安めぐみさん(タレント・女優) わが家の味を親から子に

安めぐみさん

 亡くなった母から「お米は一粒も残してはいけない。作ってくれた方に失礼だから」と結構言われて育ったので、今でも最後の一粒までちゃんといただくようにしています。子どもの頃に言われたことって、ずっと頭に残るんですね。

 うちの場合、父が適当な人だったんですよ。それで2歳上の母がしっかりしていたんでしょう。父は明るくおしゃべり好きな上、せっかち。食べ物を口の中に入れたままで、ついしゃべってしまうんですよ。母がよく注意していました。マナーについては、母の教えを守って今に至っています。
 

母の料理は特別


 母は決して料理上手というわけではありませんが、いろいろと作ってくれました。中でも一番好きなのが、手まりずし。私、サーモンがあまり好きではないんですが、母が作る手まりずしでなら、おいしく食べられました。酢飯にスモークサーモンと小さく切ったレモンとパセリを載せて。

 たまに学校の遠足なんかで、友だちとおにぎりの交換をやるじゃないですか。他の家のを食べて初めて、母のおにぎりや手まりずしっておいしんだなと感じました。そんな記憶があります。母親が愛情込めて握ってくれたものは特別なのかもしれませんね。

 父は茨城、母は大分の出身で、実家は共に農家です。私はそれぞれの実家に行っては、収穫を手伝い、キュウリやトマトをその場でかじった経験があります。

 自然の中で遊ぶのが大好きだったので、カエルや虫に触るのなんか全然平気でした。でも今、4歳の娘が園服のポッケにダンゴムシを入れて幼稚園から帰って来ると、「ええーっ」と驚いてしまう。そんな自分を悲しく感じます。
 

愛情込め一工夫


 娘はちょっと好き嫌いがあって、それで少し悩んでいます。他の子が喜んで食べるメニュー、カレーとかハンバーグとか焼き肉は好きではないんです。肉より魚、シチューよりみそ汁、チョコレートよりお煎餅や煮干し……。

 それはそれでいいんですけど、背がちょっと小さいんです。主人(お笑いタレントの東貴博さん)はもっと肉を食べさせた方がいいんじゃないか、と。それで肉類を食べるように工夫して料理しています。ハンバーグの半分は豆腐にしてフワフワにしてみたり、鶏団子を片栗粉も使って軟らかく練ってスープに入れてみたり。

 主人も忙しいにもかかわらず、娘のために料理をしてくれます。「最初の離乳食は、俺が作るかゆだ」と言って、十倍がゆを丁寧にこして作りました。夜中遅くに帰ってくることが多いんですが、いろいろ作ってはストックとして冷凍しておいてくれます。

 私は21歳の時から一人暮らしを始めました。しばらくすると母が、料理のレシピをファクスで送ってくれたんです。その紙は今でもとってあります。もう見なくても全部作れるんですけど。その時の料理を娘に作ってあげています。あんかけで和風の感じにしたハンバーグとか。

 主人も子どもの頃、お父さん(コメディアンの東八郎さん)に料理を作ってもらったそうです。パパシチューとかパパ弁とかと言って。パパシチューはトマトベースでスパイシーな味なんです。主人はそれを娘に食べさせるために、味付けをちょっと変えて作ってくれています。

 自分たちが親に作ってもらった料理を、自分たちの子どもに作ってあげる毎日です。健やかに育ってほしいと願っています。(聞き手=菊地武顕)

 やす・めぐみ 1981年、東京都生まれ。ドラマ、バラエティーの他、ナレーターとしても活躍する。アロマセラピーアドバイザー、温泉ソムリエの資格を持つ。現在、「BSコンシェルジュ」(NHK)MC、「霧島リラックスタイム 焼酎ダイニング J―Fairy YASU」(TOKYO FM)パーソナリティー。

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