[未来人材] 38歳。酪農経営4年半、県内外で新規就農呼び掛け 後継者不足打開探る 相場博之さん 栃木県那須町

「牛と遊べるのが楽しい」と話す相場さん(栃木県那須町で)

 栃木県那須町の相場博之さん(38)は、県内でも数少ない酪農の新規就農者だ。2015年から町内で畜舎を借りて営む。当初の飼養頭数は乳牛30頭だったが、4年半がたつ今年11月には約90頭に増やすなど、経営規模を拡大。県内外のイベントで酪農の魅力を発信し、活動の幅を広げている。

 相場さんは、東京都足立区出身。子どもの頃から興味があったのが「走る姿やシルエットの美しさに魅せられた」という馬だ。将来は厩務(きゅうむ)員になろうと、北里大学動物資源科学科に進学した。

 卒業後は動物に関わる仕事として、群馬県や福島県の大規模農場で働き、和牛の肥育や酪農に従事。その頃に「自らの責任で牛を育てたい」と思うようになり、牧場経営を目指したという。

 さらに、栃木県茂木町と那須塩原市の牧場で約4年間働いた後、廃業して使われなくなった牛舎を借りられることになり、15年5月に那須町で「相場牧場」を始めた。

 現在、相場さんは町内に住み、妻と妻の両親、子ども2人の6人で暮らす。だが朝から晩までほとんど家には戻らず、約3キロ離れた牧場で過ごす。「牛には1頭ずつ個性がある。餌の食いつきやちょっとしたしぐさなどからも、体調の変化を見抜く必要がある。何かあってはいけないから」と表情を引き締める。

 相場さんは、栃木県酪農業協同組合が東京で開く酪農就農応援セミナーに参加し、酪農の魅力を発信する活動にも取り組んでいる。後継者不足から周囲でも酪農をやめる人がいて、使われなくなった牛舎が出ていることから、地域の損失になると危機感を抱いているからだ。

 「自分たちが酪農で生活できている実情を伝えることで、酪農に携わりたいという人が一人でも現れてほしい。仲間ができれば楽しくなる」と相場さんは訴える。

 今後の経営については「当面、頭数は増やさない」方針だという。理由は「牛にストレスを与えない、寝転がれるスペースのある現状を維持したいから」で、牛の飼養環境を大切にした酪農を重視する考えを強調する。(中村元則)
 

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