国産茶の家庭消費 掘り起こし加速しよう

 国産茶の販売は、新型コロナウイルスの流行で一層厳しくなった。各産地が最も力を入れる一番茶の販売が伸び悩んだためだ。一方、家庭で食事をする機会が増えたことなどを受け、個人消費、家庭消費の掘り起こしへの取り組みが始まった。コロナ後も見据え、加速させたい。

 食の多様化や外食の伸長などを背景に、家で急須で茶を入れて飲む習慣のある人が減り、国産茶の大半を占める緑茶の消費は減少が続く。総務省の家計調査(総世帯)によると、2019年の1世帯当たり飲料全体の支出額は5万1472円で、14年比で14%増えた。しかし緑茶は3244円で同13%減。茶飲料やコーヒー、ミネラルウオーターなど他の飲料が伸びる中で、緑茶の減少が目立つ。

 こうした状況から国内の茶取引は低迷が続いていた。そこに新型コロナが追い打ちを掛けた。緊急事態宣言と一番茶シーズンが重なり、新茶をアピールするイベントが軒並み中止。外出自粛に加え、3密回避のため冠婚葬祭も自粛が広がり、香典返しなどの需要も激減した。

 最も宣伝効果の大きい一番茶を直撃した影響は深刻だ。国内最大産地の静岡県では一番茶価格が1キロ1760円(JA静岡経済連調べ)で、平成以降の最安値となった。三重県では、同県茶業会議所調べで前年比19・4%安の1090円。大産地の鹿児島県でも同14・6%安の1346円(JA鹿児島県経済連調べ)と、前年を大きく下回る産地が相次いだ。各産地とも、農家の生産意欲の減退や産地縮小への危機感が強い。

 局面打開へ産地の取り組みは始まっている。インターネット通販の活用や簡便な水出し煎茶の開発などだ。個人・家庭消費を中心に需要回復を目指す。

 販売促進活動にも工夫が見られる。静岡県のJAなんすんは、管内を舞台としたアニメと連携し、アニメキャラを印刷した包装を使った茶と急須のセット販売などを推進。ファンがネットなどで購入している。

 また三重県のJA伊勢は、管内の志摩市鵜方地区でかつて生産された「鵜方紅茶」を復活。同地区以外の茶葉も使った新ブランド「伊勢志摩紅茶」も発売した。これを使った菓子も販売している。新規需要の開拓を目指す6次産業化の取り組みだ。

 緊急事態宣言は解除となったが、コロナ禍の収束は見通せず、一番茶のイベントと、贈答などを中心とした従来の販売戦略では需要を取り戻せるか不透明だ。外食需要の回復が遅れる一方でテレワークが進展、“内食回帰”が進み、家にいる時間も長くなっている。個人・家庭消費を増やす機会である。

 国産茶の需要回復には、ウイルスとの共存が必要なウィズコロナの状況下とコロナ禍収束後の食生活、生活様式の動向を見据えた販売戦略の構築が必要だ。他の業界との連携も含め、生産者、JA、茶商など関係者一体での取り組みが求められる。
 

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