農業遺産の棚田を守りたい 銘柄米で酒造り 石川県羽咋市の住民出資会社

今夏誕生に向けて支援を募る「能登神子原米」を100%使った純米大吟醸「神子」(石川県羽咋市で)

 世界農業遺産の能登の棚田と暮らしを守りたい──。そんな地域住民や支援者らの思いを乗せた日本酒が今夏、石川県羽咋市で誕生する。企画したのは、同市神子原(みこはら)地区の住民出資で設立された(株)神子の里。インターネットを通じプロジェクトの資金を募るクラウドファンディングを活用し、酒造りへの挑戦を後押しする支援の輪が広まっている。

 同社は、年間6万人が訪れる農産物直売所の運営や、同地区特産の「神子原くわい」の生産などを手掛けている。日本酒は同地区産の米「コシヒカリ」の独自ブランド「能登神子原米」を100%使った純米大吟醸で、「神子」と名付けた。同市の御祖(みおや)酒造が、米作りと同じ里山の清流を使って醸造し、7月の販売開始を目指している。

 同地区では、12戸の生産者が約10ヘクタールの棚田で「能登神子原米」を栽培する。農薬の使用量を抑え、食味値の高いものだけを同米として販売。ブランド米として根強い人気を誇るが、高齢化で年々生産者が減少。現在の生産者も平均年齢70代となり、若手の確保が課題となっている。

 収益性を高め、若手を呼び込む起爆剤として目を付けたのが、同米を使った日本酒造りだ。「能登神子原米」の品質の高さやイメージを生かせる商品として、純米大吟醸を選んだ。

 2月からクラウドファンディングで支援を募り、2週間ほどで第一目標の200万円を達成。地元住民に加え、県内外の支援者も多いという。現在、第二目標の400万円に向け、29日まで支援を募っている。集まった資金は、醸造や宣伝費用などに使う。

 日本酒は、2018年産米1・2トンを使い、4合瓶1300本、2合瓶1100本分を醸造する計画だ。クラウドファンディングの支援者には、返礼品として贈る。

 神子の里の武藤一樹代表は「米を作り続けることが、この地域の暮らしや景観を守ることにつながる。『神子』を神子原の米作り、暮らし、文化を次の世代につないでいくための象徴にしたい」と、酒造りに夢を託す。

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