[北海道・JA北ひびき移動編集局] 施設利用者が加工、ジュース特産化 剣淵町の生産組合 農福連携で絆30年
2019年10月22日

トマトジュースの加工に励む障害者支援施設の利用者

地域の特産に育った「夢みるトマト」を持つ下田組合長(北海道剣淵町で)
北海道剣淵町の生産者でつくる剣淵町トマトジュース生産組合は、地元の福祉施設にジュース作りを委託し農福連携を進めている。約30年前から続き、加工の拠点として定着。商品の「夢みるトマト」は道の駅などで販売され、地域の特産になった。連携で生産者は栽培に専念でき、福祉施設の利用者は働く場を得られる他、地域活性化にも一役買っている。
組合のメンバーは5人。米や小麦などを栽培する傍ら、組合で年間約5トンのトマトを生産する。品種はジュースに向く「RS13」と「なつのしゅん」。有機質肥料を入れた畑で、農薬の使用を抑えて栽培する。
「取り組みが始まったのは“農福連携”という言葉が広まる前から。ジュースへの加工に人手を確保するためだった」
下田秀樹組合長はそう振り返る。組合は自家消費向けのトマトジュースを商品化しようと、生産者が1987年に立ち上げた。当初は生産者が町内の施設で加工していたが、規模拡大などで人手が不足。その時、利用者の安定した仕事の確保を求めていた障害者支援施設「剣渕北の杜(もり)舎」とニーズが合致し、連携が始まった。
トマトジュース「夢みるトマト」は、1リットル、500ミリリットル、180ミリリットルの3種類を毎年1万本製造する。価格は500ミリリットルで410円。町内の道の駅や店舗の他、一部は道外でも販売している。
トマトの収穫時期(7~9月ごろ)になると、生産者はトマトをコンテナに詰めて出荷。施設がジュースに加工して納入する。施設内には加工場があり、大きな鍋で煮詰めたトマトを、白衣を着た10人ほどの施設利用者がかき混ぜ、瓶詰めなどの作業をする。
組合が作業の加工代金を支払い、その収入が施設利用者の自立につながっている。施設はトマトの他、組合のメンバーが作ったシソやニンジンなどのジュースへの加工も手掛けている。組合以外の農家らから受託する分も合わせると、トマトなどのジュース加工は、施設の農産加工の売り上げの3分の1を占める柱となっている。
剣渕北の杜舎支援課の清水俊之課長補佐は「剣淵町の発展に向けて基幹産業である農業に重きを置いてきた。地元の農家とタッグを組んで進めている」と話す。
障害者らに農作業などを担ってもらう「農福連携」は、年々注目度が高まっている。その先駆けとして長く連携できたのは、障害者らに地域の祭りに参加してもらうなど、地域住民との交流や、受け入れる環境づくりが大きいという。
下田組合長は「消費者には、トマトなどが出回らない冬の時期にもジュースで楽しんでほしい。後継者の育成にも力を入れながら、施設との連携を継続したい」と話す。
交流 地域ぐるみ
組合のメンバーは5人。米や小麦などを栽培する傍ら、組合で年間約5トンのトマトを生産する。品種はジュースに向く「RS13」と「なつのしゅん」。有機質肥料を入れた畑で、農薬の使用を抑えて栽培する。
「取り組みが始まったのは“農福連携”という言葉が広まる前から。ジュースへの加工に人手を確保するためだった」
下田秀樹組合長はそう振り返る。組合は自家消費向けのトマトジュースを商品化しようと、生産者が1987年に立ち上げた。当初は生産者が町内の施設で加工していたが、規模拡大などで人手が不足。その時、利用者の安定した仕事の確保を求めていた障害者支援施設「剣渕北の杜(もり)舎」とニーズが合致し、連携が始まった。
トマトジュース「夢みるトマト」は、1リットル、500ミリリットル、180ミリリットルの3種類を毎年1万本製造する。価格は500ミリリットルで410円。町内の道の駅や店舗の他、一部は道外でも販売している。
トマトの収穫時期(7~9月ごろ)になると、生産者はトマトをコンテナに詰めて出荷。施設がジュースに加工して納入する。施設内には加工場があり、大きな鍋で煮詰めたトマトを、白衣を着た10人ほどの施設利用者がかき混ぜ、瓶詰めなどの作業をする。
組合が作業の加工代金を支払い、その収入が施設利用者の自立につながっている。施設はトマトの他、組合のメンバーが作ったシソやニンジンなどのジュースへの加工も手掛けている。組合以外の農家らから受託する分も合わせると、トマトなどのジュース加工は、施設の農産加工の売り上げの3分の1を占める柱となっている。
剣渕北の杜舎支援課の清水俊之課長補佐は「剣淵町の発展に向けて基幹産業である農業に重きを置いてきた。地元の農家とタッグを組んで進めている」と話す。
障害者らに農作業などを担ってもらう「農福連携」は、年々注目度が高まっている。その先駆けとして長く連携できたのは、障害者らに地域の祭りに参加してもらうなど、地域住民との交流や、受け入れる環境づくりが大きいという。
下田組合長は「消費者には、トマトなどが出回らない冬の時期にもジュースで楽しんでほしい。後継者の育成にも力を入れながら、施設との連携を継続したい」と話す。
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手造り赤ワイン塩 山梨県甲州市
山梨県甲州市が運営する「甲州市勝沼ぶどうの丘」が、市内で醸造された赤ワインを使って作った塩。施設内の売店で販売し「和食料理に合う」などと好評だ。
施設内の和食店の総料理長が赤ワインを鍋で煮詰め、塩と混ぜて造った手作り。料理に添えて提供したところ好評だったことから、商品化した。
商品は、赤紫色でほのかにワインの香りがする。天ぷらや白身魚・ステーキ料理に合う。同施設内でワイン塩と共に提供している昆布を使った「昆布塩」とセットで販売。各100グラム入りで、1セット700円。送料別途。
問い合わせは甲州市勝沼ぶどうの丘、(電)0553(44)2111。
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2019年12月11日
五輪Vブーケ採用 国産花き回復に生かせ
2020年東京五輪・パラリンピックでメダリストに贈呈する副賞に、国産花きを使用した花束「ビクトリーブーケ」の採用が正式に決まった。花きの消費量と国産のシェアを反転拡大させる契機にするべきだ。
五輪と花の関係は深い。12年のロンドン大会では大会専用のバラが育種されるなど、その国や開催地の花き文化を象徴する花を扱ってきた。日本では1998年冬季の長野大会で県産アルストロメリアなど多様な花を使い、大きな話題となった。
しかし16年のリオ大会以降、ブーケは姿を消している。同大会のテーマ「持続可能性」を受け、花きの日持ち性や検疫の面から国によっては選手が自国に持ち帰れないことが課題に挙がり除外された。18年冬季の平昌大会も同様の対応となった。
日本の花き業界はブーケ復活へ結束した。17年に生産や流通、販売に携わる団体などが日本花き振興協議会を設立。自民党フラワー産業議員連盟を通じ、政府や大会関係者への申し入れなどを行った。産地側も早い段階から対応に動いた。大会期間が夏場のため、高温下でも耐えることのできる花の栽培実験を各地で重ねた。ビクトリーブーケは業界の悲願だった。
花材は東日本大震災で被災した東北産を中心に使う。「復興五輪」を掲げた大会で、被災地復興の後押しに期待がかかる。ブーケのデザインはオリンピック用、パラリンピック用の2種類。福島産のトルコギキョウと岩手産のリンドウを共通の花材として採用する他、宮城産のヒマワリとバラを使い分け、計約5000束を用意する計画だ。
大会組織委員会はプレスセンターや競技会場などの装飾で、被災地以外の花の活用も検討している。盛り上がりを全国の産地に広げる視点が欠かせない。
国産切り花は高齢化など生産基盤に課題を抱える。18年の出荷量は35億3400万本と過去20年間で最低だった。一方、外国産は安さや安定供給で攻勢を強め、同年の輸入量は13億本強と、最多だった12年に次ぐ水準だ。国産のシェア低下が続く。
五輪は国産花きの魅力をアピールする絶好の機会になる。日本は、花きの高い育種・栽培技術を持つ。今回ブーケに採用されたヒマワリやトルコギキョウには、花粉が落ちないよう改良された日本独自の品種を使う予定だ。生け花などで育んだ装飾技術も発揮される。日本花き振興協議会の磯村信夫会長は「世界に誇る高い品質の花きを届けたい」と強調する。
夏場の花の品質維持は容易でない。産地から定温で輸送し、選手に渡すまで会場では保冷剤を添えて保管する。期間中の交通規制で物流の混乱も予想されるなど課題は多い。業界一丸で態勢を整えるべきだ。
機運の高まりを一過性にとどめてはいけない。課題への対応で連携をより強固にし、大会後の花き振興につなげ、停滞する生産や消費を盛り上げたい。
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2019年12月14日

農業に遊び心注入 どやっ! JA鳥取西部青壮年部
JA鳥取西部青壮年部中山支部は、果樹の防除などに使うスピードスプレヤー(SS)を、3週間かけてカラフルなアート作品に仕上げた。部員らが協力してデザインから色付けまでを手掛けた作品は、鳥取県大山町のJA中山支所に展示されている。
SSの所有者でデザインなどを担当した同支部の鹿島竜太郎さん(35)は「小さい頃から見てきたなじみの機械。農業に遊び心を加えることでもっと楽しめるのではないかと思った。展示後もこのSSで作業したい」と話した。
同支部の林原正之部会長は「何か新しいことにチャレンジしたいと思った。農業の持つ自由さや多様性、魅力などを感じてほしい」と話した。作品はJA青年組織手づくり看板コンクールのアート部門にも出品。1月ごろまで展示する予定だ。
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2019年12月14日
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年。紀行文『おくのほそ道』で珠玉の句を残す▼東京の出光美術館で開かれた特別展「奥の細道330年 芭蕉」を見て驚いた。最晩年に旅の情景を描いた「旅路の画巻」の公開は実に四半世紀ぶり。細く連なるリズミカルな文字は繊細な感性を裏付ける。当初の俳号・桃青(とうせい)の名もある。句に添えた絵は「蕉門十哲(しょうもんじってつ)」の一人、森川許六(きょりく)による。近江・彦根藩士で絵師、俳人、やり使いの名人でもあった▼『ほそ道』を軸に、数百年前後して日本の文学史に残る詩歌が残った。芭蕉は漂泊の歌人・西行500回忌に、歌枕の追体験に旅立つ。明治には短歌革新の正岡子規も同じ行路をたどり多くの名句を詠む▼謎多き人である。門下には武士も多い。旅に同行した弟子の河合曾良(そら)は幕府の巡見、情報収集役。大勢力を持つ伊達・仙台藩の動向を探る役割も担う。公称60万石だが実際は200万石近く。藩領内に入ると緊張が走る。〈夏草や兵 (つわもの) どもが〉など名句を残すが、身の危険を感じていたのか実際の滞在はわずか。『影の日本史にせまる』(嵐山光三郎、磯田道史著)に学ぶ▼600里の長旅から〈不易流行〉の境地に。絶え間ない変化は、“未知の細道”みちのくの情感がもたらしたのか。
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2019年12月11日

基盤強化プログラム 生産拡大へ数値目標
政府は10日、安倍晋三首相をトップとする農林水産業・地域の活力創造本部の会合を開き、輸出向けの産地形成や担い手不足などに対応する「農業生産基盤強化プログラム」を決定した。輸出拡大をにらんだ和牛生産の倍増や水田農業の高収益作物産地500カ所創設などの新たな数値目標を設定。2019年度補正予算や20年度予算に達成に向けた経費を計上するが、万全の財源が確保できるかが問われる。
和牛倍増 加工野菜の需要奪還
安倍首相は会合で「安心で安全な日本の農林水産物が世界に羽ばたくチャンスは今後ますます広がっていく」と強調。輸出拡大や先端技術を活用したスマート農業の推進には「しっかりとした生産基盤が欠かせない」との認識を示した。
江藤拓農相は、同日の閣議後会見で「最重要課題の生産基盤強化を目的に取りまとめた」と説明。現在検討している補正予算を含め「切れ目のない対策を講じていく」との考えを示した。
プログラムは11本の柱で構成。日米貿易協定による牛肉輸出枠の拡大などを念頭に「さらなる輸出拡大」を真っ先に掲げた。来年4月に農水省に輸出の司令塔組織を設置し、輸出拡大に向けた新戦略を定める。
和牛生産は、米国や中国への輸出拡大を見込み18年の14万9000トンから35年に30万トンまで増やす目標を設定。具体策として繁殖雌牛の増頭奨励金や和牛受精卵の利用促進などを打ち出した。
水田農業対策では、輸入品が多い加工・業務用野菜の国産化や輸出向けの果樹栽培を念頭に、主食用米から高収益作物への転換を促し、25年度までに500産地の創出を目指す。高収益作物を導入する産地に水田の基盤整備や機械・施設の導入、販路開拓などを一体的に支援する方針だ。
「中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図る」とも明記。24年度までに地域資源を活用して中山間地域の所得向上などに取り組む250地区を創出することも盛り込んだ。
他に、加工・業務用野菜の出荷量(直接取引分、18年度は98万トン)を30年度までに145万トンに拡大することや、25年までに担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することなども目標に据えた。
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2019年12月11日
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2019年12月14日
全厚連 県段階支援で仕組み 経営早期改善へ
JA全厚連は、収支悪化が懸念される都道県郡厚生連の経営を早期に改善する仕組みを新たにつくり、支援強化に乗り出す。人口減などで経営悪化の厚生連が増える中、支援対象の基準を広げる。全厚連経営管理委員会会長が、収支が悪化する厚生連の会長に提言する仕組みを新設し、早期に警鐘を鳴らす。地域医療を提供し続けられる体制を整える。2020年度から実施する予定だ。……
2019年12月13日

農業、仲間…動画に魅力凝縮 JA栃木青年部連盟が作成
JA栃木青年部連盟は、農業や青年部の魅力をおよそ1分間にまとめたPR動画を作成した。動画で自然や家族、部員への感謝や尊敬の気持ちを表すとともに、JA栃木青年部連盟の知名度を上げることが狙いだ。
動画は動画投稿サイト「ユーチューブ」のJA栃木青年部連盟公式チャンネル、インターネット交流サイト(SNS)の公式フェイスブックで公開している他、JAグループ栃木のホームページでも公開する予定だ。
「プロフェッショナル~俺たちJA栃木青年部連盟~」のタイトルで、JA栃木青年部連盟の役員14人が全員出演。一人一人が手作りのスケッチブックを使って農業の魅力や青年部活動への思いを伝えている。
撮影に当たっては、収穫期の農地や自慢の農機具をバックに、家族や家畜と共に出演するなど、工夫を凝らした。
自身も出演した船山和洋委員長は「動画を作る中で、連盟役員の新たな一面を見ることができた。われわれの思いが詰まった見応えのある動画になっているので、ぜひたくさんの人に見てもらいたい」と太鼓判を押す。
JA全国青年協議会では、その視覚的効果から動画を用いたPRを推進しており、同連盟も継続して作成し、県内の各JA青(壮)年部段階でも作っていく考えだ。
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2019年12月13日

「ごはん・お米とわたし」内閣総理大臣賞 作文・長町さん(香川) 図画・清和さん(静岡)
JA全中は9日、第44回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの審査結果を発表した。最優秀賞の内閣総理大臣賞には、作文部門で香川県の長町そよかさん(高松市立栗林小6年)の「広がれ! お米の可能性」、図画部門で静岡県の清和羽音さん(長泉町立北中3年)の「おむすびは勉強のおとも」を選んだ。
文部科学・農水大臣賞に計12人、全中会長賞に6人を選んだ。受賞者は次の通り。
◇作文部門▽文科大臣賞=青木舞桂(山形県米沢市立北部小3年)山口哲平(茨城県小美玉市立羽鳥小6年)辻紗季(福井市足羽中3年)▽農水大臣賞=桂木花音(さいたま市立大谷場小3年)園部杏莉(山形県庄内町立余目第三小6年)大貫桜和(神奈川県厚木市立相川中1年)▽全中会長賞=小濱啓太(沖縄県石垣市立登野城小3年)野元理彩(長崎県壱岐市立霞翠小4年)麦倉惟月(栃木県宇都宮短期大学付属中1年)
◇図画部門▽文科大臣賞=今鹿倉由羽(大阪府堺市立野田小3年)菊永優介(同市立東百舌鳥小5年)皆川泉(宮城県涌谷町立涌谷中2年)▽農水大臣賞=川原田すみれ(佐賀県小城市立桜岡小2年)石松祐(松江市立乃木小6年)荒木音羽(佐賀県伊万里市立国見中2年)▽全中会長賞=右近敏明(高松市立古高松小2年)白浜早也花(佐賀市立鍋島小5年)桝本陸斗(広島市立井口台中1年)
コンクールは「みんなのよい食プロジェクト」の一環。子どもに農業の学びを深めてもらい、ご飯や米の重要性を周知する。全国の小中学生から、作文5万660点と図画6万767点の応募があった。
表彰式は2020年1月11日に東京・大手町のJAビルで開く。
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2019年12月10日

渋野プロ地場産で応援 JAグループ岡山
JAグループ岡山は6日、岡山市で岡山県出身のプロゴルファー・渋野日向子選手に、同県産米「きぬむすめ」120キロと県産農産物を贈呈した。今年8月にAIG全英女子オープンで優勝し、日本人42年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた渋野選手の快挙を祝い、来シーズンの一層の活躍を応援した。
「きぬむすめ」は、JAグループ岡山が新たなブランド米として生産拡大する瀬戸内海のカキ殻を使った資材で栽培する「里海米」。この他、県産ブドウ「紫苑」2房と、梨「愛宕」2玉、黄ニラ10束、ナス「千両」2キロなどを贈った。
渋野選手の父親は、JA岡山の正組合員で実家に畑があり、渋野選手は小さい頃から農作業を手伝っていたという。渋野さんは「農業には親近感がある。これからも、岡山の米や農産物を元気にモリモリ食べて、頑張りたい」と笑顔を見せた。
JA岡山中央会の青江伯夫会長は「岡山県人に勇気をくれたことに感謝したい。JAグループ岡山で、おいしいお米や野菜を作り、食べてもらい、さらに、パワーアップしてほしい」とエールを送った。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 受託田の水管理住民がサポート
JA岡山西は、JAの作業受託組織を住民が支援する「稲作りサポーター」制度を導入し、JAと地域住民で農地を守る体制を整えた。条件不利地や飛び地などの農地は受託が難しいが、日常的に必要な水管理をサポーターが担うことで、受託能力を高める。2019年は7人が、サポーターとして約5ヘクタール分の管理を担う。
サポーター制度を取り入れたのはJAの子会社として13年に設立した岡山西アグリサポート。19年度は水稲24ヘクタール、タマネギ1ヘクタールを栽培する。
倉敷市を中心に農地中間管理機構(農地バンク)を通じて、高齢で農作業が難しい生産者らから農地を預かるが、受託地は170カ所に分散され、面積拡大にも限界が出ていた。対策として16年から、地元農家から「稲作りサポーター」を募集。水管理の委託を始めた。
赤木稔さん(76)は、同市で水稲80アールを栽培しながらサポーターとして80アールの水管理を請け負う。6月の田植え時期が最も忙しく、地区によってはポンプで水路から水をくみ上げる水田も多く、機械を運搬するため体力もいる。赤木さんは「耕作放棄地を見るのは残念。みんなで助け合い農地を守りたい。体力が続く限り稲作りサポーターを続ける」と話す。
同社の阿部晃治生産部長は「サポーターのおかげでよく水管理ができ、草も生えにくいため、米の品質が上がった。協力して地域農業を守っていきたい」と頼りにする。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 就農者にバイト紹介 未収益期間の収入確保
岡山県のJA岡山西は、果樹の新規就農者に、JA施設のアルバイトを紹介し、未収益期間の収入確保につなげている。農作業の合間に勤められるよう、希望に応じて日数や時間を柔軟に対応。年間を通して新規就農者が働ける環境を整え、経営が軌道に乗るまでをサポートする。仕事を通じて新規就農者同士や住民、JA若手職員と交流もでき、喜ばれている。
「桃ができるまでの収入が一番不安。農業を理解し、自由に働かせてもらい助かる」。倉敷市のJAの加工場でタケノコ加工に従事する畑祐貴さん(33)は感謝する。2年間の研修を経て、総社市で11月に就農した。借りた30アールに桃「清水白桃」を定植し、放棄地1・7ヘクタールも開墾中だ。3年後の収穫までの収入が不安材料で、JAに相談したところ、仕事を紹介された。
加工場で働くのは週3日ほど。基本は午前9時~午後5時だが、農作業が忙しいときは午前中で終えるときもある。農作業の傍ら、自由な働き方ができることが利点だ。
JAではこの10年、国や県の事業を活用して新規就農者が増加。今では畑さんと同じ、新規就農者約10人が4、5、11、12月のタケノコ加工、6~9月の桃選果、9~12月のライスセンターなどJA施設で働く。他の期間では、春と夏に同じ果樹生産者の作業を手伝い、技術を学ぶ。
JA営農部の安井健次長は「JAも人手の確保につながり助かっている。若手職員と親交も深まり、融資などの相談もしやすくなる」と話す。
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2019年12月07日

[岡山・JA岡山西移動編集局] 冬まで高品質桃 10品種で長期リレー 労力分散贈答品に
JA岡山西吉備路もも出荷組合は、10品種の桃をリレー形式で長期間出荷し、ブランドを築いている。6月中旬から12月上旬までの長期出荷は全国的に珍しい。中元や歳暮の贈答需要に対応した所得安定や、労力分散を図っている。現在は、高糖度で日持ちが良いJA独自ブランド「冬桃がたり」を出荷。シーズン最後に高品質桃を出荷し、消費を取り込み、来季の販売につなげる。
同組合は、6月中旬の極早生品種「はなよめ」を皮切りに、12月上旬まで「冬桃がたり」を出荷する。
近年、力を入れているのが、シーズン終盤の「冬桃がたり」の生産、販売だ。極晩生種で、1玉約250グラム、平均糖度は15以上。品質や日持ちの良さから、歳暮やクリスマスの贈答需要が強い。卸売価格は、夏に出荷する主力「清水白桃」の2倍以上。今季は11月20日から出荷を始め、12月10日ごろまでを計画する。
「冬桃がたり」は2011年に栽培を始め、組合員94人のうち今は35人が1ヘクタールで生産している。生産量は増え、19年産は前年比4割増の3・5トン、販売額は5割増の1000万円を計画する。
栽培管理は4~11月まで8カ月を要する。一般的な剪定(せんてい)は夏と冬の2回だが、「冬桃がたり」は、夏も果実が樹上にあるため、冬の1回で作業を終わらせる必要がある。剪定場所の判断が重要で、組合内で研究を重ねている。収穫から出荷までは、室温7度に設定したJAの予冷庫で貯蔵。温度変化を抑え、品質を保持する。
1ヘクタールで10品種を栽培する組合長の板敷隆史さん(46)は「労力が分散され、安定収入につながる。増産して需要に応えたい」と意気込む。
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2019年12月06日

マルシェで復興PR 台風被害のかんきつ販売 千葉・JA安房
千葉県の館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町を管内に持つJA安房は5日、東京・大手町のJAビルで、台風や大雨の被害を受けながらも頑張る農家を応援するため「安房みかん復興支援マルシェ」を開いた。同県の支援を受け、JAグループも協力。打撃を受けた産地の農産物をPRして、復興を後押しした。
台風の影響で傷ついたミカン17ケース(1ケース10キロ)やレモン400個、ユズ300個を用意。管内の生産者やJA職員が産地の情報を説明しながら販売した。被災した園地の現状や復興の取り組み、農産物の魅力を伝える動画を消費者が見ながら農産物を購入。用意したミカンなどは、販売開始から約2時間で完売した。
南房総市のミカン農家、井上栄一さん(70)は「応援を受けると、また頑張ろうという気持ちになる」と農産物や地域の魅力を消費者に話した。
JA管内は9、10月と相次ぐ台風と大雨の影響でハウスが倒壊し、果樹の落下や倒木など、大きな被害を受けた。JA調べでは、管内の農業施設や農産物の被害額は約50億円(11月30日現在)。
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2019年12月06日

[岡山・JA岡山西移動編集局] リスク診断 県トップ800件 災害への備え万全に
異常気象による自然災害が増えているため、岡山県のJA岡山西は、2019年度から農業者へのリスク診断に力を入れている。JA共済連岡山によると、11月末現在でリスク診断を受けたのは県内JAでトップの800件。農業経営へのリスクを“見える化”することで、農業者の意識改革につなげる。
農作業中のけが、自動車事故、農業用施設の損壊、自然災害による収入減少など、農業者を取り巻くリスクは増大・多様化している。リスク診断は、16年度にJA共済連が開始。18年度に導入したシステムでは業種や経営規模などを選択すると農業経営に応じたリスクが表示され、被害を減らす対策や共済・保険などを紹介してくれる。
18年7月に西日本豪雨で甚大な被害を受けたJA岡山西では、防災意識の高まりを受け、JAがリスク診断を提案したところ、診断を希望する農業者が多かった。
2日にリスク診断を受けた倉敷市の岡本彰夫さん(48)は「災害や事故は起きてみないと分からない。最悪のことを考えて備えることが大切」と実感した。90アールでブドウ「ピオーネ」「シャインマスカット」などを栽培するが、診断で畑にある倉庫が共済対象になることを知った。西日本豪雨では被害を免れたが、リスクを把握し備える大切さを痛感したという。
JA共済部の高杉博部長は「一件でも多く診断をすることで、経営を取り巻くリスクを知らせ、ニーズに応じた対策を総合事業の強みを生かして提案したい」と、農業者の意識の変化を歓迎する。
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2019年12月06日