ポスト安倍戦線 菅官房長官が急上昇 作家 大下英治

大下英治 氏

 ポスト安倍戦線に異変が起きている。

 昨年10月13、14の両日に産経新聞社とFNNが合同世論調査で、次の首相に誰がふさわしいかを尋ねた。自民党の小泉進次郎厚生労働部会長が30・3%で首位、石破茂元幹事長が27・6%と続いた。岸田文雄政調会長が7・3%で3位、菅義偉官房長官は2・7%で5位にすぎなかった。ところが、菅氏がここにきて急浮上している。


 菅氏は、今年4月1日に新元号「令和」を発表して以降、街を歩いていても、老人から女性、子どもたちからさえ「あッ、『令和オジサン』だ」と、声を掛けられるような人気者になった。
 

令和で人気上昇


 菅氏は、それまでいわゆる「永田町」ではその力量は認められていたが、小泉氏や、石破氏のように国民的にはあまり知られていなかった。が新元号「令和」の発表以来、私のところにも、なんとこれまでにない女性週刊誌2誌がコメントを求めてきた。

 「『平成』の元号を掲げた小渕恵三官房長官はのちに総理大臣になりましたが、果たして菅官房長官も、将来総理になる可能性はあるのでしょうか」

 私は「十分にあり得ます」と答えた。

 産経新聞社とFNNが、「令和」発表直後に実施した合同世論調査では、菅氏は、5・8%の支持を集め、3位の岸田氏に次ぐ4位に急浮上した。

 今回の参議院選挙でも、小泉氏に次ぐ人気で応援演説を頼まれ、日本全国を駆け回った。

 そこに向けて、口の重い二階俊博幹事長が月刊『文藝春秋』(2019年5月号)で、ポスト安倍の有力候補として菅氏の名前を挙げて、次のように語った。

 「菅さんは、この難しい時代に官房長官として立派にやっておられますね。それは素直に評価に値すると思っています。また、彼はそういうこと(ポスト安倍の総裁候補)にも十分耐えうる人材だと思っています」
 

「軍団」議員40人


 私は、この7月『ふたりの怪物・二階俊博と菅義偉』という本を上梓したが、慎重な上にも慎重な菅は、「私は支えることに喜びを感じるタイプで、総理は……」と語り続けた。衣の下の鎧(よろい)はあくまで隠し続けているが、私は意欲満々とみている。実は菅氏には、菅軍団とも言うべき菅シンパの国会議員が40人もいるからだ。

 私は、官房長官歴代1位の在任期間を誇る「叩(たた)き上げ」の菅氏と、田中角栄氏の政治的DNAを受け継ぐ「辣腕(らつわん)」幹事長の二階氏がタッグを組めば、人口減少社会ニッポンに国民の生活実感に根差した最強政権が生まれるとみる。

 一方、二階派は、かっての田中軍団のように一糸乱れぬ44人の軍団を持っている。

 安倍総理を官邸で忠実に支える菅氏と、党でしっかりと支え続ける二階氏が組んだ政権なら、安倍氏にとっても院政的な政権となる。

 それに対して、かって本命視されていた岸田氏はどう戦うのか。果たして、ポスト安倍は、どのような波乱が待っているのか……。

 おおした・えいじ 1944年、広島県生まれ。広島大学文学部卒業。週刊文春の記者を経て作家として独立。政財官界から芸能、犯罪などまで幅広い創作活動を続けている。著書に『最後の怪物渡邉恒雄』『ふたりの怪物・二階俊博と菅義偉』など。 
 

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