うどん用国産麦 地場の個性 広域流通を

 国産小麦のうどんが注目されている。うどんに適し、収量性も高い品種が各地で育成され、地域色の濃いうどんとして人気だ。オーストラリア産の利用が多いが、地場産は個性的な味わいが魅力。国産需要の拡大に向け、広域流通も視野に、産地が連携して安定した品質の小麦を増産し、供給していこう。

 国内で近年育成されたうどん用品種の特徴は、低アミロース。軟らかさと弾力性に富み、もちもちした食感の麺になる。製麺業者やうどん店などの要望で作付けが増えた。北海道では「きたほなみ」が9万ヘクタールで小麦の4分の3を占める。「あやひかり」「きぬあかり」は東海を中心に増え、2018年産でいずれも5000ヘクタールを超えた。

 産地の埼玉県のJAほくさいは17年産から「あやひかり」に統一した。追肥主体の施肥でタンパク質含有率を高め、10アール収が430キロに向上。日本麺向け低アミロース品種では同含有率の許容値が8~13%と幅が広く、経営所得安定対策の交付金でAランクを取りやすい。JAは農家の所得を増やせるとみる。

 うどん用小麦は、オーストラリア産のスタンダードホワイト(ASW)を年間約76万トン輸入している。品種ごとの作柄や品質を踏まえた日本向けのブレンド銘柄で、質・量両方の安定感が強みだ。国内では年間約80万トンの小麦を生産し、うどん用品種は8割余り。中華麺や菓子類向けも含み、ASWには及ばない。

 しかし、前述の3品種は、産地によっては総合評価でASWを上回る。麺の色合いの明るさや外観では劣っても、粘り、滑らかさで勝るケースが多い。

 地産地消への消費者の関心の高まりを背景に、地場産小麦のうどんを提供する動きが地方で活発化している。名物の「伊勢うどん」(三重)や「みそ煮込みうどん」(愛知)で、「あやひかり」などに切り替える製麺業者やうどん店が登場。埼玉県加須市の名店は、「あやひかり」とASWを半々で使い「ASWよりも麦の香りが良く、こしの強いうどんができる」と評価。大手食品企業も国産小麦のゆでうどんの販売を始めた。

 実需の要望に応えて産地は、良質の小麦を安定供給することが重要だ。大手の業者と組むには、増産と産地間の連携も欠かせない。品質の安定は、生産面では栽培管理で可能になる。ただ、それぞれの品種の長所には特徴がある。互いの長所を引き出す他品種とのブレンド利用も視野に入れたい。

 20年産小麦の昨秋の播種(はしゅ)前入札では過去10年の最高値が付いた。中でもパン用の需要の伸びが顕著で、強力系品種が高値を付けた。さまざまな国産小麦の商品に実需や消費者が注目する。農水省は、新たな食料・農業・農村基本計画で30年度の小麦の生産努力目標を108万トンとし、増産プロジェクトも立ち上げた。特に水田での生産を推進し、国産を使った商品開発にも力を入れるべきだ。

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