基本計画全中提案 生産基盤論議に反映を

 JA全中は、次期食料・農業・農村基本計画に対するJAグループの提案を決めた。中小農家を含む多様な担い手が発展していく農業構造の将来像を示すよう提起、中山間地域支援の重要性も強調する。生産現場の考えが集約されており、政府は生産基盤強化策をはじめとした次期計画の論議に生かすべきだ。

 農業生産基盤の弱体化に歯止めがかからない。現行計画は、食料自給率を2025年度にカロリーベースで45%に引き上げる目標を掲げるが、18年度は過去最低の37%に落ち込んだ。

 19年の耕地面積は440万ヘクタールで、この20年で1割減った。同年の農業就業人口は168万人と同じく5割超減っている。現行計画では、農業を成長産業にする「産業政策」と多面的機能の維持・発展を促す「地域政策」を車の両輪と位置付ける。しかし、政府による近年の農業政策は産業政策に偏っている。

 こうした大きな課題を抱える中で、基本計画を検討する時こそ、持続可能な農業・農村の発展に向けて政策を見直す大きなチャンスといえる。

 JAグループの提案では、生産基盤を構成する農地面積や農業就業者数は、食料・農業・農村を維持するのに欠かせない要素であり、目標数値を設定すよう提起する。生産基盤の維持・強化そのものを目標とし、達成へ支援すべきだとの考えだ。

 家族農業をはじめ、中小農家を重視することも提起した。具体的には中小農家や法人経営体など多様な経営が維持され発展するような将来像を、次期計画と一緒に示す「農業構造の展望」に盛り込むよう求めた。多様な経営が農業・農村を支えているため、幅広い支援が必要だからだ。

 高齢化や過疎化が顕著で生活・生産の基盤が弱まる中山間地域対策の強化も強調。就農促進施策を手厚くし、薬用作物など特徴ある農作物の生産・定着の支援も例示した。日本型直接支払いや中山間地域等直接支払いの交付水準の引き上げなども挙げている。こうした思い切った政策をとらなければ、衰退が続く中山間地域の振興は難しい。

 政策を進める上で欠かせない消費者の理解拡大も提案に盛り込んだ。支援策の充実には、農業・農村は食料供給を支えている国の基盤である──との国民の認識が重要となる。提案は、経済界などを巻き込んだ、国産農産物と農業・農村への理解を広める国民運動を提起した。JAグループ自身も運動の中心となる必要があるだろう。

 次期計画を実行するため、政策推進を担う国・都道府県・市町村の連携強化も論点に挙げた。また食育推進基本計画では、関係省庁による進捗(しんちょく)管理などを提案。農業や地域で大きな役割を果たしているJAグループも次期計画に適切に位置付けることが重要だとする。

 食料・農業・農村の未来がかかっている。政府は提案を重く受け止めるべきだ。
 

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