[未来人材] 35歳。大規模農家継ぎ地域イベントを復活 「国産の魅力」伝える 本山忠寛さん 北海道美瑛町

主力のタマネギを紹介する本山さん(北海道美瑛町で)

 北海道美瑛町でタマネギや小麦など150ヘクタールを栽培する本山忠寛さん(35)は、地域活性化の旗振り役だ。地元農業青年らと、一度は途絶えた盆踊りや雪遊びのイベントを復活させた。一時は農業を継ぐか悩んだが、父親の思いを受けて就農。年間約160万人が訪れる同町で、景観の良い畑に看板を設置し、観光客に農業現場の思いも伝えている。

 農場は両親の他、従業員ら約30人で運営。畑作物だけでなくハウス60棟(4・5ヘクタール)でトマトも栽培する大規模経営だ。2017年に経営を継承し作業全般を担う。

 本山さんは幼い頃から将来は就農すると決めていた。しかし、小学5年生の夏、収穫目前のタマネギやダイコンを大量のひょうが襲い、多大な被害が発生。規模拡大で負っていた実家の負債はさらに膨らんだ。

 「来年駄目なら離農しなくてはいけない」。その年の冬の家族会議で父に告げられた。憧れていた農業の厳しい現実。子ども心に抱いていた農業への夢や希望が見いだせなくなった。

 ただ、離れかけた思いを再び農業に導いてくれたのは、諦めずに営農を続けた父だった。翌年から新たに施設トマトを栽培し、収益性が向上。経営はV字回復した。「父が必死につないでくれた農業。継ぐしかない」。道立農業大学校を卒業後、すぐに就農した。

 農作業に励む傍ら、地元農業青年らと盆踊りなどのイベントを復活。JAびえい青年部の田植え教室では、水田に飛び込むパフォーマンスを披露するなど、サービス精神旺盛だ。「地域に人が少なくなっている中で、一人一人が力を発揮する必要がある」と話す。

 昨年は地元の農業者らと、開墾の歴史などを記載した看板を写真スポットとして畑に設置。2次元コード(QRコード)も付け、畑を荒らしてほしくない理由や農業への思いを伝えるようにした。東京都内であった消費者向けのトークイベントにも参加した。

 背景には国産農畜産物を、今よりもっと食べてもらいたいという思いがある。本山さんは「農業者にしか伝えられないことは多い。より多くの消費者が国産にこだわりを持ってもらえるようになれば」と訴える。(川崎勇)
 

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