国家が掲げる大義に国民があおられることの怖さを

 国家が掲げる大義に国民があおられることの怖さを、米国ブッシュ政権の対テロ戦争で知った▼アフガニスタンに続いてイラクを攻めた。多くの国民が支持した。しかし政権が開戦の理由に挙げた大量破壊兵器は見つからず、一方でテロは世界に拡散した。トランプ大統領は、新型コロナ感染拡大を防ぐ取り組みを「戦争」と称し「戦時下の大統領」を自任、国民に結束を求めた▼〈旗振るな/旗振らすな/旗伏せよ/旗たため(略)/ひとみなひとり〉。作家・城山三郎の詩「旗」の一節である。忠君愛国の旗の下、志願して入った海軍での体験が基にあるのだろう。「ムードに流されず、何をすべきか自分で考えなさい」ということか▼ノーベル賞受賞者の山中伸弥京大教授が、新型コロナの情報を発信するホームページを開設した。行動の判断基準に役立ててもらう。ウイルスとの闘いを「1年は続く可能性のある長いマラソン」に例える。疲れても油断しても止まってしまうと感染が一気に広がる恐れがあり、「一人一人が、それぞれの家庭や仕事の状況に応じたペースで走り続ける必要があります」と呼び掛けている▼先は長い。何をして何をしないか。完走できるよう自分に合った走り方を考えよう。感染と強権発動を防ぎ、命も自由も守るために。

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