熊本農高ブランド豚誕生 “夢のような”飼料開発 

高校生が開発したブランド豚「シンデレラネオポーク」。未利用資源を活用して食品廃棄物を減らしつつ、飼料費を大幅に抑えた(熊本市で)

餌代市販の1割 うま味成分向上


 熊本農業高校(熊本市)は、地元企業の食品廃棄物を活用した飼料で育てるブランド豚「シンデレラネオポーク」を開発した。飼料コストは市販の1割に収まり、収益性が高まり、肉質の向上も見込める。複数の農家が生徒らが考案した飼育手法を取り入れ、廃棄物処理の負担軽減につながると食品関係企業も歓迎する。同校は飼育のノウハウを広める考えだ。
 

地元企業の残さ使用


 同校畜産科の生徒9人が中心となり、2018年度から研究を進めた。生産コストの過半を占める飼料費を抑えつつ、社会問題となっている食品廃棄物を減らそうと考えた。同校は既に食品残さの飼料であるエコフィードを与えた豚「シンデレラポーク」をブランド化していたが、飼料に未利用資源を増やすなどして「ネオ」を冠した新銘柄に位置付けた。

 農高生は地元業者の食品製造過程で生じる大豆かすや米粉、パンくずなど計6種類を使い、食品廃棄物100%のエコフィードを作った。農高生が作ったエコフィードには子豚期の「エクセレント前期」と肥育期の「エクセレント後期」2種類がある。前期と後期で、それぞれ16種類ずつ試作し、最終的に栄養バランスや貯蔵性、豚の嗜好性に優れる水分量40%のものを選定した。2週間以上貯蔵し、発酵させるとアミノ酸含量が増えることも確かめた。

 子豚10頭を使って給与試験を実施した。開発したエコフィードを与えた5頭と市販の飼料を与えた5頭で、出荷までの150日間を比べた結果、発育成績は同等だった。1頭当たりの飼料費は、エコフィードの場合2254円に収まり、市販飼料の2万2673円と比べて2万円以上安かった。

 県産業技術センターで肉質も調査した。エコフィードを与えた豚は、市販飼料を与えた場合と比べ、健康に良いとされるリノレン酸が4倍前後、リノール酸が2倍前後になった。遊離アミノ酸量は、うま味成分のグルタミン酸など全項目で上回った。血中のビタミンEが2・4倍になることも分かった。「ドリップロスを抑えられる可能性がある」(九州沖縄農業研究センター)という。

 飼料原料の供給元となる業者の利点も大きい。協力企業6社の廃棄物は40%減り、廃棄処理のコストは約200万円減ったという。米粉を提供した酒造業者・瑞鷹の山下克己管理マネージャーは「食品廃棄物を使ってもらい、助かっている。経済合理性があり、時代に合った取り組みだ」と太鼓判を押す。

 農高生の取り組みはプロ農家も注目する。同県菊池市で養豚を営む実取孝祐さん(44)は「飼料費を抑えつつ、品質にこだわる点が素晴らしい」と評価。コスト削減の効果が注目され、既に農家9戸が食品廃棄物を使った飼料を取り入れたという。研究に携わった畜産科2年生の城瑠亜さん(16)は「自分たちが作った新しい飼料を多くの農家に広めたい」と、さらに先を見据える。「シンデレラネオポーク」は商標登録とエコフィード認証を申請中だ。
 

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