西日本中心に記録的大雨 土砂崩れ、水害 相次ぐ 死者・不明90人超す

ハウスに続く陥落した道を確認するJA広島市職員(7日、広島市で=柳沼志帆写す)

 西日本を中心に7日、北陸から九州南部に停滞する前線が活発となり、激しい雨が降った。この記録的大雨の影響で、土砂崩れや水害が相次ぎ、多数の死者や行方不明者が出た。田畑やハウスが損壊するなど農業関係の被害も相次いでいる。大雨は8日も続き、範囲は北海道や東北にも広がる見込みで、気象庁は最大級の警戒を呼び掛ける。
 

田畑、ハウスも


 政府は7日、関係閣僚会議を首相官邸で開き、被災者の救命救助に全力を挙げる方針を確認した。記者会見した菅義偉官房長官は、救助が必要な事案を100件以上把握し、警察、消防、自衛隊が約4万8000人態勢で捜索救助活動していることを明らかにした。

 自治体などのまとめによると、5日以降、広島県で21人、愛媛県で17人、岡山県3人、滋賀、大阪、兵庫、山口、福岡各府県でそれぞれ1人死亡し、死者は合計46人になった。安否不明者も約50人に上っている。

 気象庁は岐阜、京都、兵庫、鳥取、岡山、広島、福岡、佐賀、長崎の9府県に特別警報を出し、土砂災害への警戒を呼び掛けた。7日午後8時現在、多くの地域の特別警報が解除されたが、岐阜、京都の2府県で続いている。

 「良い広島菜が作れたハウスだったのに。まだ支払いも残っている。これからどうすればいいのか分からない」。広島市安佐北区の橋本光弘さん(47)は、骨組みごと流されたハウスを前にぼうぜんと立ち尽くした。

 三篠川のそばに建てたハウス4棟(10アール)のうち、3棟が氾濫した濁流にのみ込まれた。原形をとどめないほど変形し、残り1棟も扉が壊れ使えないという。草刈り機なども浸水。別の場所にある30アールのハウスでは、小松菜や水菜が浸水被害に遭った。

 JAグループ広島は6日、広島県JA災害対策本部を設置し、被害状況の確認を急ぐ。JA広島市も同日、災害対策本部を設置。9日にも職員からボランティアを募って復旧作業を支援する。資金面でも行政と協議しつつ対応を考える方針だ。

 7日午前7時までの48時間雨量が536・5ミリと、福岡県内で最も多かった添田町。氾濫危険水域を超えた彦山川では、農業用の水を引き入れる堰(せき)が土砂に埋め尽くされた。

 町によると、この堰を利用する水田は約14ヘクタール。同町では田植えが終わったばかりだが、復旧するまで水が必要になっても流せない。「他にも水路の被害が複数出ているようだ」(地域産業推進課)と、焦りを募らせる。

 地元のJAたがわも組合員の被害調査に奔走した。JA添田支所によると、土砂崩れで家屋に被害が出ている組合員が複数いるという。農産物の被害については「営農担当者が調査に周っているが、豪雨の範囲が広くまだ情報は集まっていない」と話す。
 

きょうも警戒を 農業用水路見回り厳禁 


 気象庁は7日、記録的な大雨が続く西日本と東日本では、停滞する活発な梅雨前線の影響で8日まで断続的、局地的に豪雨に見舞われるとの予測を発表した。同庁は「一時的に雨がやんでも、急傾斜地や増水している農業用水には決して近寄らないように」と警告する。

 7日午前、強い太平洋高気圧の勢力によって、梅雨前線は西日本から東日本に停滞。南からは太平洋高気圧の縁に沿って暖かく湿った空気の流れ込みが続き、前線の活動を活発化させている。8日も豪雨は断続的に続く見込み。9日からは、梅雨前線が北上しながら活発ではなくなり、雨が弱まる見通しだ。

 8日午後6時までの24時間降水量予測は、多い所で東海200ミリ、北陸、四国、九州南部150ミリ、近畿120ミリ、北海道、九州北部が100ミリ。

 地盤の緩んでいる場所での土砂災害や、低い土地への浸水に最大限の警戒が必要だ。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは