安倍首相本紙単独インタビュー 農政改革に現場の声 農協総合事業を評価 所得向上取り組み重視

日本農業新聞の単独インタビューに応じる安倍首相(19日、首相官邸で)

 安倍晋三首相は19日、首相官邸で日本農業新聞の単独インタビューに応じた。首相はJAについて「過疎化、高齢化などが進む農村社会において地域のインフラとしての機能を果たしている」と述べ、JAの総合事業に一定の理解を示した。農協改革は「自己改革が基本」とし、農業者の所得向上に向けたJAグループの自主的な取り組みに期待を示した。近く始まる米国との閣僚級の新貿易協議(FFR)に関して、環太平洋連携協定(TPP)を超える譲歩はしない考えを強調した。

 首相は、JAグループの自己改革について「組織を挙げて精力的に取り組まれていることは十分に認識している」と評価した。その上で「(改革の)時期を失えば農業は激しい勢いで衰退していく。大変だと思うが、この改革を乗り切れば農業には新たな未来、地平線が開けていく」と強調。「農業を良くしていこうという情熱による自主的な改革が進んでいくことを期待したいし、皆さんと一体的に農業をより良くしていきたい」と語った。

 今後、改革の焦点となるJAの准組合員の事業利用規制の在り方については「しかるべき時機が来たら法律の条文に則して適切に対応、判断する」と述べるにとどめた。「大事なのは農協組織が農業者の所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織になるという改革の趣旨に沿って地に足の着いたしっかりとした自己改革を進めていくことだ」とした。

 2016年4月施行の改正農協法では、准組合員の事業利用規制の在り方について、法施行から5年間、正・准組合員の事業の利用状況や農家の所得増に向けた改革の実施状況を調査し「検討を加えて、結論を得る」としていた。

 通商政策に関して安倍首相は、TPPの枠組みを軸に自由貿易を主導していく日本の立場を説く一方、FFRを含めて、TPPの合意内容を超える対米譲歩はしない方針を強調。発効が近づく米国を除く11カ国によるTPPの新協定(TPP11)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を念頭に、「不安を持つ人たちの声にしっかりと応えていく責任が私たちにはある」と語った。

 一方、安倍内閣による農政改革の進め方を巡っては、経済界や規制緩和論者が幅を利かせる政府の規制改革推進会議が主導し、多様な生産現場の意見が反映されていないとの指摘が出ている。

 これに関し、安倍首相は「現場からの声に真摯(しんし)に耳を傾けることが必要であることは言うまでもない。それは政策を議論する規制改革会議も同じだ」と述べ、会議の委員に農業分野に精通した専門家を加えた理由を明らかにした。

 高齢化や人口減少による国内市場の縮小などを理由に「(農業を)魅力ある成長産業にしていくことが必要不可欠で待ったなしだ」と改革に理解を求めた。安倍政権の農業政策が産業政策に偏っているとの指摘には、地域や国土の保全、水源涵養など「さまざまな機能を評価するべきだというのが私の基本的な考え方だ」と述べ、地域政策と両輪で進めるとした。
1 2 3

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは