[未来人材] 39歳 “果実の宝庫”をPR シードル造りで 地域盛り上げ奮闘 入倉浩平さん 長野県伊那市

自身の農園でリンゴの出来を確認する入倉さん(長野県伊那市で)

 長野県伊那市でシードル(リンゴの発泡酒)造りに打ち込むのは、入倉浩平さん(39)だ。異業種から参入し農業経験はなかったが、周囲の農家のアドバイスを基にリンゴ栽培に成功。地元の農家から買い入れたものと併せて、自家栽培の果実も原料に使う。2019年には、国際的なコンテストで最高位の賞に輝き、シードル造りを通して地域を盛り上げようと奮闘する。

 東京で生まれ育った入倉さん。シードル造りの原点は、同市出身の祖母との思い出だ。「リンゴもよく東京に送ってくれた。そのおいしさが忘れられなかった」と振り返る。

 転機は11年。勤務していた介護事務所が東日本大震災をきっかけに、事業の多角化に乗り出し、農業分野に挑戦することになった。具体的にどの分野に挑戦するかと考えた時、祖母との思い出からリンゴが思い浮かんだ。入倉さんは「加工品はジュースやアップルパイぐらいしかない。もっと可能性があるのではないかと考え、好きだったシードル造りに挑戦することにした」と話す。

 12年から3年間、醸造技術などを学ぶ都内の専門学校に通い、15年には長野県山形村のワイナリーで修行。16年、介護事務所が伊那市内にカモシカシードル醸造所を開設し、入倉さんが所長を務めている。

 シードル造りでは、周辺の農家から、傷が付くなどして生食用の出荷が難しいリンゴを受け入れる。「おいしいシードルを造りたい」という一心で、約1ヘクタールでシードルに向く酸味が強い15品種の栽培も手掛ける。

 だが、農業の知識がゼロだった入倉さんにとって農作業は未知の世界だった。右も左も分からない、そんなときに力を貸してくれたのが、周囲でリンゴを作る農家だった。入倉さんは「天敵のカミキリムシへの対処法や、栽培方法などを助言してくれて助かった」と感謝する。

 今後は、カルバドス(リンゴの蒸留酒)造りにも挑戦する予定。さらに、地域で収穫できるブルーベリーやカシスなどを使った酒を造れないかと夢を描く。入倉さんは「長野は果実の宝庫。地元の素材をさらに生かして農業もPRできれば最高だ」と笑顔を見せる。(藤川千尋)

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