大嘗祭供納 喜びの声 農家冥利に尽きる 一世一度の大舞台へ

 皇位継承に伴う皇室の伝統行事「大嘗祭(だいじょうさい)」。14日夕から15日の未明にかけ、天皇陛下が米やアワなどを神前に供えて五穀豊穣(ほうじょう)や国家・国民の安寧などを祈られる。天皇1代に一度きりの行事に向け、全国からは自慢の特産品も供納された。その品々と生産者らの喜びの声を紹介する。
 

米は栃木と京都


 大嘗祭に使う米の産地は5月に「斎田点定の儀」で、栃木県と京都府に決まった。栃木県の「悠紀(ゆき)田」の耕作者は高根沢町の石塚毅男さんが、京都府の「主基(すき)田」の耕作者は南丹市の中川久夫さんがそれぞれ務め、米を献上した。

 中川さんは「皇位継承の重要な行事に地元の米を提供できることは農家冥利(みょうり)に尽きる」と語る。27アールで「キヌヒカリ」を生産。おいしさと見栄えを追求するため、水管理や除草などを徹底し、地域住民ら延べ約120人も生産に携わった。
 

自慢の逸品並ぶ


 全国の特産品は「庭積(にわつみ)の机代物(つくえしろもの)」と呼ばれる。47都道府県から各3~5品目が、大嘗宮の主要な建物「悠紀殿」と「主基殿」の前の庭にそれぞれ設けられた庭積帳殿の机上に供えられる。

 
 北海道は小豆、ジャガイモ、小麦など。東北はリンゴを中心に果樹が多く、山形県の西洋梨「ラ・フランス」や福島県の梨が選ばれた。野菜では、全国トップクラスの生産量を誇る青森県のナガイモ、岩手県の干しシイタケなどが目を引く。

 青森県東北町で2ヘクタールでナガイモを生産し、供納する向井博徳さん(54)は栽培歴28年のベテラン。「自慢の品が選ばれてうれしい。名誉あることだ。全国に青森のナガイモを知ってもらうきっかけになれば良い」と喜んだ。町は夏でも涼しくナガイモは時間をかけて成長する。粘り気があり味が濃いのが特徴だ。

 関東甲信越地区では、県の主力品目や特産品が目立った。栃木県はイチゴ、千葉県はラッカセイなどを選出。甲信越ではブドウやリンゴ、柿などを納めた。東海4県では静岡県が茶やワサビ、愛知県は全国屈指の生産量を誇るフキ、三重県も「南紀みかん」や「伊勢茶」など、全国に名が知られる産品が並ぶ。

 群馬県でコンニャク「あかぎおおだま」を生産し奉納する中之条町の小淵敏夫さん(68)は「一生に一度あるかないかの光栄なこと。掘り取りを手伝う人たちからも喜ばれ、実感が湧いてきた。50年近く作り続けたコンニャクを晴れ舞台に届けられ、農家を続けて良かった」と喜ぶ。
 

「苦労報われた」


 岐阜県では、JAひがしみの管内の東美濃栗振興協議会ぽろたん部会が栽培する栗「東美濃ぽろたん」が選ばれた。水野賢治部会長は「生産者の長年の苦労が報われ、今後の栽培の励みになる」と喜ぶ。大粒で、加熱すると渋皮が鬼皮と一緒にぽろっとむける。低温貯蔵することで、でんぷん質が糖に変わり、糖度は20以上になる。

 近畿北陸9府県からは大豆、サトイモ、干しシイタケ、柿、茶、栗、ミカン他、石川の能登金糸瓜、福井の抜き実ソバ、京都の長ダイコン、大阪のエビイモ、兵庫の丹波黒大豆、奈良の吉野葛(くず)などが送られた。

 柿「富有」を供納した和歌山県のJA紀北かわかみは、JAトレーニングファームで職員と研修生が作る「富有」から、6L級(370グラム前後)以上を選んだ。渋柿主体の産地で、部会がハウス柿の献上を続けているのが誇り。木村恵一専務は「県、地域の担い手になる人たちが作ったので(富有も)“普段通り”味わっていただきたい」と思いを込めた。

 中国四国地方は、鳥取県からヤマノイモ「ねばりっこ」、広島県からレモン、徳島県はスダチ、香川県は生オリーブ、愛媛県はサトイモ「伊予美人」、高知県はブンタンなど各県えりすぐりの特産品を選んだ。

 愛媛県でミカンを供納した日の丸柑橘(かんきつ)共同選果部会の宮本衛共選長は「愛媛のかんきつ産地を代表して日の丸みかんを納められ非常に光栄。産地にとっても、大いに励みになる。この名誉に恥じぬよう生産者一同、栽培技術を磨き、高品質生産へ一層努力したい」と話す。

 九州では本格的なシーズンを前にかんきつ類を選んだ県が多い。佐賀、長崎はミカンを、熊本は「デコポン」、大分はカボス、宮崎はキンカンを供納する。また茶の有力産地でもあるため、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島の茶も並ぶ。沖縄のゴーヤー(ニガウリ)など特徴的な品目も名を連ねた。

 JAそお鹿児島ピーマン部会は地域でブランド化している「志布志ピーマン」を奉納する。部会長の野口泰晃さん(48)は「大変名誉なこと。今の時期のピーマンは色つやも良く生食がお勧め。天皇陛下に届けられることは素直にうれしい」と喜んでいる。

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