「雪は天からの手紙」

 「雪は天からの手紙」。ロマンチックな言葉を残したのは、雪の結晶の研究で知られる物理学者の中谷宇吉郎である▼その手紙が、この冬はなかなか来ない。暖冬、記録的雪不足の影響が各地に広がっている。さっぽろ雪まつりは雪集めに四苦八苦、北国のスキー場は閑古鳥、沖縄から桜、静岡からヒマワリの便りが届く。冬眠できず熊もはい出すありさま。ブロッコリーなどの野菜も育ち過ぎて値崩れを起こしている▼気象庁によると、昨年12月の北日本、西日本の日本海側の降雪量は、統計開始以来最少となった。東日本の日本海側も2015年に次ぐ2番目の少なさ。先週末会った新潟県十日町市の米農家が浮かない表情で言う。「雪下ろしの苦労はないが、こんなに雪がないと今年の米作りが心配です」。山に降り積もった雪解け水が良質な米を育む。農家は「雪乞い」したい気分だろう▼暖冬傾向はしばらく続くという。気候変動で自然の歯車がきしんでいる。橘まゆさんの詩「明日のなみだのおくりもの」に次の一節がある。「だれもかなしくならぬよう/雲の上からのおくりもの/わたゆきこんこん わたゆきこん」▼「五風十雨」が豊作を約束する。時に災いをもたらす風雨・風雪だが、実りには欠かせない「雲の上からの贈り物」である。
 

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