全農の新販売戦略 連携とスピードで活路

 JA全農の新たな販売戦略を担う営業開発部は、発足から9月で3年を迎えた。新型コロナウイルス禍で食の現場は激変した。こうした中でこそ役割発揮の時である。食料消費に占める国産比率を高めるため、他業態との連携強化を加速すべきだ。

 営業開発部は、販売先という「出口」を確保した上で実需者のニーズを産地に伝え、新たな付加価値を持つ商品開発に取り組む。戦略の先には、全農が掲げる「食のトップブランド」の構築がある。9月からは国産使用を前面に出した加工品の新ブランド「ニッポンエール」の本格展開にも踏み出した。描く姿は、ニトリやユニクロのように、原料調達から付加価値商品づくり、販売まで手掛ける製造小売業(SPA)だ。全農は農業版SPAとして存在感を高め、国産食材の商品化を通じた食料自給率の向上を目指す。

 コロナ禍は、業務用需要の激減などで農業現場にも大きな試練を強いる。こうした中で全農は今後、国産農畜産物の販売、流通で新たな対応を急ぐ。鍵を握るのは「連携」と「スピード」だ。ピンチを新たな挑戦に転換する攻めの姿勢でもある。

 まずeコマース対応だ。全農は約30万会員のJAタウンを持ち、コロナ禍で今年度第1四半期(4~6月)の取扱高は3・5倍、加入は2倍近くに増えた。だが大手のネット通販サイトは桁違いに大きい。販売チャンネルの一層の多角化が問われる。

 いま一つは、食品産業との連携の深化だ。全農総代会後の会見で山崎周二理事長は、コンビニ大手・ファミリーマートへの出資に関連し「消費最前線の膨大な情報を活用し、国産農畜産物の販売拡大を図りたい」と強調。「今後の主役はJA、農業者になる」と産地振興の重要性を指摘した。営業開発部が旗振り役となり、大玉ブロッコリーの野菜サラダなどセブン―イレブンとの商品開発も拡大中だ。

 国内のコンビニは、少子高齢化の進展で営業戦略が行き詰まる中で食品分野の拡充に活路を探っており、全農の役割も増す。販売先や食品メーカーなどとの連携を通じ商品の形にするのが、営業開発部が担う「全農グループMD部会」だ。今後、MD部会はセブン、ファミマといったコンビニ別や、コロナ禍で需要急増の冷凍・加工食品、飲料で部会を拡大する可能性が高い。成長分野のドラッグストアとの連携拡大も視野に入る。

 同部の陣頭指揮を執る戸井和久チーフオフィサー(CO)は日本農業新聞のインタビューで「まず挑戦。それが日本農業の元気につながる。大手他社の幹部と商品化の商談ができる人材も徐々に育ってきた」と述べた。新たな挑戦は実績を上げつつある。今後鍵を握るのは、販売戦略拠点の再構築だ。数年以内に全農は、仕分け、冷蔵冷凍保存、個包装、共同配送を担う拠点施設を首都圏に整備する。食材需要の輸入品からの奪還を確実に進めなければならない。

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