軽トラ事故 基本ルールで命守ろう

 軽トラックの事故は、普通車より死傷率が高いことが分かった。農家にとって軽トラは「農作業の友」のような大事な存在。だが、ちょっとの油断が危険を招く。乗車時の基本ルールを徹底し、事故を防ごう。

 調査は山形県警によるもの。5年間(2014~18年)の交通事故調査を独自に分析した。軽貨物車と普通乗用車の死傷者数に着目し、比較。主に軽トラックなど軽貨物車の事故での死傷者は2567人で、うち死亡や重傷は245人(9・5%)と全体の1割を占める。一方、普通乗用車の事故での死傷者は1万4739人、うち死亡や重傷は514人で同3・5%だった。

 全死傷者数は普通乗用車の方が多いが、死亡や重傷といった重大事故の割合は軽貨物車が普通乗用車の3倍近くある。

 軽トラックの事故が重大化しやすい要因として、①ボンネットがない車体の構造②シートベルトを装着しないなど基本ルールの不徹底③高齢者特有の前かがみの姿勢──が挙げられる。

 車体が前に突き出すボンネットがない構造は、事故時に衝撃が吸収されないまま乗っている人に伝わってしまう。シートベルトの装着や一時停止を怠ったことで事故が発生した場合もある。“いつも他の車が通らない”道でも、油断してはならない。必ずシートベルトをし、一時停止をしてほしい。

 軽トラックの重大事故は基本ルールの不徹底で起こる──。これは、農機事故発生の構図と全く同じだ。

 日本農業新聞くらし面では調査結果と併せて、山梨大学(機械工学系)の伊藤安海教授の指摘も紹介した。高齢者による車の運転を研究する伊藤教授は「軽トラックでは時速20キロという低速でも、死亡例がある。特に高齢者の死亡リスクが高い」という。原因は、背中が曲がった前のめりの姿勢での運転にある。「前のめりの姿勢では、シートベルトの効果が発揮されない」という伊藤教授の指摘を頭に置きたい。できる限り、意識して体を起こして運転しよう。

 くらし面の記事を読んだ70代読者は「自宅から作業場までは車で5分。今までは短い距離だからシートベルトをしていなかったが、記事を読んでからはするようになった」と打ち明ける。

 「基本ルールの徹底」ということはたやすい。だが、それが行われていないのが現状だ。JAや生産部会などの会議・研修時に、繰り返して徹底を呼び掛ける必要がある。その際は、どんな場合に事故が起こっているのかという事例と共に対策を示すことが不可欠だ。

 同時に、自動車メーカーには事故時の衝撃が少ない車体の開発を求める。伊藤教授は「高齢者の体を考慮した座席の設計が必要だ」と提言する。国には、開発助成などの措置を求めたい。農業の大事な担い手が失われないために。
 

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