豚コレラ発生1年 終息兆し見えず 養豚場、4県40例

 国内で豚コレラが26年ぶりに発生して9日で1年を迎えた。これまで養豚場での発生は4県40例、殺処分された豚は13万頭超に上る。現在も毎週のように発生が相次ぎ、終息の兆しは一向に見えず、対策を徹底してきた農家の疲弊感は強まっている。

 豚コレラ発生農場は1年間で岐阜県から愛知県、三重県、福井県へと広がり、8日までに40例となった。ウイルスを広げて終息を困難にする陽性の野生イノシシは長野県、富山県、石川県でも確認が相次いでいる。

 農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームは、遺伝子分析などの結果から、ウイルスが中国やその周辺国から侵入したものと推定する。旅行客の手荷物や国際郵便で検疫を受けずに持ち込まれた豚肉製品が廃棄され、野生イノシシが食べて感染した可能性があるという。

 岐阜市では発生前の昨年6月下旬には、野生イノシシがウイルスに感染していたとみる。市内の死亡イノシシが例年に比べて多かったためだ。

 日本は国際獣疫事務局(OIE)の清浄国で、26年ぶりの発生だった。加えて、症状が弱くて致死率が低かったことも発見の難しさにつながった。感染したイノシシもすぐに死なず、ウイルスをまき散らしていることが分かったため、今年3月には国内で初めて、餌として食べさせる経口ワクチンを投入した。

 発生農場の殺処分と消毒による早期封じ込め、農場への侵入を防止する飼養衛生管理基準の徹底で発生を食い止めようとする現場の努力が続くが、終息の見通しは立っていない。政府は5日、防疫対策本部を開き、野生イノシシ対策や農場への対策を整理。豚へのワクチン接種を含めて、あらゆる方策を視野に検討を進めている。
 

出入り対策不備目立つ 農水省報告


 農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームがまとめた発生農場の現地調査報告によると、多くの農場に複数の不備が見つかっている。同チームが“見落としやすいポイント”としたのは8項目で、1農場当たり3項目以上の不備があった。「着替えの不十分、防疫服・手袋の未使用」など人・車両の出入り対策の不備が目立った。同省はあらためて対策の徹底を呼び掛けている。

 調査対象は7月29日に福井県越前市で発生した34例目まで。農場での発生は、感染イノシシや近隣の農場からのウイルスが、人や車両、ネズミなど野生動物を介し、農場や豚舎に侵入したためだとみられる。

 ウイルス侵入防止対策の不備のうち最も多かったのは「作業服の着替え不十分、防疫服・手袋の未使用」で、発生34農場のうち24農場が十分ではなかった。「長靴の履き替えや洗浄が不十分」は17農場だった。野生動物の侵入防止対策では、「ネズミの侵入」対策が19農場で不十分だった。

 同省はこれを受けて、①毎日の健康観察と早期通報・相談②野生動物の侵入防止対策の徹底③適切な洗浄・消毒④食肉処理場など関係施設での交差汚染防止対策の徹底⑤畜産資材の導入する場合の対策の徹底──などを呼び掛けている。

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