豊洲市場の開場 青果卸の活気取り戻せ

 東京都中央卸売市場豊洲市場が11日に開場する。83年の歴史に幕を閉じた築地市場の伝統と「築地ブランド」の継承に加え、一極集中化した大田市場と競い合い、両極となって市場に活気を取り戻すべきだ。

 「日本の台所」と呼ばれた築地市場は、水産物の取扱量では全国の中央卸売市場の2割を占めた。水産物の取引に寄り添う形で、青果物ではつまものや全国各地の特色のある野菜を集め、一体的に築地ブランドを築き上げた。銀座や赤坂など高級飲食店が集まる繁華街に近く、料理人は旬の食材を築地で買い求めた。世界に向けても日本の食文化の発信拠点だった。

 この役割は、築地から2キロ離れた豊洲に移っても変わらないだろう。6日の築地最後のせりでは、2キロ入りの静岡産ワサビが8万円超の高値を付け、場内は拍手で沸いたという。「特にワサビは他市場に絶対負けない量と品質がある」(仲卸業者)という築地の自負の表れだ。水産、青果の卸、仲卸は共に豊洲に移った。この伝統は継承されなければならない。

 ただ、それだけでは尻すぼみになる。青果物流通の主軸は、今では大手スーパーだ。施設が老朽化し、荷降ろし場が狭かった築地市場の取扱量は年々減っていた。一方、1989年に神田市場から移転した大田市場は広大な敷地を生かし、スーパーや外食チェーンなど大口の取引を獲得。都中央卸売市場の取扱量に占める割合を5割近くまで伸ばした。

 広い敷地を確保し、最新の施設を備える豊洲市場には、大口取引を拡大し、大田市場と共に、取扱量が減っている国内の市場をけん引する役目を果たしてもらいたい。

 市場経由で取引される青果物の割合は年々下がり、今では6割だ。急増する加工・業務用野菜の多くが市場外で取引され、海外からの輸入品は需給を乱して相場の長期低迷を引き起こすことが増えた。市場が求められる需給調整機能と「公正な価格形成」の役割を果たすには、市場の活力がこれ以上、低下することは避けるべきだ。

 豊洲市場は全国でも珍しいコールドチェーン対応の閉鎖型施設を備え、鮮度保持効果が高い。スーパー向けの加工パッケージ施設や、低温荷分け施設もある。スーパー側の労力不足で産地に押し付けられることが増えたパック詰め作業を市場が担えば、産地、スーパーともに利用価値が高まるだろう。

 産地は豊洲市場に高い関心を寄せている。日本農業新聞の調べでは、全国のJA全農県本部や経済連など7割が「販路拡大」につながると期待している。「鮮度維持」「物流の効率化」への期待もそれぞれ5割を超えた。出荷量を「築地以上に増やす」と答えた組織も多い。

 築地に代わる「豊洲ブランド」の確立へ、豊洲のスケールや機能を生かした市場の活性化は待ったなしである。

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