数や時間を柔軟に対応。年間を通して新規就農者が働ける環境を整え、経営が軌道に乗るまでをサポートする。仕事を通じて新規就農者同士や住民、JA若手職員と交流もでき、喜ばれている。
「桃ができるまでの収入が一番不安。農業を理解し、自由に働かせてもらい助かる」。倉敷市のJAの加工場でタケノコ加工に従事する畑祐貴さん(33)は感謝する。2年間の研修を経て、総社市で11月に就農した。借りた30アールに桃「清水白桃」を定植し、放棄地1・7ヘクタールも開墾中だ。3年後の収穫までの収入が不安材料で、JAに相談したところ、仕事を紹介された。
加工場で働くのは週3日ほど。基本は午前9時~午後5時だが、農作業が忙しいときは午前中で終えるときもある。農作業の傍ら、自由な働き方ができることが利点だ。
JAではこの10年、国や県の事業を活用して新規就農者が増加。今では畑さんと同じ、新規就農者約10人が4、5、11、12月のタケノコ加工、6~9月の桃選果、9~12月のライスセンターなどJA施設で働く。他の期間では、春と夏に同じ果樹生産者の作業を手伝い、技術を学ぶ。
JA営農部の安井健次長は「JAも人手の確保につながり助かっている。若手職員と親交も深まり、融資などの相談もしやすくなる」と話す。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 冬まで高品質桃 10品種で長期リレー 労力分散贈答品に
JA岡山西吉備路もも出荷組合は、10品種の桃をリレー形式で長期間出荷し、ブランドを築いている。6月中旬から12月上旬までの長期出荷は全国的に珍しい。中元や歳暮の贈答需要に対応した所得安定や、労力分散を図っている。現在は、高糖度で日持ちが良いJA独自ブランド「冬桃がたり」を出荷。シーズン最後に高品質桃を出荷し、消費を取り込み、来季の販売につなげる。
同組合は、6月中旬の極早生品種「はなよめ」を皮切りに、12月上旬まで「冬桃がたり」を出荷する。
近年、力を入れているのが、シーズン終盤の「冬桃がたり」の生産、販売だ。極晩生種で、1玉約250グラム、平均糖度は15以上。品質や日持ちの良さから、歳暮やクリスマスの贈答需要が強い。卸売価格は、夏に出荷する主力「清水白桃」の2倍以上。今季は11月20日から出荷を始め、12月10日ごろまでを計画する。
「冬桃がたり」は2011年に栽培を始め、組合員94人のうち今は35人が1ヘクタールで生産している。生産量は増え、19年産は前年比4割増の3・5トン、販売額は5割増の1000万円を計画する。
栽培管理は4~11月まで8カ月を要する。一般的な剪定(せんてい)は夏と冬の2回だが、「冬桃がたり」は、夏も果実が樹上にあるため、冬の1回で作業を終わらせる必要がある。剪定場所の判断が重要で、組合内で研究を重ねている。収穫から出荷までは、室温7度に設定したJAの予冷庫で貯蔵。温度変化を抑え、品質を保持する。
1ヘクタールで10品種を栽培する組合長の板敷隆史さん(46)は「労力が分散され、安定収入につながる。増産して需要に応えたい」と意気込む。
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2019年12月06日

マルシェで復興PR 台風被害のかんきつ販売 千葉・JA安房
千葉県の館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町を管内に持つJA安房は5日、東京・大手町のJAビルで、台風や大雨の被害を受けながらも頑張る農家を応援するため「安房みかん復興支援マルシェ」を開いた。同県の支援を受け、JAグループも協力。打撃を受けた産地の農産物をPRして、復興を後押しした。
台風の影響で傷ついたミカン17ケース(1ケース10キロ)やレモン400個、ユズ300個を用意。管内の生産者やJA職員が産地の情報を説明しながら販売した。被災した園地の現状や復興の取り組み、農産物の魅力を伝える動画を消費者が見ながら農産物を購入。用意したミカンなどは、販売開始から約2時間で完売した。
南房総市のミカン農家、井上栄一さん(70)は「応援を受けると、また頑張ろうという気持ちになる」と農産物や地域の魅力を消費者に話した。
JA管内は9、10月と相次ぐ台風と大雨の影響でハウスが倒壊し、果樹の落下や倒木など、大きな被害を受けた。JA調べでは、管内の農業施設や農産物の被害額は約50億円(11月30日現在)。
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2019年12月06日

[岡山・JA岡山西移動編集局] リスク診断 県トップ800件 災害への備え万全に
異常気象による自然災害が増えているため、岡山県のJA岡山西は、2019年度から農業者へのリスク診断に力を入れている。JA共済連岡山によると、11月末現在でリスク診断を受けたのは県内JAでトップの800件。農業経営へのリスクを“見える化”することで、農業者の意識改革につなげる。
農作業中のけが、自動車事故、農業用施設の損壊、自然災害による収入減少など、農業者を取り巻くリスクは増大・多様化している。リスク診断は、16年度にJA共済連が開始。18年度に導入したシステムでは業種や経営規模などを選択すると農業経営に応じたリスクが表示され、被害を減らす対策や共済・保険などを紹介してくれる。
18年7月に西日本豪雨で甚大な被害を受けたJA岡山西では、防災意識の高まりを受け、JAがリスク診断を提案したところ、診断を希望する農業者が多かった。
2日にリスク診断を受けた倉敷市の岡本彰夫さん(48)は「災害や事故は起きてみないと分からない。最悪のことを考えて備えることが大切」と実感した。90アールでブドウ「ピオーネ」「シャインマスカット」などを栽培するが、診断で畑にある倉庫が共済対象になることを知った。西日本豪雨では被害を免れたが、リスクを把握し備える大切さを痛感したという。
JA共済部の高杉博部長は「一件でも多く診断をすることで、経営を取り巻くリスクを知らせ、ニーズに応じた対策を総合事業の強みを生かして提案したい」と、農業者の意識の変化を歓迎する。
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2019年12月06日

果樹以外も“引き”強く 昨年の7倍販売 PBのこぎり好評 JAあいち豊田
愛知県のJAあいち豊田が今年度から販売を始めたプライベートブランド(PB)商品「こめったくんノコギリ」が好評だ。4月からの半年で、昨年ののこぎり販売数の7倍以上に当たる264本を販売。剪定(せんてい)作業に使う果樹農家だけでなく、一般農家にも購入が広がっている。
JAがPBのこぎりの販売を始めたのは、組合員の声がきっかけ。全国の桃生産者が集まる場で、JA桃部会の林金吾さん(67)が長野県にあるメーカーの説明を受け使い始め、良い商品だとJA営農資材課に紹介した。
当初は通常商品として果樹農家向けに販売。2、3年使った農家から高い評価を得たことから、PB化の検討を始めた。同課の職員がメーカーを訪ね、細部まで品質を確認。長期間使っても切れ味が落ちず、果樹農家だけでなく、幅広い目的で使えるよう、グリップの形状なども考慮し選定。4月からPB商品として販売を始めた。
購入価格を抑えるため、JAでは事前注文のキャンペーンを春と秋に実施し、通常より15%ほど安くした。替え刃も用意し、既に購入した組合員の要望にも応えている。
PBのこぎりを愛用する林さんは「他の物とは切れ味が違い、長持ちもするので手放せない。庭木の剪定など一般の人にも使ってほしい」と太鼓判を押す。
JA営農資材課の兵藤仁課長は「組合員の声を形にすることで、営農をサポートし期待に応えたい」と話す。
JAは、2016年3月から組合員の声を取り入れたPB商品を開発、販売している。少量規格の肥料や刈り払い機のチップソー、軽トラックの荷台に取り付けるほろなどを販売し、好評だ。
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2019年12月05日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 店頭PRボード 腕前は県トップ 池田支店 佐藤菜美さん
JA岡山西池田支店の佐藤菜美さん(32)が飾るJA情報を発信するブラックボードが好評だ。色鮮やかなマーカーや小物で飾り、必要な情報を効果的にPRする。今秋にはJAバンク岡山主催のボードPRコンテストで最優秀賞を受賞。ボードで来店者との会話も増え、地域とJAをつなぐ。
ボードはJAの全32支店に設置。信用・共済窓口の職員がボードを自作し、来店者に、ひと目見て情報が伝わるよう工夫する。
新商品があるときなど、興味を持ってもらえるよう意識しているという佐藤さん。「目を引く色を使い、イラストを入れ文字はなるべく増やさず、読みやすさを心掛ける」と話す。
佐藤さんは9月上旬にJA本店で開いた「JA岡山西ブラックボードPRコンテスト」で最優秀賞に選ばれ、JA代表として県のコンテストでも優勝。「ボードが会話のきっかけになり、お客さまとの触れ合いにもつながっている」という。
JA共済連岡山が11月に開いた「自動車共済ブラックボードコンテスト」では、JA代表として総社西支店の須山友美子さんが準優勝に選ばれるなど、職員同士でも工夫し合っている。
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2019年12月04日

業務用ブロッコリー 全農が産地化 大手コンビニと10県で契約取引 国産を安定供給
JA全農が産地開発を進める加工・業務用ブロッコリーの本格的な生産・販売が今年度から始まった。産地は10県14・4ヘクタールに拡大。11月からコンビニ最大手のセブン―イレブンの北海道を除く全国域で国産サラダとして販売している。契約取引のため農家は安定収益が見込める他、調製が省力化できるなどの利点がある。輸入品のシェア奪還に向け、全農は今後も取り組みを広げる考えだ。
全農が29日、明らかにした。全農営業開発部が進める産地化で、大手コンビニとの本格的な取引は初という。
東北から九州の10県の農家が生産、11月~来年2月を中心に約230トンを供給する見込み。ブロッコリーは専用品種で直径16~18センチ、重さ500~700グラム。通常の約2倍の重さで、加工時の歩留まりが良い。出荷時は中心の花蕾(からい)だけでよく、市場出荷のような調製の手間が不要だ。
注文に応じて生産者が調製し、JAの集出荷場から送る。セブン―イレブンの調理工場は、東北から九州まで8カ所の原料集配拠点がある。最寄りのJAから市場向けのトラックに同乗させて搬入する仕組みだ。
18年度に全農の提案でセブン―イレブンに国産を試験してもらい、食味や歩留まりの良さを確認。11月から新商品「国産ブロッコリーとキャベツのごま和(あ)えサラダ」(235円)に使われ、2月初めまで販売される予定だ。
全農によると、取引は固定価格のため経営が見通せ、法人や大規模農家による生産が多い。食品表示法の改正で、2022年4月に加工食品の原料の原産地表示が義務付けられるため、全農は追い風になるとみている。営業開発部は「商品化を機に取引拡大につなげる。輸入品の強い夏場にも少しずつ国産を浸透させたい」と強調する。
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2019年11月30日
全国JA調査 バケツ稲で地域と密着
小学生らがバケツで稲の栽培体験をするJAグループの「バケツ稲作り」で、取り組むJAの7割が、地域社会とつながりが深まったと実感していることが、JA全中が25日に発表したアンケート結果で分かった。JA祭りに児童が参加したり、給食に地元産米が使われたりと、目に見える効果につながっていた。全中は事例を全国のJAに発信し、JAファンづくりにつなげたい考えだ。
調査は8、9月、JAや都道府県中央会にメールで実施。231組織から回答があった。
地域社会とのつながりの深まりについて聞く問いには、配布しているJAの68・6%が「深まった」と回答。「農家になりたいという声があり、担い手育成につながった」「農業祭りに子どもたちの来場が増えた」「学校行事に招待される」「給食での地場産米の供給につながった」などの声があった。
バケツ稲を配るJAの中で、55%が栽培指導(出前授業)もする。うち7割をJA職員が行い、農家組合員(15%)、青壮年部・女性部員(15%)と続いた。自由記述では、講師を務めたJA職員や農家らが、子どもたちと接点が生まれたことを実感する声があった。
全中広報課は「JAが自己改革を進める中、地域とのつながりづくりの意義は大きい。アンケートを生かし、優良事例のヒントをJAに発信していきたい」としている。
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2019年11月26日