SDGsとJA 総合事業で課題解決を

 「協同組合は、働きがいのある人間らしい仕事を実現します」。今年の国際協同組合デーで掲げた世界共通のテーマは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づくものだ。格差や飢餓、環境などの課題をどう解決し、次世代に引き継ぐのか。JAの原点を見直す機会にしよう。

 SDGsの目標は2015年9月の国連総会で採択されたもので、貧困の撲滅、飢餓の解消、全ての人に健康と福祉の提供などの目標を掲げる。各国は目標の実現に取り組んでおり、日本でもさまざまな取り組みが進められている。

 JAでも取り組みが広がっている。日本協同組合連携機構(JCA)が18年に行った調査では、全国のJAの6割がSDGsを事業に取り込む意向を示した。

 福島県のJAふくしま未来は、SDGsの分野別に事業を当てはめた3カ年計画を策定。本店の階段に17分野の目標のシールの掲示や広報誌での連載を通し、職員や訪問者、組合員に広く紹介している。

 兵庫県のJAたじまでも、分野別の目標を表す17色のSDGsバッジを着けるとともに、4月に開いた事業進発大会で職員の意識を高めた。

 JA全国女性組織協議会は19年度からの3カ年計画でSDGsの考え方を取り入れている。このため、各地のJA女性組織でも学習が盛んだ。JA新潟県女性組織協議会は、JA新潟中央会と共に開いた女性組織リーダー・参画推進研修会でSDGsに関するカードゲームを行い、JA女性組織の活動がSDGsと合致していることを学んだ。

 こうした学習や実践を通じ、多くのJA職員、組合員は、JAの活動がSDGsと重なることを実感している。日本の農協が「JA」として、営農から販売、購買、信用、共済、医療・福祉などに幅広い事業部門を持つことになった経緯を、改めて学ぶ機会ともなっている。

 今年から始まった「家族農業の10年」は、市場原理や新自由主義が世界を席巻する潮流に歯止めをかけ、持続可能な社会の構築を目指すものだ。

 だが日本では、官邸主導の新自由主義的な発想で規制緩和や競争原理を推し進める動きが続く。農協や農政もその対象となっている。

 一方、世界的には協同組合の理念や実践を高く評価する動きもある。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、協同組合を無形文化遺産に登録した。日本では“黙殺”されているが、「家族農業の10年」なども含めて、いずれもSDGsにつながるものである。

 地域に密着し、長い歴史の中で構築してきたJAの総合事業だからこそ、協同組合の理念や家族農業を土台に、持続可能な地域農業や暮らしを実現できる。それが、新自由主義への最大の反論ともなる。

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